第2話
ライブが終わり周りのオタクはいつまでも騒いでいる。私はライブの熱が冷めることなく足取り軽くふわふわしたような高揚感に包まれている。騒いでいるオタクを横目に見ながら帰るために1人駅に向かう。
ライブ後の物販でいくつも持ってるグッズを習慣のように買った。推しに使ったお金は最初の頃は計算していたけど、もう気にしないことにした。いくら使っても稼げばいいから。
洋服代とかメイク代、交通費などを合わせるといくらぐらいになるのか、予想も立たない。最初の頃は頑張ってダイエットして可愛くなることにお金と時間を使っていたから彼氏はおろか、友達も親友1人以外いなくなった。でも寂しくない。推しがいるから。
今思い出すと推しに出会った頃の私はなんて醜い容姿だったのだろうか。
BMIは23超え。太ももはパツンパツンで顔はパンパン。二の腕もぽよぽよでウエスト極太。休みの日には外に出ず、ゲームしてご飯食べてお菓子を食べ、寝る。ひどい生活を送っていた。推しに出会って『このままではいけない』と目が覚めた私は必死の思いでダイエットをした。今では全身細く顔も一回り小さくなった。目標体重に達したとき、はじめて推しに会う資格を得た気がした。
昔のことを振り返っているといつの間にか駅につき、電車が来る時刻寸前だった。走りづらい厚底を履いて階段を駆け上がる。
なんとか乗ることができたものの、呼吸が荒い。もっと運動をしなければ。たまたま席が空いていたから座るとようやくライブの振り返りをSNSに書き始めた。
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