弐「その名はフレドリク(弐)」
》同日 二十一時十分 大阪・
『例の渡瀬式
陸海軍統合歌唱省の事務次官を名乗るその男は、父を威圧するようにそう云った。
わざわざ威圧なんてしなくても、気の弱い父は肩書を見ただけで震え上がると云うのに。
『中華民國は遠からず
『
またあくる日は、外務省の重鎮を名乗る男がヒステリックな様子で父に詰め寄る。
『
(
大方、天皇陛下に直訴する度胸もなくて、腹
『どうしよう……嗚呼、千歳、私の宝物、私はどうしたらいい!?』
泣きついてくる父を見下す毎日。
結論なんて、とっくの昔に出ている。
あの新星
撒菱重工内、政府内でも極々少数の人間しか知らない事実。他ならぬ自分が、リバースヱンジニアリングの最中に発見した最悪の事実。
……当たり前の処置だろう。
仮想敵国に武器を売ると云うのは、そう云うことだ。
「……だから、私がやるしかないのよ」
自作の
「フレデリカ? 歌子? ……個人の感情に構う暇なんて、一刻一秒も無いのよ」
国家の兵器開発・製造を一手に引き受けている、撒菱重工。
その一人娘にして
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