第14話 2010年10月20日

その後、私と細川さんはイイ感じだ。

何となく細川さんは私にも気があるように感じだし、私自身も細川さんと話してるのはすごく楽しかった。

しょっちゅう細川さんは私の隣のパソコンを使いに隣に座った。

他にもパソコンはあるのに・・・

そうやって仕事をするのが私は楽しかった。

毎日そんなことをやっていたら、自然と距離が近づいてるのがわかった。


私は半分会社だということを忘れて

『ねぇねぇ?』

と細川さんの手をツンツンしてみたり。

それに応えるように

「なんだよ~」

と嬉しそうににやける細川さん。

そんなことしてるもんだから、周りからはバレバレだ。


でも、こうやってお互い両思いなんじゃないかなぁ?

って思ってる感じ、すごく好きだ。

一番楽しいとき。

岩井さんの時もそうだったけど、こういう時間が女子はみんな好きなはずだ。

恋は始まるときが一番楽しい。

そして、その人にどんどんのめり込んでいく。。。



家に帰り、夕食の準備をしていると岩井さんから電話がかかってきた。

『もしもし?』

「おつかれー」

いつもの声だ。

私たちはお互いの近況を話したりした。

岩井さんは自分の家の猫の話をしていた。

電話の向こうでニャーニャーと鳴き声が聞こえる。


ふと、私は思った。

会社で言い寄られてる人がいると話したら岩井さんは嫉妬してくれるかな・・と。


『あのー・・・』

「なに?」

『じつは、職場で言い寄られてる人がいるんです』

「は?何それ?」

『なんか、私に気があるのか分からないんですけど、仕事中も隣に座ってくるし・・』

「それで?」

『みんなで飲みに行ったことはあるんですけど、そのとき一緒に遊びに行こうとか言ってきたり』

「それで遊びに行ったりしたわけ?」

『いえ!してませんよ!』

咄嗟に嘘をついた。

「それでおまえはそれに喜んでるんだ?」

『いえ、喜んでる訳じゃ無いですけど・・』

「いや、おまえは喜んでるな、声で分かるよ」

そう怒った口調で言われてしまった。

私が思ってもいない展開だ。

ちょっとヤキモチやいてくれるんじゃないかと思って話したのに。

私が黙っていると

「もう、終わりだな」

『え!?どうして!?』

「だって、おまえはそいつのことが気になってるんだろ?」

『そんなことないですよ!』

「いや、気分いいだろ?今、そいつに言い寄られて」

図星だ。

確かに気分は悪くない。

『そんなこと・・・ないですよ』

絞り出すように声を出した。

「いや、いいよ、そいつと楽しくな」

今までに聞いたことの無いような冷たい声で岩井さんは言った。

『ちょ、待って・・』

と、言う前に岩井さんは電話を切ってしまった。


ふざけ半分で言ったことがこんなことになるなんて・・

ちょっとヤキモチやいてもらう気分を味わおうと思ってた自分が恥ずかしかった。


その後、何度か岩井さんに電話した。

しかし、岩井さんは電話に出ることは無かった。

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