第5話 ステータス、割り振ってみた。
名称:トウゴウ
レベル:62
職業:拳法家
体力:138
筋力:24
耐久:20
知力:13
敏捷:21
運:5
ステータスポイント:789
スキル:死霊術Lv1
「おー?」
師匠の宣言によって開かれたステータスをみんながのぞき込む。
「あがってる、よな?」
「思いのほか変わらないね?」
最初のステータスはたしか体力が120で筋力が20だったから、それぞれ18と4は上がっている。
「まあ1次職ですからね、こんなものでしょう。 高次の職になるほど補正は大きくかかりますよ」
なるほど? 職業登録の案内嬢は続けて教えてくれた。
「職業の経験値は一般の経験値と別枠で加算されていきます。皆さんでしたらちゃんと適正レベルのダンジョンで戦えば1回か2回で2次職へのジョブチェンジ条件を満たせるでしょう」
そうと聞いては待ってはいられない。早々にステータス割り振りと装備を整えて冒険に出発せねば。
◇
ギルドでの要件を終え、一旦酒場にやってきた俺たちは腰を据えてステータスの配分を考えていた。
「やはりどれかのステータスに特化すべきなのでしょうか?」
「だとしたら筋力と敏捷の2つに全部突っ込むか?」
「知力にも振っておいた方が良さそう……特にトウゴウは」
「おいおいお嬢さん聞き捨てならないな?」
なんて喋りながらあれこれうんうんと悩み続けている。
体力や耐久がないと高レベルのダンジョンでは1発でもくらえばおしまいだろうし、知力も知力でスキルという魔法を混ぜたような攻撃を使うには必要らしい。
それぞれの戦闘スタイルに合わせて、最終的には筋力と敏捷を軸に、それぞれこんなステータスに割り振ってみた。
名称:トウゴウ
レベル:62
職業:拳法家
体力:533
筋力:261
耐久:99
知力:170
敏捷:258
運:5
スキル:死霊術Lv1
名称:リーリア
レベル:58
職業:無職
体力:495
筋力:242
耐久:96
知力:245
敏捷:166
運:6
ステータスポイント:0
スキル:なし
名称:エリザ
レベル:56
職業:無職
体力:522
筋力:314
耐久:93
知力:155
敏捷:157
運:5
ステータスポイント:0
スキル:なし
名称:ノース
レベル:56
職業:無職
体力:837
筋力:232
耐久:177
知力:162
敏捷:96
運:8
ステータスポイント:0
スキル:なし
「おぉ~」
何がというわけではないが、割り振りを終えたステータスを見て俺たちは口をそろえて達成感の声を上げた。
俺は敏捷を多めに、リーリエは知力、エリザは筋力、ノースは体力と耐久に比率を重めに割り振ってある。
割り振る値が多いからまず比率を大まかに決めてそれをステータスポイントで按分して、と羊皮紙の上で計算を始めるとリーリエもノースも、信じられないものでも見るかのように驚いていた。
俺は別にバカなわけではない。ちょっと抜けているだけなのだ。
「でかい声出さないように猿ぐつわしてくるような奴なのにな」
「うるさい」
エリザが口を挟むから横目に悪態をついてやった。
「エリザとトウゴウさんってなんだか異様に気心知れた感じと言うか、仲良く見えるときありますよね?」
にぎくっとする俺とエリザ。
「まあ、脳筋同士通ずるところがあるんだよな! トウゴウ」
「そ、そうだな! お前の脳筋具合には負けるがな! 」
「んだとコラ! 」
ごまかしついでに喧嘩になりかけたが、今はステータスの結果をじっくり確認しよう。
「まあまあ、とにかくこれで各自の方向性はおおよそ見えたな。俺は敏捷、ジークンドーの極意はスピードだからな。それに合ったスキルを習得するつもりだ」
「私は知力にウェイトを置いてみました。拳法家たるものフィジカルのみで、とも思いましたが、どうやら太極拳における気に相当するものが魔力と同一視されることもあるようで、気の流れ、魔力の流れは押さえておくべきかと」
「そんな話の後でなんだが、あたしはやっぱり筋力にしたよ。実際戦闘でも攻撃される前に倒しきるのが一番安全だしな。パワーこそ正義ってやつだ」
「わたしは体力と耐久。理由は特にない。」
特にないと言っているが、ノースは俺の胸のあたりまでしか身長がないこんなに小柄でいて案外打たれ強く、そもそも彼女が使用するシステマと言う武術自体が極めて防御に重きを置いたものであることから、これ以外ないという割り振りと言ってもいいだろう。
「拳法家しかいませんから、前衛後衛という分かれ方にはなりませんが、物理、魔法、敏捷型、そしてタンクに近い役割と、バランスよく収まったんじゃないでしょうか」
「おー、なんか冒険者っぽい言葉使ってる」
ノースがリーリアに茶々を入れる。リーリアは飲み込みは速いんですと胸を張った。
ステータスポイントは教会である程度金を積めば振り直しもできるそうなので、ある程度は思い切って決定した。
実際に戦闘をしてみて困ることがあればその時に考えればよいだろう。
「いやー早く試してみたくてしょうがないな!」
エリザが少年漫画の主人公みたいに両手を頭の後ろに添えてワクワクしている。
「もう行っちゃってもいいかもしれないな、ダンジョン」
「えっ、でもまだほかにも準備が」
「でも、もう行きたくてしょうがないだろ?」
リーリアもこぶしを握ってうずうずしている。
それを指摘してやるとぱっと顔を赤らめた。
「決まりだな!」
割り振ったステータスで一体どこまで効果が出ているのか、まずは手始めに、この前苦戦した推奨レベル20のダンジョンで確かめることにした。
~凄腕のジークンドー使いが拳法家パーティから突如追放を言い渡される(声がうるさかったんですね、すみません)~ tesshiko @tesshiko
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。~凄腕のジークンドー使いが拳法家パーティから突如追放を言い渡される(声がうるさかったんですね、すみません)~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます