第27話 2010年12月10日
「おはよう!」
元気に声をかけてきたのは森さんだ。
「おはよ~!どしたの?森」
久しぶりに出勤してきた大沼さん。
二人は同級生だから苗字で呼び捨てだ。
「今日は久しぶりに大沼が来たから女子だけで飲みに行かない?」
女子だけで歓迎会か。
それもいいかも!
「由美ちゃんはどう??」
「私は大丈夫ですよ^^」
「トモちゃんは?」
『私も今日は金曜日だからたぶん大丈夫ですよ』
金曜日は子供はじいちゃん、ばぁちゃんが大好きなので私の実家に泊まることが多かった。
あとで親に連絡しておこう。
「じゃーみんなOKね!突然でごめんね!また、あとでね」
そう言って森さんは自分の職場に戻っていった。
「皆さん、仲いいですね^^」
と由美ちゃんは笑顔で聞いてきた。
『うん、みんなすごく仲いいんだよねぇ。由美ちゃんの前の支社はそんなこと無かったの?』
「前のところはこんなに若い人がいなかったので・・・
みんなおばちゃんばっかりだったので。
でも、皆さん凄くいい人ばかりでしたよ!」
『そか、同世代がいるといいよね~』
自分の親世代の方達とも由美ちゃんはきっと上手くやっていってたんだろうな。
人間関係がとても良好でもない環境でも、一つも愚痴を言わない由美ちゃんに私は感心した。
終業後、私たちは森さん、毛塚さんと合流した。
女5人で駅前の居酒屋チェーン店に入った。
「では、由美ちゃんの歓迎を祝してカンパ~イ!」
みんなでビールジョッキをもって乾杯した。
「由美ちゃんは、お酒強いの?」
「私、凄く飲むし凄く食べるんですよw」
「え??そんなに細いのに?」
由美ちゃんはホントに細い。
また、女特有の凄く食べるって言っといてじつは裏では凄く努力してるタイプなのか?
その会話を聞きながら私はそんなことを考えていた。
しかし、由美ちゃん・・・
次から次へと食べる、食べる・・
そして、飲む、飲む・・・
『え?由美ちゃん、そんなに食べて大丈夫なの?』
「はい、全然大丈夫ですよ~^^」
あ、ホントにこの子は食べる子なんだ~
凄く細い身体のどこに入るんだ??
そんな事を考えながら由美ちゃんの身体をじっと見つめていると
「そんなに見ないでくださいよw」
由美ちゃんから突っ込みが入った。
そりゃ、そうだw
『ごめん、不思議でさ^^;』
これじゃ、ただのスケベ親父だ。
そんなやり取りをしていると、森さん達は恋愛話をしだした。
「ねぇ、由美ちゃんは今彼氏いるの?」
単刀直入で聞く森さんw
「いますよ~ヒップホップグループでラップやってますw」
(当時はヒップホップが流行っていた)
「ラップ!?!?」
みんな驚いて一斉に由美ちゃんの方に顔を向けた。
「へぇ~凄いね!」と大沼さん。
「今度こっちのクラブでもライブやるみたいなので皆さん一緒に行きますか?」
「行きたーい!!」
みんな口を揃えてそう答えた。
私はクラブなんて行ったことなかった。
自分の中では怖いイメージしかなかった。
大丈夫かな・・・
みんなと一緒だから大丈夫か。
『ねぇ、私はクラブとか行ったことないんだけど・・・大丈夫かな?』
「え?全然、怖いとこじゃ無いですよ~^^」
一人ビビってる私。
情けない。
すると森さんは
「ねぇ、由美ちゃんはどのくらいの人とお付き合いしたことあるの?」
とまたぶっ込んだ質問をしてきた。
「私ですか?私はそうですね~1クラスじゃ足りないぐらいですかね・・」
なに!?!!
「え!?そんなにいるの!?」
みんなまたまた驚いて由美ちゃんの顔を見た。
いや、確かに可愛いしスタイルもいいし、モテただろうけど1クラスってw
「普通じゃ無いですか????」
と、べつにたいしたことじゃ無いって顔の由美ちゃん。
「いや・・・私はそんなにいないからな・・」と森さん。
「私もそんな子初めて聞いたけど・・」と大沼さん。
「え?どういうこと!?」と毛塚さん。
みんな驚きが隠せない。
すると由美ちゃんが
「だって、やってみないと相性って分からなくないですか?」
!?!?!?!?!?!?
みんな口開いてますよw
あ、そっちの相性ね^^;
私も驚きは隠せなかった。
『で、でも、そういう考えもあるよね!』
と私は一応フォローは入れた。
「うん、確かにね・・・」と森さん。
「だって、そっちが駄目だったら私絶対嫌なんです!」
と、力強くいう由美ちゃんに誰も何も言えなかった。
考え方は人それぞれだ。
でも、あまりにも顔と行動のギャップが違いすぎて驚きは隠せなかった。
だけど、それだけ男性が近寄ってくるってことだ。
可愛いは得だ。
それだけ選択肢が多いことだ。
私はうらやましいと思わずにはいられなかった。
窓に写る自分の顔を見てため息をついた。
今日の飲み会は由美ちゃんの意外な一面が見れて終始驚きぱなしだった。
人は見かけによらないな・・・
多恋体質 雲野月 @kazehikinotuki
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