どこかの日常3

 俺がスマホゲームに夢中の時、俺の彼女は後ろでじっと背中を見つめる。しかも体育座りで。いつもニコニコ背中越しににやけては、俺が振り向くと満面の笑みで返して来る。

 これは一体なんなんだ?


 「……」


 ゲーム音が飛び交う部屋の中。じっと黙ってゲームをする俺。そして背後から見守る彼女。


 「……」


 ふんふん、と鼻歌が背後から聞こえる。

 今日は、何かいつもと違う。いつもは、黙って俺のゲームを背中から見下ろしてきたりして、目が合うとお互いに笑みを返すのだが、今日は鼻歌を歌っている。


 俺が後ろをそっと振り向く。


 「……どした?」


『///』と照れる彼女。そして満面の笑み。


 「………?」


 すると彼女がスタスタとこっちに近寄ってきた。


 「…どしたの?」


 顔を至近距離に近づけてきて、俺の顔をじっと見てきた。


 フフン!と笑みを浮かべる彼女。


 「……今日、なんかいつもより変…いや、ご機嫌だな」


 「ん?そう?」


 俺はしばらく彼女の顔を見つめる。


 なんか…照れるな。こんなに攻めてくる○○はあんまりない気がする。なんか今日いい事でもあったのだろうか?


 「……なんか、お昼食べよっか?」


 「うん!」


 俺は、適当にサラダを作って二人分用意した。後、トーストも作ってみた。


 「はい。お待たせ」


 「ありがと!」


 お昼は一緒にご飯を食べる事にした。

 その間も彼女はずっとこちらを見ながら食べている。


 「……どうした?」


 「フフッ。美味しい」


 「ありがとう」


 そんな会話の後も手を休めず、食事を続ける。

 一体何をそんなにマジマジと見ているのか気になった。もしかしたら顔に何かついているのかなぁ?と思い、顔をあちこち触ってみる。


 「フフッ」


 彼女が俺の仕草に笑った。


 「どうした?」


 「いや、なんでも」


 そう言って、笑顔を絶やさずご飯を食べる。

 そして俺も昼ごはんを頬張った。


 「ご馳走様」


 手を合わせて言うと、彼女も食べ終わったので同じ動作を繰り返してくれた。


 俺が二人分のお皿を片付け終わると、彼女はまた俺を見つめている。


 「どうしたの?今日」


 「何が?」


 「いや、なんか今日ずっと俺の事を見てない?」


 「いつも見てるよ」


 「……そう…」


 そうか?いつもより見ている気がするが。しかも本人も意識して、目を合わせているような気がする。


 「さて、ゆっくりするか」


 「うんうん!」


 彼女がもたれかかっているソファーに俺が横に座る。そして彼女が擦り寄っていき、肩に顔を乗せてきた。


 しばらく俺はゲームしていた。彼女が肩に顔を乗せた状態で起こさないようにしてゲームの続きをする。

 

 寝顔。どこか微笑んでいるように見える。可愛い!今日はなんだかいつもよりご機嫌で、楽しそうな彼女だった。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 ふと、私が目を覚ます。大きく背伸びをすると、隣には彼が寝ていた。ゲーム最中に寝てしまったみたいだ。


 はぁ、寝ている姿も…好き!前から見ても、後ろから見ても、△△の事が大好き!いつも私は彼がいてくれる嬉しさにいつも微笑まされる。そしてこんな無防備な彼もいい!


 思わず顔をツンツンしてしまった。無反応だけど、それでもよかった。

 私は微笑ましくなった。そして彼をじっと見つめる。


 「△△」


 彼の名前を読んでみたが、当然起きない。聞こえない程度の声だから。

 そして私は、彼の顔に近づけて小さな声で伝える。


 「今日も大好き!」


 

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どこかの日常 森ノ内 原 (前:言羽 ゲン @maeshin

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