第4話 変身!モンスター娘!~最強ドラゴンになったかと思ったら幸運スライムだった件~
「はあああああああああああ!変・身!」
少女はベルトのバックルを叩くと突如ルーレットが始まった。
そしてドラゴンの絵が表示され止まった。
「やった!最強のドラゴンガール!」
少女に強固な赤い鱗と赤い巨大な翼が生えた。
そして巨大な爪が目の前の魔物を切り裂いた。
少女は変身を解くと倒した魔物の死体を漁る。
「うーん、50Gか…微妙ね」
「そこまでよ!チート転移者!」
光の柱と共に現れたのは軍服の少女ナーロウだった。
「誰あんた?」
「異世界監察官よ!あなたのモンスター娘になる力、捨てて貰うわ!」
「じょ、冗談じゃないわ…!」
ドラゴンと化した少女が火を吐こうとしたその瞬間、変身が解けた。
「も、もう一度変身すればいいだけだし!」
少女はバックルに手を当てると再びルーレットが回りだす。
「…ナーロウ様、今攻撃のチャンスですよ?」
変身中の無防備な少女への攻撃を提案する助手の手乗りドラゴンのクー子。
しかしナーロウは首を横に振った。
「変身中への攻撃はご法度よ。それに対策はしてあるわ」
「最強のドラゴンガー…げげぇ!?スライム!?」
バックルの表示はスライムの絵だった。
少女は水色のゼリー状の液体へと姿を変える。
最弱のモンスター、スライムだ。
「あなたの運の数値を弄らして貰ったわ」
バグ感染者にはこれ位しかできない。
大抵の冒険者はクリティカル率が下がるとか程度だが、
変身先を全て運頼みにしていた彼女には致命的だった。
「運には自信があったのに~」
「じゃあこれにサインを…」
ナーロウは契約書を出す。
「残念でしたー、スライムには手がないからサインできませーんwww」
「…じゃあ変身終わるまで待ってあげるわよ」
ぽん
一定時間が経ち少女の変身が解けた。
「しゃあっ!すかさず変身!ドラゴンガー」
「だから無駄だって…」
少女がスライムになり戻りスライムになりーを30回程繰り返した。
ついに彼女は観念し、人に戻った後契約書にサインした…筈だった。
「ふふふ…最強のドラゴンガールはもう諦めたわ!でも…!」
謎の自信に満ちた瞳を輝かせるモンスター少女。
「変・身!」
少女がバックルに手をやる。
ルーレットが回りだし止まった。
そこには黄金のスライムの絵が表示されていた。
「スライムはスライムでも最強のゴールドスライムガールよ!」
「な、今彼女の運は劇的に下がってる筈…!」
「どうやら運を”下げ過ぎてしまった”様ね!」
ゴールドスライムガールと化した彼女のステータスを見るナーロウ。
彼女の運の値は0を下回りオーバーフローを起こしていた。
もはや計測不能である。
「私とした事が…デバッガーの初歩的なミスを…!」
ナーロウは転生丸に手をやるが間に合わず、ゴールドスライムガールに呑み込まれてしまう。
「やったわ!私の勝ちよ!」
「それはどうかしら?」
ナーロウがそう告げた瞬間ゴールデンスライムガールの変身が解けた。
「ど、どうして?」
「どうやら運の解釈が思った通りに行かなかった様ね」
彼女は今豪運状態だ。
しかし運の解釈とは人それぞれ。
彼女の場合、モンスター娘で居続ける事が「不運」と解釈されてしまったのだろう。
その後彼女が幾らバックルに手をやってもモンスター娘に変身する事はなかった。
「ふう、任務完了ね」
ナーロウは変身少女に契約書にサインをさせるとその世界から消え去った。
「なによ、こんなもの…!」
変身少女は膨れっ面で変身ベルトを捨てた。
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