四章・興味

 竜胆さんに出会ってから一週間が過ぎた。

 最初は知らない男の人と暮らすなんて、いつか襲われるんじゃないかって、やっぱり怖くてあまり良く眠れなかった。自分が寝てるときに部屋の扉が開くかもしれないと思うとどうしても緊張してしまい、一晩中扉を見続けた夜もあったくらいだ。

 しかしこの一週間の間、竜胆さんは私に対して色々と話したり親切にしてくれた。私にいやらしい視線とか向けることは全くなかった。

 あっさりめの料理を作ってほしいとか、この部屋を掃除してとか、彼が最初に提案した通り私にして欲しいことを伝えてくるが、それが上手く出来なくても怒ったりしない。

 遅くなっても終わったらお疲れ様と言ってくれて、きちんと出来たらありがとうと言ってくれる。

 でも、それ以上は何もしてこない。

 人と付き合うのが苦手だと自覚している私からすると彼のその接し方はとても心地よいものだったが、彼の態度は優しいけれど、どこか冷たいというか淡々とした印象があることは否めなかった。

 感情の起伏はかなり乏しいけど、決して無感動というわけでもない。遠慮しているという様でもないし……何というか、無欲な感じがする。

 無欲。

 ……そうなのかもしれない。

 私の作った料理を美味しかったと言ってくれたときも、部屋が多少すっきりしたときも(掃除は苦手だが綺麗好きみたいだ)。ほんの少し感情を見せてはすぐにその事への関心が無くなってしまったかの様に遠くを見る素振りをする。

 何が彼をそうさせているのか……私は段々と竜胆秋夜という人物に興味を抱くようになった。


 竜胆さんは仕事をしていない。親の遺産で暮らしてるというわけではなくFX? というもので日々稼いでいるらしい。平日は昼から深夜にかけて時々パソコンの前で何かを操作しているのだがよくわからなかった。一昨日は大勝したとかで少し気分が良さそうに見えた。どの程度稼いでいるのかを聞いてみたところ、月に調子がいい時は大体二百万から三百万とのこと。

 ……凄い。何をやっているのかはさっぱりだけど。

 竜胆さんと同年齢の大半はようやく働き始める頃だろうし、年にそのくらい稼げればいいと聞く。なのに彼はそれを一月で稼いでしまうという。急に私という同居人ができて色々と出費が嵩むはずなのにあまり気にしていないのは、そういった懐事情も関わっているのかもしれない。終日パソコンを操作している訳ではないらしく、時々本を読み耽っているのを見かける。そういう時は「あまり動きが無いから動くまで待っている」ということらしく、掃除の手伝いをしてくれた。

 竜胆さんは一人暮らしで、その私物の多くは漫画か雑誌だった。漫画は日常系のものが、雑誌は科学雑誌が主の様だ。「日常系はあまり前後を気にせず読めるから、科学雑誌は新たな知見を得やすいから」よく買うらしい。

 よく買うのに全然捨てないらしく、この家の大半はそういった書物で埋もれていた。本棚もいくつかあるのだが、その許容量を大幅に超えている。竜胆さんの部屋なんかかろうじて床が見える状態だった。掃除が苦手なのではなく捨てられないから片付かないタイプなのだと私は理解した。

 私は洗濯や炊事以外は大体の時間を掃除に充てる事にして、竜胆さんの購入した書籍をシリーズ毎に纏めていた。そして竜胆さんがもう読まないと判断して私も読みたいとは思わなかったものを、段ボールに入れて彼の車に積んだ。明日古本屋へ持って行くためだ。彼らもずっと積まれているよりは誰かに読んで貰える方がいいだろう。この一週間分の成果は段ボール二十箱。車に積めたのは半分の十箱だった。それでもまだ本は山積みだったが、とりあえず彼の部屋で本にぶつからずに歩ける程度にはなった。

「すごいね……大分片付いたんじゃないかな」

「まだちょっと歩きやすくなっただけですよ。大分なんて大袈裟です」

 冗談抜きでまだ十分の一も片付いていない気がする。先はまだまだ長そうだ。

「ここから更に綺麗になるのかい? 嬉しいね」

 ……まただ。言葉では嬉しいと言うがすぐにその表情は消えてしまい、代わりにどこかを見つめてる。

 私は彼の視線をこっそり追ってみた。

 そこには一つの扉があった——夕菜さんの部屋だ。この家で唯一、扉に鍵が付けられている部屋だ。その扉には『夕菜の部屋』と可愛らしい丸みのある字で書かれたネームプレートがぶら下がっている。

 ここに夕菜さんの部屋があるということは、少なくとも彼女が亡くなる七年以上前から竜胆さんはここで暮らしているのだろう。

 ……決して帰って来ない人の部屋に鍵をかけている。彼がどのような思いで鍵をかけたのか、その心情は私では推し測れない。

 誰にも入って欲しくない? 

 自分も入りたくない?

 でも私がこの家に来た日、竜胆さんは夕菜さんの部屋に入っているようだし……やっぱり、わからない。私は夕菜さんの部屋だと言うことを聞いたからか、どこか近づき難くその部屋を避けていた。

「…………」

 竜胆さんは何も言わない。

 感情が読めない表情で、ただ静かに扉を見つめていた。

「……竜胆さん。今日は何か食べたいものありますか?」

「ん……。そうだね、魚の煮付けは作れるかな?」

 話しかけづらい雰囲気でも、竜胆さんは無視したり後回しにはせずに答えてくれる。煩そうに顔を顰めることもきつく睨まれることもない、そんな普通の反応なのに私は自分が喜んでるのを感じる。今まで見てきた男性とは全然違う、彼の穏やかな雰囲気を——私は確かに好いていた。

 彼と出会って一週間。

 少しずつ——本当に少しずつだけど、私は竜胆さんとの暮らしを受け入れ始めていた。

「わかりました。魚料理は得意なので、期待しててくださいね?」

 そんな生活をさせてくれる彼に感謝を込めて、今日は腕を奮ってみよう。

 私はどこか浮かれた気分で、台所へと向かった。


「今日も優奈ちゃんの料理は美味しいね。いつもありがとうね」

 竜胆さんはカレイの煮付けを何口か食べたあと、優しい口調でそう言ってくれた。

 竜胆さんの家に来てから知ったことだだけど、作った料理を食べて貰えることは結構嬉しい。そしてそれを美味しいと言って貰えるのも嬉しい。……兵八が何度挫けても料理人の夢を諦めなかったのは、この嬉しさがあったからなのだろうか。私はふとそんなことを思った。

 煮付けは久々に作ったけれど、今回はとてもよく出来たと思う。

「お口に合いましたか?」

「うん。優奈ちゃんが期待しててって言うから期待してたけど、期待以上だったよ」

「それは言い過ぎですよ……でもそう言っていただけると嬉しいです」

 期待以上なんて言われたら照れてしまう。私は若干自分の体温が上がるのを感じながら、自分の前にある煮付けを食す。

 ……うん、美味しい。でもきっと美味しいのは素材がよかったとか腕が上がったとかではなくて……一緒に食べてくれる人がいるからだと思う。

 流石に恥ずかしくてそんなこと言えないけれど。

 私はどこか幸福感を味わいながら、竜胆さんとの夕食を楽しんだ。


「優奈ちゃん。明日は買い物に出かけるからそのつもりでよろしく」

 夕食を食べ終え、食器を洗い終わった私に竜胆さんは出し抜けにそう言った。

「えっと……私も行くんですか?」

 この一週間、私は外に出ていない。食料は竜胆さんが色々買ってきてくれたし、私は外に出る用事がなかったからだ。

「うん。優奈ちゃんもこの家に来て一週間だし、色々足りないものとかわかってきただろうからそれを買いに」

 竜胆さんが普段買い物に使ってるというショッピングモールは幾つもの店が併設されているので、欲しい物はまず揃う。本棚、食器、掃除用具……この一週間の生活を振り返って自分が必要と思ったものを頭の中に浮かべていく。そういえば洗剤も予備がなかったような。

「わかりました。後で買い物リスト作っておきます」

「うん、よろしく。それじゃ、僕はお風呂もらうから」

 そう言って竜胆さんは着替えを持って脱衣所へ行ってしまった。

 うーん。必要なもの……結構あるかもしれない。

 私はこの一週間の出来事を思い返してながらリスト作成に取りかかった。


 次の日。

 私と竜胆さんはまず古本屋に向かった。

邂逅かいこう』という不思議な名前の店だった。

 古い本が沢山あるせいかどこか独特な匂いの漂う古本屋で、店員さんがまだ若い女性の方一人だったのが少しだけ印象的だった。

 店員さんは相当髪が長いのか、頭上でまとめているのに腰くらいまである。形のいい眉、まっすぐな鼻に吊り目がちの細い目。女性なのに思わず見惚れてしまいそうになった。

 その人は十箱分の本を目の前にしても全く動じず、テキパキと仕分けていく。私はなんとなくその作業が気になって見てしまう。竜胆さんは慣れているのか店の棚をちらりと見て楽しんでいるようだ。

「何か御用でしょうか。査定にはもう少々時間がかかりますが」

「え……あ、すみません。つい眺めてしまっただけで、急かしてるわけではないです」

 店員さんは私には見向きもせず、手元の本を確認しながら隣の用紙に書名と値段を書き込んでいる。

「左様ですか。見てても面白くないと思いますが」

「そ、そんなことないです。私、本は読みますけれどその本の価値とかは全然わからないですから……お姉さんはすぐに査定できるってことはそれだけ本に関する知識があるのですか?」

「本の価値は人それぞれです。大切な本、面白い本、つまらない本、読みたくもない本。色々あります。私は本の価値で査定しているのではなく、本の状態だけで査定してます」

「そう、なんですか……?」

 てっきり『この本はあの作者の処女作だから〜』といった、本の価値を測っているものだと思っていた。

「古書店にはいくつかの種類がありまして、値打ちのある本を扱う店や珍しい本を取り揃える店などは貴女の言う通り、本の版数や作者などの情報を重視して値段を測っています。しかしこの店ではそのような事はしていません」

「そうなんですね……私、その、全然古本屋さんを利用したことなかったので……」

「私個人の意見ですが、本の価値は内容が全てだと思います。どんな作者が書いたのか、いつ頃出版されたのかなどは付加価値程度です」

 店員さんはひたすら査定を続けている。確かにさっと紙の状態や痛み、日焼けなどを確認した程度で次に進んでいる様に見える。

「ここはなんらかの理由で『読まれなくなった本』が『読みたい誰か』と出会うための場所。誰かの『書きたい』という思いで書かれたものが、誰かの『読みたい』に出会うための場所」

「だから、『邂逅』というお店なんですね……素敵な由来だと思います」

「そう言ってもらえると祖父も喜ぶでしょう……査定が終わりました。あの男性の方を呼んでもらえますか」

 使っていた黒い万年筆に蓋をして、店員さんが言った。

「あ、はい。ちょっと待っててください」

 彼女との会話が終わってしまったことにちょっとだけ寂しさを覚えながら、私は竜胆さんを呼びに行った。

 竜胆さんは店の奥で三十年近く前に連載が始まった長寿漫画を読んでいた。

「竜胆さん、査定、終わったそうですよ」

「ん……わかった」

 丁寧に棚に戻し、二人で会計に向かう。カウンターには先程店員さんが記入していた買取価格が置かれている。

「こちらの金額でよければ引き取ります。どうしますか」

「うん、いいよ。引き取ってもらえるならもう少し安くてもいいくらい」

「では会計を致しますので、身分証明書のご提示を」

「えっと……運転免許証でいいかな?」

 竜胆さんが財布から免許証を出して彼女に渡す。店員さんはさっと確認してすぐに返した。あの一瞬で覚えたのか、紙に番号を書いている。

「……買うならともかく、貴方が本を売るのはこれが初めてですね。竜胆君」

 金銭の受け渡しが終わった後、店員さんが呟いた。

「……? 竜胆さんのお知り合いですか?」

「ん? うん。高校の時の同級生で、わたりゆめさん。渡さん、こちらの子が家の掃除を手伝ってくれてね、読まなくなった本を手放す事にしたんだ」

「渡と言います。高校の三年間、竜胆君の同級生でした」

 凛とした所作で頭を下げる渡さん。

「舞園優奈です。えっと……色々あって、竜胆さんのお世話になってます」

「よろしくお願いします。今後も当店を贔屓にしていただければ幸いです。……それから竜胆君。本を見てわかりましたが、貴方、あまり本を丁寧に扱っていませんね? 平積みされた形跡が幾つもありました。痛みやすいので控えた方がいいですよ」

「善処するよ……」

 竜胆さんは痛いところを突かれたかのように目を逸らした。

「平積みするなとは言いませんが、する際はなるべく大きさと向きを揃えることをお薦めします」

「うん、わかった……相変わらずだね、渡さんは」

「どこに居ても、いつまで経っても私は私です。変わりません」

「そうかな……まあいいか。僕達はそろそろ行くよ。この後も予定があるからね」

 失礼と言いながら竜胆さんはまるで逃げるように店を出た。

 私も後を追おうとして——

「舞園さん」

 渡さんに呼び止められた。

「な、なんでしょう……?」

「貴女がどのような経緯で竜胆君の元にいるのかは存じませんが、竜胆君と共に過ごしているのであれば貴女からも本を丁寧に扱うよう忠言していただければ幸いです。貴女も本を読むというのなら、最低限本への感謝を忘れてはいけません。誰かに書かれた文字を読むということは、その時の思いに触れることと同義です。努努、お忘れなきよう」

 言葉の端々から怒りすら感じる強い口調。吊り目がちの細い目がその雰囲気を更に強くする。

 本を大切にしているからこそ、大切にしない人には厳しい態度をとる。

 それは言うことは簡単だけれども、実行するには強い意志が必要になることだ。

 私は渡さんの毅然とした態度がとれるその強さが少し羨ましかった。

「頑張ります……その、また来てもいいですか」

「ええ。またのお越しをお待ちしております」

 渡さんは見惚れるような丁寧なお辞儀をして送り出してくれた。私は小さく頭を下げて、古書店を後にした。


「渡さんと何か話してたの?」

 車が走り始めてから少し経った頃、竜胆さんが話しかけてきた。

「ちょっとだけ。その、竜胆さんが本を大切にするよう見張ってて、みたいなことを」

「それは参ったね……初対面の子にもばっさり言うのは相変わらずだね」

 少し困った様に竜胆さんが笑う。

「昔から、渡さんはあの様な雰囲気だったんですか?」

「そうだよ。先生でも上級生でも全く譲らない性格だった。いつか話した際に聞いたのだけれど、幼い頃からずっと色んな本に触れてきたらしい。それゆえだろうね、様々な価値観を持ってて理解できる人だった。達観してて周りからは浮いていたけれど、彼女はそんなこと気にもとめない強い人だったよ」

「なるほど……」

 なんとなくだけれど、その場面は想像できる気がする。

「竜胆さんは、渡さんとは親しかったのですか?」

 口にしてから、何故自分がそんな事を訊ねたのかが気になった。

「んー……どうだろ。席が近くなることが多かったから、話す機会は確かに他の人より多かったかも」

「どんな話を?」

 つい気になって聞いてしまう。そんな事聞いて、私は何が知りたいのだろう。

「大体は僕か彼女が読んでいた本の内容とかそれに対する感想とかだったかな。んー……思い出してみると意外と親しかった方なのかな。少なくとも渡さんに告白とかしてすぐに撃沈した男子達よりはまともに取り合ってもらってたような?」

 首を傾げながら過去のことに思いを馳せる竜胆さん。それでも運転の丁寧さは衰えない。

「……やっぱり渡さん、モテたんでしょうか」

 美人でスタイルもいい人。和服とか着たら立派な大和撫子になりそうだ。

「最初の頃はそうだったけどね……あのはっきり言う性格とか非常に高い学力とかが有名になってくると皆どこか敬遠するようになってね。一年の終わりくらいには孤高の存在になっていたよ」

「非常に? 常に学年一位とかですか?」

「いや、全国規模で。大体十位から三十位くらいには入ってたと思う」

「す、すごいですね……」

「渡さんは猛勉強してたわけではなくてね。物覚えがとてもよくて豊富な知識があったし、知ってる事を組み合わせて応用や発展させる能力が高かったから。まあ、そんな訳で彼女に対する皆の評価はね、『住んでる世界が違う』って感じだった」

「住んでる世界が……」

 孤高の存在になるのも理解できる。

 人によっては責められてるともとれてしまうような強い口調に年上相手にも引かない態度。

 自分と同じ年齢なのにその学力が飛び抜けている。

 もしもクラスにそのような子がいたら、私も近づこうとはしなかったかもしれない。

「……竜胆さんも、そう思ってたんですか」

「僕? いや、特には……勉強できようが強気な態度だろうがそれが渡さんってだけだし。夕菜もそこら辺気にしなかったからよく彼女に話しかけてて、僕も混ざってた感じ」

「夕菜さんが……」

 竜胆さんも夕菜さんも、周りからの評価じゃなくて、自身の評価で人と接することができるということ。それはとても素敵なことなのだろうと、そしてそれがいかに難しいかということを、私は嫌になるほど知っていた。

「そろそろ着くよ。話の続きはまた今度にしようか」

 いつの間にか目の前には大きなショッピングモールが見えてきていた。

 私は買い物に意識を移そうとしたけれど、しばらく渡さんのことが頭から離れなかった。


「買い忘れはないかな……?」

 目の前のカートとリストを見比べて、私は呟いた。掃除用具や日用品を中心にした買い物は大体一時間ほどで終了した。あとはレジに持って行くだけだ。

「優奈ちゃんが作ったリストにあるのはこれで全部かな?」

 竜胆さんが詰め替え用の洗剤を持ってきてカートに入れた。

「はい、今の洗剤で最後です。ごめんなさい、私、売っている場所がわからなくて……」

「ここは結構広いし、優奈ちゃんはまだ二回目だからね。気にすることではないよ」

 ゆっくりとカートを押しながら竜胆さんがそう言ってくれる。

 本棚は組み立てるタイプのものを二つも買ってもらってしまった。私が使いきれなくても、空いたスペースには竜胆さんの本が入るだけなので気にしないで、とのこと。

「竜胆さんの方はまだ何か買う予定がありますか?」

「んー……うん。あるね。でも一度会計を済ませてから行こうか」

「わかりました」

 会計をしている間、なんとなく竜胆さんを見てしまう。まだ何か買うとのことだが、何を買うのだろう。リストは竜胆さんにも見せたし、特に不足はないと言ってもらえたはず。

 私達は一度買ったものを車に積んだ。本棚二つ分と段ボールをいくつか使用してるためか、もうあまりスペースに余裕がない。あまり大きなものでなければいいのだが。

 荷物を積み終えた竜胆さんはこっち、と短く言ってのんびりと歩き出す。私は彼に続いて歩きながらモールの中を眺めてみた。服に食器に靴に化粧品。携帯電話や眼鏡、宝石を扱っている店もある。案内板によると最上階にはレストラン街があるらしく、親子連れやカップルと見られる二人組も多くいる。

「優奈ちゃん、着いたよ」

 横から声をかけられて私は目移りしていた視線を前に戻す。そこには女性向けのバッグを取り扱っている店があった。

「ここは……?」

「優奈ちゃんバッグとか何も持ってないからさ。一つや二つ無いと不便だろうから」

 確かに私が持ってきたものと言えば学校の制服くらいだけど……。

「……いいんですか?」

「うん。優奈ちゃん家事頑張ってくれてるし、そのお礼も兼ねてね。いざというときに手ぶらだと困ることもあるよ?」

「そう、ですね。わかりました。ありがとうございます」

 私は竜胆さんにお礼を言ってから店に入った。竜胆さんはのんびりと後を着いて来てくれる。こういったお店はほとんど入ったことが無いから、知ってる人が近くにいてくれるだけでも心強い。

「いらっしゃいませー! 本日はどのような物をお求めでしょうか?」

 店員さんが店の奥から元気に声をかけて来てくれた。

「えっと……その……」

 どうしよう。彼女としては当たり前の反応なのに、どう答えていいかわからない。

「お客様? 大丈夫ですか?」

「……….」

 どう答えるべき? なんて伝えればいい?

 必死に頭の中で言葉を探すがよさそうなものが見つからない。

「彼女に日常的に使えるようなバッグをプレゼントしたくてですね。僕はあまりこういったお店に来ないので不慣れでして、宜しければいくつかの見繕ってもらえますか?」

「そういうことでしたらお任せください! この春出たばかりの素敵なデザインが当店には幾つもございますので! 少々お待ちくださいませ!」

 竜胆さんが助け舟を出してくれた。

 店員さんは勢いよく店中を移動して何個ものバッグを持ってきてくれる。

「まずはこちら、『リリアン』の最新作のショルダーバッグで使用者への負担が軽減される様、多くの人間工学に基づいて設計されてます。大きさもあって多くの物を運ぶのに向いており大学生からの支持が多い一品です。続いて『ブランカ・デザイン』から——」

 店員さんは怒涛の如く次から次へと商品の説明をしてくれるが、聞きなれない単語も多く私は段々頭が追いつかなくなってきた。

「——ということで個人的にもおすすめの商品です。いかがでしょうか? お気に召したものはございますか?」

「えっと……」

 どうしよう。手に取ってみてもいいのだろうか? 私はつい竜胆さんのほうを振り向いてしまう。

「優奈ちゃんがよさそうと思ったものを一度選んでみるといいよ。バッグとかは重さとか感触とかも大事だと思うから」

「じゃ、じゃあこれを……」

 小さくて綺麗な緑色のショルダーバッグ。

 装飾とかはほどんど着いていないシンプルなデザインだけどなんとなく気になっていたのだ。

「こちらに鏡がありますので、よろしければどうぞ!」

 店員さんに案内されて鏡の前に立つ。

 金具が明かりを反射して金色に光った。重さも触り心地も丁度いいかもしれない。蓋ができるから落とし物防止にもなるし、中は二つに区切られていて使い分けも出来そうだ。

「いいんじゃないかな、可愛らしくて。似合っているよ」

「あたしもいいと思います!」

 後ろから覗いた竜胆さん達がそう言ってくれる。

「そう、ですか……?」

 自分だと似合ってるとかはよくわからない。

「んー……店員さん、これは色違いはありますか?」

 竜胆さんは何か気になったのかそんなことを店員さんに聞いた。

「もちろんございますとも! 暗めだとダークグレーやダークブルー、明るめだとブラウンにライトブルー、イエローグリーンなどがございます。彼女さんはどのような色が好みでしょうか?」

「普段は青系統が多いかな。優奈ちゃん、他の色もあるみたいだけど見てみる?」

「あ、はい。見てみたい、です」

「ではこちらへどうぞ!」

 店員さんに案内されて同じデザインのバッグが置いてある棚へ。

 ……というか竜胆さん、サラッと流してたけどか、彼女って……!

 私が色違いのライトブルーを試着している間、竜胆さんは店員さんと話していたけれど私はずっと竜胆さんの彼女という体で話が進んでいた。

「気に入った感じかな? 一つはそれとして、他のも見てみた方がいいんじゃないかな」

「でも、そんな幾つも買ってもらうのも……」

「それだけだと少し大きめの物とかは入らないだろうし。異なる種類のものを持っていた方が便利だよ」

「そうですよ彼女さん! 彼氏さんが買ってくださると言うのですから、ここは素直に甘えるべきですよ!」

「えぇ!?」

 か、彼氏じゃない、です……!

 そう言うべきなのに、そう言いたくないという思いが心のどこかに浮かんでくる。

「自分の好みに合わせるも良し、彼氏さんの好みを聞いて合わせるも良しですよ。敢えて彼氏さんに選ばせて、彼が彼女さんにどんな印象を持ってるかを知るのもいいと思いますよ?」

「どんな印象を持ってるか……?」

 それはちょっと気になるけれども。

「彼が彼の好みに合わせるのか、彼女さんのことを考えて選んでくれるのか。色々分かることはあると思います。チャンスですよ!」

「チャンス……」

 ちらっと竜胆さんを盗み見る。竜胆さんは彼氏とかの単語には反応せず、最初に紹介されたショルダーバッグを持ち上げて重さを確かめたり、中の構造を見たりしているようだった。

「……り、竜胆、さん。あの、よかったらもう一つは竜胆さんに選んでもらいたい、です」

 私は勇気を出して竜胆さんに提案した。

「ん、僕が? いいけど……あまりセンスとかは期待しないでね?」

「お願い、します」

「どんな感じがいいかな……」

 竜胆さんはそう呟いて店内を歩き始めた。時々足を止めて近くにいた別の店員さんに色々話を聞いている。

「彼女さんは彼氏さんといつ頃からお付き合いされてるのですか? 告白はどちらから? どのような出会いをなされたのですか?」

 竜胆さんがバッグを探しにいってから数秒もしないうちに、店員さんが私に話しかけてきた。

「え、えっと……」

 そもそも付き合ってないです。

 告白してないです。

 自殺しようとしてるところを止められました。

 ……どうしよう。どれも答えられない。

亜美あみ、あまりお客さんを困らせないの。というかそんなこと聞かないの」

 その時別の店員さんが来て元気な彼女をペシっと嗜めた。

「あいたー!? 気になるじゃないですか。さゆちゃんもそういう話好きですよね?」

 結構強めのチョップをされた頭部を押さえて亜美と呼ばれた彼女が振り返る。

「明るいのはいいけれど踏み込んだプライベートな話はしないってこの前店長にも怒られたでしょうが。聞きたいことを躊躇せず聞けるのはアンタのいいところだけど、あまりに遠慮なしだとこの前みたいに振られるよ?」

 さゆと呼ばれた店員さんが呆れた顔で溜息を吐く。

「その話はしないって言ったじゃないですか~」

「じゃあアンタもするなっての。すみません、この子誰に対してもフレンドリーというか遠慮を知らないというか」

「い、いえ……」

 助かりました……。あのまま質問責めされてたら一体どうなっていたか。

「亜美、今どういう状況?」

「あちらの彼氏さんにバッグ選んでもらってる状況です。二つも買ってくれるなんてすごいですよね」

「二つ……? ああ、一つは選び終わってるんですね。『ティアラ』の春モデルですね。軽さや肌触りが人気なんですよ。デザイナーさんが変わったのか今までのティアラよりシンプルなんですけど、それが新たな客層に繋がっているらしいです」

 さゆさんが私の選んだバッグの特徴を教えてくれる。確かにこの触り心地はずっと撫でていたくなるくらいいいものだ。

「ティアラって王冠って言う意味でしたっけ」

「そうですよ。このバッグの蓋の部分に金糸で刺繍されているのがロゴなんです」

「これが……」

 指された場所には金色の小さなティアラがちょこんと縫われていた。よく見ると細かい宝飾部分まで丁寧に仕上げられている。

「少々値が張りますが、女性へのプレゼントとして購入する男性も結構いらっしゃるんですよ」

「……さゆちゃん。あたし予算聞いてない」

「亜美……もうちょっと店員としての自覚持って」

「いやだって彼氏さんが普通に二個目とか言うから……」

「田島さん。川口さん。お喋りが過ぎますよ」

「店長……」

 振り向くと鋭さを感じさせる銀縁の眼鏡に紺色のビジネススーツを着た女性が立っていた。隣には竜胆さんが居て、手には白いバッグを持っている。

「田島さん、お客様と親しく接することが出来るのは貴女の長所でもありますが最低限ビジネスの場の礼儀も備えなさい。『過ぎたるは猶及ばざるが如し』と前も教えたでしょう」

「うう……」

 先程さゆさんに嗜められたときとは段違いに縮こまる亜美さん。さゆさんも店長さんが苦手なのか少し目を逸らしている。

「店長さんその辺で。僕が選んでいる間、退屈させないように彼女の相手をしてくれたのですし。——優奈ちゃん、これを選んでみたんだけどどうかな。ちょっと肩にかけてみてもらえる?」

 先程まで身に付けてたティアラのバッグは店長さんが流れるような動作で受け取ってくれた。

 私は差し出されたショルダーバッグを受け取った。ちょっと大きくて重い気がする。でも竜胆さんがせっかく選んでくれたのだし……。

 バッグの表面にはきめ細かな刺繍による幾つものレース模様が施されていて、見ているだけでも楽しめた。

 言われた通りに肩にかけてみて、その使い心地を確かめる。少し硬めの素材でできているのかとても丈夫そうだ。肩にかけて腰より下にバッグの底が来るので大きい物でも余裕で入りそう。

「ど、どうでしょう、竜胆さん……?」

 竜胆さんの様子を伺ってみる。竜胆さんは首を傾げたりちょっと移動したりして私のことをまじまじと見てきて……少し緊張してしまう。

「店長さん、彼女には少し大きめに感じますけどどうですか?」

「そうですね……今お渡ししているのはA3サイズ——420mm×297mmのものを入れて余裕があるものとなってます。ワンサイズ小さいのだとA4サイズの297mm×210mmより少し大きめのものしか入りませんが、いかが致しますか?」

 ……店長さん、紙のサイズをミリ単位で覚えているのだろうか。

「そっちも試してみたいのでお願いできます?」

「少々お待ちくださいませ」

 店長さんは機敏な動作でバッグを取りに向かって行った。後ろ姿だけでもどこか風格を漂わせている気がして、漫然とだけど仕事のできる女性という感じがした。

「彼氏さんは『グレムリン』を選んだですね。細かい刺繍が全部手作業でされているのであまり流通量は多くないのが難点ですが、その美しさは高く評価されてます」

 さゆさん(川口さゆさんと言うのだろうか?)が竜胆さんの選んだバッグの説明をしてくれる。

「全部手作業とかすごいよね! あたしだったら一ヶ月かけても出来なさそうなのに、一週間くらいでこれを作っちゃうって言うから驚きだよ!」

 亜美さん(こちらが田島亜美さん?)はもう立ち直ったのか最初の調子に戻り始めた。この切り替えの速さは見習いたいな。

「一週間で、これを……」

 もう一度レース模様を目で追ってみる。白い下地に薄い紫や水色の糸を使用してるので遠目からは模様はほとんどわからない。けれど近くで見ると光の加減もあって様々な花模様が浮かび上がってくる。目を凝らさないと気づかない模様もあるが一度気づけばずっと見入ってしまうような美しさが確かに感じられる。

「綺麗……」

 本当に、それしか言葉が出てこなかった。

「お客様、お待たせ致しました」

 店長さんが一回り小さいというそれを渡してくれる。

 ……うん、こっちの方が私に合っていると思う。重さもいい感じで無理がなく、負担を感じない。

「優奈ちゃんにはこっちの方が合ってるかな」

「そう、ですね。自分でもそう思います」

「そっか。色はこの白しか無いみたいだけど大丈夫?」

「これがいいです。この色が、いいです」

「じゃあ今日はこの二つにしようか。お会計お願いできますか?」

「ありがとうございますー! レジはこちらになります!」

 亜美さんとさゆさんが一つずつバッグを持ってレジへと運んでくれる。竜胆さんは彼女たちの後を着いていった。

 私も後を追おうとして、店長さんが私を見ていることに気がついた。

「ど、どうかしましたか……?」

 背は私と同じくらいだけど貫禄すら感じる顔つきは僅かだが恐怖さえ覚えてしまう。

「——いえ、失礼致しました。彼がとても貴女のことを考えながら選んでいたものですから。大切にされていると感じて、少々羨ましくなっただけです。お許しを」

「竜胆さんが……?」

「はい。バッグは中時間から長時間使われることが多いので、どうしても使用者に負担がかかります。彼は重さや持ち手の太さなど、皆さまがあまり最初には重視しないところから始めました。こちら、触ってみると分かるのですが——」

 そう言って店長さんは竜胆さんが最初に持ってきたバッグを開いて中を見せてくれた。

「中は柔らかい皮が、外は比較的硬い皮が使用されていて形が崩れにくくなってます。これはバッグの形を崩さないためでもありますが、バッグの中身が使用者にぶつからないようと言う工夫なのです」

 許可を得て触って見ると確かに硬さが内外で異なっている。

「本当ですね……結構硬いです」

「『グレムリン』は機能性と美しさの両立を目指して発足したブランドなのですが、いかんせん値が張ることが多くて敬遠されやすいです。しかし彼はその値段にも躊躇せず、自身が選んだものをプレゼントしようとしました。私はその態度を見て貴女が大切に思われているのだと感じたのです。……長くなりました。お許しください」

「いえ……教えてくれてありがとうございます」

 亜美さんの言う通りだった。

 バッグを選んでもらうというだけの行為なのに、竜胆さんが私のことをちゃんと考えてくれたという事実がわかって、なんだか無性に嬉しくなってくる。

「竜胆さんと言いましたか。彼はきっと優しい青年なのでしょうね……そんな彼に大事にされている貴女はきっと幸せなのでしょうね。その縁を大切にしてくださいね」

 幸せ。どうしてだろう。その一言は私の中にズンと重くのしかかった。

「は、はい……大切にします。今日はありがとうございました」

「こちらこそ。またのお越しをお待ちしております」

 会計が終わった竜胆さんたちは既に店の出口まで移動していた。私は皆さんにお礼を言って、店を後にした。


「竜胆さん」

「ん? どうかした?」

 店を出て少ししてから、私は竜胆さんを呼び止めた。

「その、私……もう一つ、買いたいものがあるんですがいいですか?」

「いいよ。ここに売ってるかな?」

「はい、特別なものではないので」

「じゃあ行こうか」

 私が目的の物を竜胆さんに伝えると、竜胆さんはまたのんびりと歩き始めた。


 目的の物も無事買えて、帰路について少ししてから、

「中々楽しい雰囲気の店だったね」

 丁寧な運転をしつつ竜胆さんはそう呟いた。

 私の膝の上には買ってもらった二つのバッグが鎮座している。

「そうですね……店員さんたちも丁寧に教えてくれましたし、明るい感じで……」

 先程の彼女たちを思い返す。

 明るく元気な田島亜美さん。

 ちょっとクールでブレーキ役の川口さゆさん。

 厳しい雰囲気を漂わせていた店長さん。

 皆さん仕事に対しての向き合い方は違っていたけれど、彼女たちのお陰でとても楽しい気分になれたと思う。

「……そういえば竜胆さん。今日の買い物の間、ずっと私がその……竜胆さんの彼女ってことに、なってたんですが」

「ん……あぁ。気分を悪くしたらごめんね」

「そ、そういう訳ではない、ですけど」

「僕は『三人称としての彼女』で使ったつもりだったんだけど、あの人……田島さんだっけ、彼女は『交際相手の呼び方としての彼女』に捉えたみたいだったね。勘違いしてるのはすぐ気づいたんだけど、訂正しない方が話がスムーズに進みそうだったから」

 竜胆さんはしれっと訂正しなかった理由を言った。全然動揺してない様に見えるのが、何故か少しだけ悔しい。

「スムーズ……」

「気を悪くしたなら謝るよ。ごめんね。でも事実だけ見ると『訳あって同居してる女性に、交際もしてないのに高価な物を送ろうとしてる』状況だからさ。初対面でそんなこと言われても向こうも困るだろうし」

「確かにそれは困りますね……」

 さゆさんや店長さんは困ると思う。……亜美さんは案外それはそれで食いついてきそうな気もするけれども。

「良い買い物ができた。それで充分じゃないかな」

「そう、ですね……竜胆さん。その、この後なんですけど、散歩、しませんか。私、この町のこと全然知らないので、案内してもらえると嬉しいです」

 私は竜胆さんに買ってもらって舞い上がっていたのかもしれない。早くこのバッグを使ってみたくて、出かける用事をちょっと無理にでも作りたかった。

「今日は暖かいし、いいかもね。そうしようか」

 そんな私の心中を知ってか否かわからないけれど、竜胆さんは直ぐに快諾してくれた。

 店長さんの話を聞いた後だと、私に対しての思い遣りからくる言葉であってほしいと期待する自分がいる。

「じゃあ買い物を仕舞い終えたら出かけようか。……話はちょっと戻るけど、優奈ちゃん」

「? なんでしょう?」

「手帳なら家にももう少し大きいのがあるけれど、そんな小さなやつでよかったの?」

 竜胆さんはちらりと私の手元にある手帳に目を遣った。最後にお願いして買ってもらった、紺色の小さな手帳。文字も十数行程度しか書けない大きさだけれども——

「これでいいんです。そこまでたくさん書くわけではないので」

「そうなんだ。どんなことを書くのか聞いてもいいかな」

「あまり用途は決めてないんですけど、その日に感じたこととか、本に出てきた気に入ったフレーズのメモとか……自由に書き込める物があるとなんとなく安心するんです」

「日記とはまた違う感じ?」

「毎日書くわけではないので……それに持ち運びやすいので、このくらいでいいんです」

「そっか。教えてくれたありがと。ちょっと気になっただけで深い意味はないから」

 その言葉を最後に竜胆さんは黙ってしまったけれど、私はこの沈黙は嫌いではなかった。帰ったら買ったものの整理をして、その後は散歩して。晩御飯を終えたら今日あったことを書き残そう。


『邂逅』に行ったこと。

 渡さんに会ったこと。

 竜胆さんにバッグを選んでもらったこと。

 明るい雰囲気の店員さんたちのこと。

 もしかしたら散歩中にも素敵なことに出会えるかもしれない。


 そんな些細なことだけど、ずっと覚えていたいことを書き残そう。色々考えている内に、私は初夏の陽気に当てられて——やがて夢の中に落ちていった。

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