第18話 2010年11月1日

土日、よく眠れなかったな・・・

細川さんに会って何て言おう。

気まず過ぎ。


「よっ!おはよ!」

振り返ると細川さん。。。

私は思わず周りを見渡した。

誰もいないのを確認して

『おはようございます。』

と、やっと声を振り絞った。

いつもと変わらない細川さん。

なんて呑気なんだろうとその姿を眺めていた。


「なんだよ~元気ないじゃーんwww」

誰のせいだよ・・・と心の中で思った。

私が黙っていると耳元で

「ハルナから聞いたんだって?」

ハルナ??

あー、森さんの下の名前か・・・

そーいえば、春奈はるなっていう名前だっけ。

その言葉で、あ、本当なんだなと再確認した。

二人の親密さがわかった。

それと同時に名前で呼び合ってるのが何となく気に障った。


『あー聞きましたよ

 二股でもしようとしてたんですか?』

「いや、そういうわけじゃないけど最近うまくいってなかったからさ」

『そんな感じには見えませんでしたよ』

私は騙されたとしか思えなかった。

いや、既婚者の私がそんなことを思ってはいけないんだけど・・・

本当の被害者は旦那だ。

でも、そんなこと頭になかった。

この時代の私は狂ってきていた。

一度、甘い蜜を吸ってしまった私はこの世界から抜け出せなくなってしまっていたのだ。


そうだ、もう一度岩井さんに連絡をしよう。

そんなことを考えていた。



家に帰って岩井さんに電話をした。

相変わらず電話には出てくれない。

どうして出てくれないんだろう。

どうしたら出てくれるんだろう。

そんなことばかり考えていた。


この頃の私は旦那を男として見れなくなっていた。

恋愛経験の少ない私は男性に言い寄られる快感に溺れていた。

その快感にもう一度溺れたい。

どうにかして岩井さんを取り戻したい。


私は細川さんに連絡をした。

『明日、折り入ってお話があります。森さんと一緒に終業後時間ありますか?』

そうLINEを入れた。

間もなくして

「おつかれ~別にいいよー」

と相変わらずの返事。

なんで一瞬でもこの人のことを好きだなんて思ってしまったのだろうと少し後悔した。

もう細川さんへの思いは無くなっていた。

逆に好き→怒りへ変わってきていた。

森さんも何でこんな人を好きなんだろう?

見た目は本当に落ち武者のような感じなのに(失礼)



私はある計画を二人に持ちかけようとしていた。

とんでもなく、かつ大胆な計画だ。

このときの私はもう突っ走るしかなかった。

周りが見えていなかった。

できることはやりたい。


この意識を仕事に向けられれば一番いいのだが・・・


自分がこんなに恋愛に夢中になる体質だとは思わなかった。

でも、旦那と付き合ってるときも周りが見えてなかったかもしれない。

そのときの思いはどこに行ってしまったのか・・・

今でも旦那のことは大切だ。

だけど何か違う。

違うんだ。


私はもう後戻りできないところまできてしまったの?

自分の足下が見えなかった。



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