14 共同探索

「ところであんた達、俺達と共同で探索するか? 条件はさっきと同じ。二組だから戦利品を二等分になる」

「……共同か。そうすれば俺たちは二人、あんた達も二人。あいつらより頭数が増えるな。正直、俺達だけじゃリスクが高すぎるとも考えていたんだ」


 二人組の交渉役だった男が言う。

 すると、これまで黙っていたもう一人、フードを目深にかぶった女が言う。


「ちょっと! 余計なこと言うんじゃないわよ!」

「いや……ここは肩肘張ってもしかたがない。共同探索を飲もう。無理をしてお前がケガをしちまったら、困る」

「……もう! なに言ってるのよ……バカね」


 男が女の肩に手を置いて諭す。女はうつむく。


 少女があきれ顔で言う。


「いちゃつきだしたわよ! ……商人、早く話を進めて!」


 商人は表情を変えずに言う。


「……共同探索の条件をつめさせてもらう。戦闘は各々で行う。手助けの義務はないが、可能なら共闘してもいい。撤退するときは声をかけて同時に行う。声がかけられる範囲、つまり同じ階層を同時に探索する。ここまではいいか?」

「いや、よくない。義務とは言わないが、手助けはお互い積極的に行うようにしてくれ。俺は戦士だが、彼女は斥候だ。戦力としては期待しないで欲しい」

「ちょっと! また余計なことを……はあ。まあいいわ」


「ちなみにあたしは剣士で護衛よ!」


 少女は腰に吊った剣に手を当てて、自慢げに言う。

 商人は無視して続ける。


「……では、戦闘は共同で行う。手助けの努力はするが、義務はないものとする。危険だと判断すれば、各自の判断を優先する。それでいいか?」

「それでいい。見ず知らずのあんたたちに頼り切るわけにはいかないからな」


 フードの女が不満げな声を上げる。


「……私は斥候としての技術を提供する。そっちの商人さんは何の役にたってくれるの?」

「俺は戦える。そして商人としての技術も役に立つだろう」


 フードの女はさらに詰め寄るように言う。


「商人としての技術? たとえば?」

「言う必要はないな」

「このっ……!」


 商人が言うと、フードの女が何かを言いかける。

 戦士の男がそれをさえぎる。


「おい、あまり失礼なことを言うな。これからともに探索するパートナーだぞ!」


 そこに少女が便乗する。

 楽しげな笑みを浮かべている。


「そうよ! 余計なことを言わないで欲しいわ!」

「このっ! ……はあ。まあいいわ。パートナーさん。よろしく頼むわね」


「ああ、よろしく頼む」


 交渉はまとまった。

 商人たちと二人組は共同での探索へと乗り出した。

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