第19話 2010年11月2日

今日は細川さん、森さんカップル?を就業後会う約束をしている。


終業を知らせるチャイムが鳴った。

私は細川さんのそばに行った。

『いけますか?』

「おう、大丈夫!」

『ところで場所とか決めてないんですけど、どこにします?』

「あー、大丈夫、あいつが準備してるから」

『準備??』

「まー、いいから、いいからー」

『は、はい・・・』


私が呼び出したけど、二人で何か計画していたようだ。


森さんはパート勤務のため先に退社している。

私は細川さんを自分の車に乗せ、細川さんのナビで車を発進させた。


『どこ、いくんですか?』

「まぁまぁ、大丈夫、案内するから運転して?」

『は、はぁ』

私はとりあえず細川さんの言うとおり車を運転した。


間もなくすると、山道に入る道を案内された。

かなり急な坂道が続いた。

『あのーこれ、合ってますよね?』

私は不安になって細川さんに聞いた。

「心配しなくても大丈夫だから、ぶつけるなよ!」

偉そうに・・・と私は口を尖らせていた。


すると、ある一軒家が見えた。

「ここ、停めて」

『は、はぁ』

と私は車を停めた。

すると家の中から森さんが出てきた。

「いらっしゃい。わざわざごめんねー」

と言ってきた。

そう、ここは森さんの自宅だったのだ。

実家住まいのようだが、ご家族は?と疑問に思った。

『森さんの家ですか?ご家族は?』

「今日はみんな仕事で遅くなるから大丈夫!」

『でも、いいんですか?』

「うん、大丈夫!上がって!」

そう、促されて家の中に入った。

細川さんは自分の家のようにズカズカ入って行っていた。

その姿を見て、この人は彼女の実家にも普通に来ているんだなと思った。


『あのー、ご家族の方は細川さんのこと知ってるんですか?』

と、森さんにぶっ込んだ質問を振ってみた。

「うん、細川と付き合ってる事は両親は知ってるんだ」

え!?と私は驚いた。

『ご家族はなんて?』

「うーん、最初は反対してたけど今は何も言わないね」

『じゃー家族公認の仲なんですね』

「公認って言うか、もう仕方ないって感じみたいw」

と笑って私に話した。

いや、笑い事ではないでしょ。

娘も娘だけど親も親だなと思った。


これ以上、他人の家を詮索するのはアレなので本題に入ることにした。


『じつは、折り入って二人にお願いがあります』

「なに?」と、森さん。

『まず、私は細川さんに言われる前にうちの会社の人と付き合ってる(付き合ってるか微妙だけどあえて付き合ってると言っておいた)人がいたんです。』

二人はうなずいて聞いてる。

『その人と細川さんのことがあってから、うまくいかなくなり今連絡が取れない状態です』

「あー、そうなんだ・・・ともちゃんは、どうしたいの?」

『じつは、寄りを戻したいんです。でも連絡が取れないので自宅へ行こうと思ってるんです。』

「自宅に行ってどうするの?」

『とりあえず、会って話したいんです』

「あーなるほど・・・」

『それにお二人についてきて欲しいんです!』

「俺たち!?」と驚く細川さん。

『自分、一人でいく勇気がなくて・・・お願いできませんか?』


しばらくの沈黙の後、

「まぁ、俺はいいけど・・」

少しは私への罪悪感があるのかもしれない。

「春奈はどう?」

「う~ん・・・」

と悩んでる様子の森さん。

でも

「なんか、楽しそうだからみんなでいこうか!」

と言ってくれた。


私は真剣だったけど、二人はちょっとしたデート気分なのかもしれないな・・・

と心の中では思った。

だけど、一緒に来てくれるのは有り難い。

でも二人で騙したんだから、これぐらいしてくれてもいいだろうと私は思っていた。



『○○の方なので遠いんですけど、いいですか?』

二人で顔を見合わせて

「本当に小旅行だなwww」

と、笑った。

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