第36話 ステータスとレベル差
「もう、お腹いっぱ~い」
俺がベッドに腰を下ろしてステータス画面を覗いていると、隣で仰向けに寝ころんでいるモモが満足げにお腹を擦りながら呟いた。俺達はモモのみが釣った魚を美味しくいただいたあと、部屋に戻っている。
「あれ? お兄ちゃん。何してるの?」
「ん? ああ、ここをこうやってだな…」
ステータス画面を操作している俺に気付きモモがゴロンと寝返り、打つむせでこちらに這い寄りながら物珍しそうに尋ねてきた。俺は返事を戻しながら操作方法を教える。
今の俺は、ステータス画面に表示されている項目を整理をしている。試しにと様々なスキルを覚えてみたが、それらがずらりと並び見辛いためだ。この画面は、項目を表示と非表示に切り替えられる。
「あまり使わないものは画面に表示させないようにして…。よし。これでスッキリした。異世界機能は便利だなっと」
「へ~。こんなことができるんだ~」
(俺と一緒に、マリーから話を聞いてたはずなんだが…。まあいいか)
「モモのも、あとで見せてくれな」
「うん。いいよ~」
【ステータス】
俺の話に、モモは初耳のように返事を戻した。当時を思い浮かべた俺だが、そんな些細なことは気にせずにそう伝えた。返事を戻したモモは、早速ステータス画面を開いて操作し始める。そして、俺のステータス画面はこんな感じになった。
ーーーーーーー
名前:ルーティ
LV:6
ギルドランク:F
HP:55
SP:50
MP:45
力 (STR):43
攻撃力(ATK):47
生命力(VIT):46
防御力(DEF):45
知力 (INT):35
抵抗力(RES):37
器用さ(DEX):38
素早さ(AGI):40
運 (LUK):35
スキル
スキルマスター
片手剣 LV 6:
盾 LV 6:
水魔法 LV10:ウォーターボール、アイスニードル
空間魔法 LV10:ストレージ
ーーーーーーー
空間魔法がLV10になり、俺は漸く冒険者セットをストレージに収納することができる。
冒険者セットは所謂キャンプ用品セットで、食器や調理器具にテントなどが仕舞われた大きめな革袋のことだ。雑貨屋で販売されていて、俺は事前に一つ購入している。テントは一つのみだが、2人で眠るスペースは十分にある。
(これでやっと遠出ができる! 前からやりたかった金策を初める時が来たな!)
俺は遠足に出掛けるような気分で、ストレージの中にそれらの荷物を詰め込んむ。
そのあと、俺はしばしステータス画面を眺めることにした。
(ステータスの数値は、やっぱり見てて楽しいな! ゲームでもレベルが上がった時の数値を見てるのは好きだったし。だが…、この世界ではこの数値はあまり意味がないな…)
過去を振り返りながら思考を巡らせた俺は、これに気付く。例えば、こちらのHPが高くても、首を刎ねられれば即死する。同様に、こちらの攻撃力が低くても、相手の首を刎ねさえすれば即死させられる。そのため、これらの数値を鵜呑みにして戦うことはできない。
(それと、レベルが上がった時の数値の増える量は、いいものだと3だと分かったな。そうなると、初期の数値がオール30だった俺達と他の冒険者達のステータスの数値の差は、凡そプラス20だ。レベルに換算すると7ぐらい違う。レベル6に7をプラスして、今の俺の実質のレベルは13だ。これはスライムばかり倒して、遊んではいられないな。とある魔女のように、300年も生きられないしな…)
数値の増える量はレベル2の時にも確認していたがその後も変わらず、マリーにも確認したが他の冒険者達も同様とのことだ。そして、他の冒険者達のLV1の時のステータスの数値は概ね10以下とのことで、そこから実質のレベルを計算した。好きなアニメを思い出しながら、俺は思考を続ける。
(あとは、初期の数値がオール30だったのは、やっぱり女神の力だったみたいだな。純粋にありがたいが、女神は今頃何をしてるんだろうな? お礼に、モビルスーツでも送れるといいんだが…)
「うわあっ!」
(ん? モモか? いや、幻聴だな。妄想はほどほどにして、そろそろ現実に戻ろう)
お礼にと前回創ったお洒落なチェック柄のモビルスーツの色違いバージョンを、女神がいる狭間の世界の先に創った物の隣に配置した。誰かの声が聞こえた気がしためモモを見るが変わった様子はなく、そう判断した俺は妄想の世界から現実に戻る。
「モモのも見せてくれ」
「うん、いいよ。こんな感じだよ」
気を取り直した俺が声を掛けと、返事を戻したモモは俺の隣に移動して胡坐をかく。俺は、モモのステータス画面を確認する。
ーーーーーーー
名前:モモ
LV:6
ギルドランク:F
HP:53
SP:50
MP:50
力 (STR):40
攻撃力(ATK):41
生命力(VIT):34
防御力(DEF):37
知力 (INT):38
抵抗力(RES):36
器用さ(DEX):39
素早さ(AGI):48
運 (LUK):45
スキル
ニュータイプ
片手剣 LV 8:
二刀流 LV 8:
光魔法 LV10:ライト、ヒール、プロテクト
風魔法 LV10:サイクロン
空間魔法 LV 5:ストレージ
ーーーーーーー
「私とお兄ちゃんのだと、数字が違うよね?」
「多分だが、戦い方が違うからだろうな」
「どういうこと?」
自分のステータス画面を見ているモモが、俺に視線を移しながら尋ねてきた。モモを見返しながら俺が返事を戻すと、モモは若干首を傾げて再び尋ねてきた。
「モモは、移動しながら相手を切ってるだろ? だから、力よりもスピードに頼ってるんだ」
「それで、素早さがお兄ちゃんよりも高くなったの?」
「多分、そうだ」
「ふ~ん。そうなんだ~」
俺の説明に、モモが三度尋ねてきた。俺が恐らくで返事を戻すと、モモは上を見上げながら何かを試行しつつ返事を戻した。
(モモの不思議がる顔も、かわいいな)
「それなら、風みたいになれるかな!?」
「どうだろうな~? でも、俺の知ってるゲームのキャラは風よりも早いから、多分なれるだろうな」
「やったー!」
俺が見惚れていると、話し始めたモモはこちらに顔を向て嬉しそうに尋ねてきた。一度上を見上げて悩んだ俺は、再びモモに視線を移して微笑ましくそう伝えた。モモは声を上げながら、大きく万歳した。
モモの数値の上がり方は、俺とは異なる。初期の数値が同じなため、この世界のステータスは戦闘スタイルで変化するようだ。それと、少しずつだがモモにも空間魔法のレベルを上げてもらっている。苦手な魔法とはいえ、必須だと考えたためだ。その結果、今のモモは金を仕舞う革袋プラス少しの収納が可能だ。
「だいたい分かったから、今日は今から銭湯に行って早めに寝るか?」
「うん。明日からは、頑張らなくちゃだしね」
明日を考慮した俺が尋ねると、その事が楽しみだと言わんばかりの笑顔でモモが返事を戻した。こうして、今日の俺達は普段よりも早く就寝することにした。
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