幼稚な先輩
「──リエンカーネーション!!」
……
……
「詠唱完了、目を開けてもらってかまいませんよ。」
「あれだけだったのね、そうですか……」
てっきり、もっとこう長いのをイメージしていたのだが、割とあっさり短かった。
すこし物足りなさはあるがどうこう言っても仕方ない。
とりあえず目を開けてみると床の魔法陣はまばゆく輝き、周囲にはいろいろな文字や映像が液晶板として浮き上がっている。
女神シュテルンはそれらを横にスクロールし、ある一つを選びだした。
「転生可能な世界は沢山ありますが一番ACに……地球に似通っている世界です。
もちろん違うところはありますけれど」
「ほう。例えばあれか? モンスターがいるとかか?」
「それもあります。
しかしそれよりも大きな違いが──」
その続きが話されることは無かった。
なぜなら。
「おぉ~い!! シューちゃん一人だけ逃げるのずるぅ~い~!!」
「な……せ、せせ先輩……!?!?」
見ると宇宙のような空間の一角、女神様が座っていた方の壁の一部が縦に長い長方形のように途切れ、扉のようになったところに金髪ツインテールの幼女が立っていた。
──うん……あれが先輩なん!?
もしや天界は年齢という概念が存在していないのか……はたまた幼稚なだけなのか……。
もちろん声には出さないが、頭の中でそんな事を考えていると。
「後者の方です。」
「お、おう……。
ちなみに聞くけどどんな奴なんだ?」
「先輩……シズク先輩は
挙句の果てに他の女神の職場まで割り込んでくる。
今、天界で一番堕ちる可能性が高いと言われる女神です。」
「ほっとんど堕ちたようなもんじゃねえか……!?」
──そんな
すると俺達の会話が聞こえたのか、はたまた
「しかし不味いね……このままだと私も地獄に堕ちて堕女神になる……」
「え? マジで!?」
「あ、嘘です。」
「なーんだ嘘か〜……じゃないだろ!絶対ガチだろそれ!
心の声ダダ漏れだぞ!?」
そんな会話をしていると、水色髪の方の女神様は色々な方向から逃げるように宙に浮いた液晶版を操作し始める。
「……さっさと
これ以上留まっていてもなんら良いことがなぐへぇ……!?」
「シューちゃんが行くならわたしも連れてってぇ〜!!」
後ろから金髪のツインテールを大きく揺らしながら先輩女神様(?)が、後輩女神様の背中に飛び付いた。
「だ、ダメですよ先輩っ!! 私だけならまだしも先輩まで付いてきたら余計騒がれますよ!?」
「や〜だ〜!! わたしも行くの〜!!」
──先輩が後輩に飛び掛かって駄々こねるって、子供じゃねえか!
「いいじゃねえかもう一人くらい──」
「あらら? なにをしていますの? あなた達」
割って入って仲介しようかとした矢先、背後から声がかかり、女神二人はビクッと肩を震わして、お互い声が聞こえた方向に振り返った。
そこには輝く銀髪を腰あたりまで伸ばした女性、絵に書いたような女神が立っていた。
「「
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