　うっかりな俺は、自然と胸が高鳴る中で手足の裾を折り曲げる。若返りの変化を確認するために全身を動かす。全身は普段以上にしなやかに動き、抱えている件は全て取り除かれているようだ。

（これはいいな。よし！　あとは成るように成るだ！　知らない土地での冒険か～。ワクワクしてきたな！）

　高揚な俺は、思わず笑みをこぼしながらガッツポーズを軽く決めて転勤で見知らぬ土地に向かうかのように軽薄に思考していた。

「ちょっと～。異変を調べることが大事なんだから～」

（おっと心を読まれたか。釘を刺されたな…）

　糸目な女神は口煩い親戚のおばちゃんのように話した。軽薄な俺は瞬間にドキッとするが反射的に顔を左側に背けて素知らぬ振りで幼少期から慣れていると思考した。。

「こっちが落ち着いたら一回連絡するから、それまで、あんまり無茶はしないでよね！」

「大丈夫だ、安心しろ。無茶はしないよ」

　不機嫌な女神は苦言を呈すように話した。余裕な俺は顔を戻しながら体調がすこぶる良いために屈託のない笑顔を見せて返事を戻すことができた。

「そ、そう。それならいいけど…」

　言葉を詰まらせる女神は、頬を赤く染めながら顔をこちらの態度が不服かのように俺から見て右側にぷいっと背けつつ返事を戻した。顔の向きを固定し、何かを見つめながら表情を素に戻し始める。

「どうしたんだ？」

「あとは、あれを抜ければ、私の世界に行けるわ」

　不可解な俺は疑問に尋ねた。冷静な女神は左の腕と人差し指を伸ばして道を示すように話した。不意な俺は示す道を確認する。道は、神界に辿り着く切っ掛けになる若干の装飾が施されている白色の扉がポツリと存在していた。

「あれは、どこに繋がってるんだ？」

「街の近くの洞窟よ」

「街の近く？　それだと、見つかったりしないのか？」

「平気よ。結界を張って見つけられないようにしてあるから」

　冷静な俺は、見つめる扉から少しの因縁と感慨を覚える中で間を置き、扉の向こう側を尋ねた。平静な女神はさらりと返事を戻した。不安な俺は視線を女神に移しながら疑問に尋ね、澄まし顔の女神は何も問題ないとジェスチャーしつつ返事を戻した。

「モンスターは？」

「それも平気。結界で入れないし、外にはスライムぐらいしか居ないから安全よ」

（出た！　異世界名物スライムだ！！！　やっぱり、あれは居るのか～）

　引き続き不安な俺は疑問に尋ね、ジェスチャー中の女神はこちらを安心させるかのように微笑みを見せながら返事を戻した。不意な俺は、思わずスライムの名を耳にする瞬間に俯きながら両拳を硬く握り締めつつ歓喜に思考していた。

（あっ。そう言えば、デカいのとか毒を持つ凶悪な奴らもたぶん居るよな…？）

「そのスライムは、強いのか？」

「あっ、あそこのは弱いわ。近付いても鈍いから直ぐに気付かないし、動きも遅いから襲われても走って簡単に逃げられるわ」

（良かった～。スライムは弱いのか～。やっぱり、そっちの方が可愛いからな～。だが、襲ってくるのか～…。あそこのってのが気になるが…、今はいいか）

　歓喜な俺は、思わず顔を上げ、最近のスライム達は凶悪な件を思い出して疑問に思考した。不安が甦り、視線を女神に戻して尋ねた。戸惑うような女神は言葉を詰まらせたあとに顔を逸らして返事を戻した。安堵な俺は腕組しながら可愛らしいスライム達を思い浮かべつつ二度頷き、些細なことは気にしないようにと思考した。

「それと、洞窟の中にお金と服を用意しておいたから、着替えてそのまま街に向かうといいわ」

「街には、どう行けばいいんだ？」

「ふふ～ん。街は、洞窟を出て真っ直ぐ進むと街道に出るから、その道をまた真っ直ぐ進むと辿り着くわ！」

　顔をこちらに戻す女神は、少しだけ得意気に話した。不安な俺は疑問に尋ね、前屈みでにんまりしながら鼻を鳴らす女神は、背筋を伸ばしてどこかに向かって右の腕と人差し指を真っすぐ力強く二度伸ばしつつ声を張るようにして話した。

（…、やりたかったんだろうな。そっとしとこう…。それより！　まずは真っ直ぐ行けばいいのか。出たとこ勝負は慣れてるし、なんとかなるだろう！）

　唖然な俺は、女神を慈愛の心で静かに見守り、気持ちを切り替えて行き当たりばったりが得意というよりは好きなために陽気に思考した。

「わかった。さっそく行ってみるよ」

「付いて行かなくてもいい？」

「ん？　向こうの世界にか？」

「扉までよ」

「それならいいよ。子供じゃないし」

「そう…。それなら、頑張ってね！　十分に、気を付けてね！」

「ああ！」

　陽気な俺は、体の向きを変えながら一時の別れを話した。歩き始める俺に女神は尋ね、不意な俺は歩きを止めて顔を戻しつつキョトンとしている女神に疑問に尋ね返した。むすっとする女神は不機嫌に返事を戻し、唖然な俺は丁重に断りの返事を戻した。名残惜しそうな女神は、弱く呟いたあとに両腕でガッツポーズを見せつつ鼓舞するように話した。歓喜な俺は、頬を緩めたあとに顔を前方に戻しながら左手を軽く上げつつ力強く返事を戻した。勇敢に扉に向けて真っ直ぐ歩き始める。

（あの向こう側に、新しい未来が待ってるんだな！）

「いってらっしゃ～い！　本当に、気を付けてね～！」

　勇敢な俺は、自然と胸が弾む中で歩き続けながら改めて扉を見つめて夢のような未来を想像しつつ力強く思考した。背後の離れた場所からの女神の声援を耳にした。瞬間に後ろ髪を引かれるが振り返らない。背中と軽く上げる左手で返事を戻した。

　このようにして、俺は女神の下から出発した。