第13話 2010年10月18日

土曜日の事が頭から離れない。

間違いなく、細川さんとそういう関係になってしまった。

その自覚はある。

会社での細川さんはいつもと変わらない。

同僚の人達といつも通りふざけあっている。

まるで思春期の中学生のように。

あぁ、クラスの中心的な存在の子がなんでモテるのかわかった気がした。


その日は何となく意識してしまって細川さんと話さなかった。



家に帰ってしばらくすると、スマホが鳴った。

「残業中だよ~」

と呑気そうな細川さんのLINEが入ってきた。

『お疲れ様です』

と私は返した。

「何してんの?」

『夕ご飯作ってますけど』

「今日は何?」

『う~ん、生姜焼きかな?』

「いいなぁ~俺も食べたい!」

『じゃー食べにくる??』

「いいの??行く!行く!」

『いや、冗談ww』

「なんだよー(--#)」

     : 

     :

そんなくだらないやり取りがしばらく続いた。

私は何だかとてもそれが楽しくて、嬉しかった。

昼間はみんなと楽しく話してるけど、今は何だか独り占めしてる感があった。

そのときは、すっかり岩井さんの存在を忘れていた。


『子供とお風呂入るのでまた!』

と送ってLINEをやめようとしたら

「俺とも一緒に入ってよ」

!?!?!?!?!?!?!?

この返事の正解は何?

と思いながら、

『じゃーあとで一緒に入ろうね♡』

とふざけ半分で送ってしまった。

「約束ねー」

と送ってきた細川さん。

それを見て少しにやける自分。


私はいったい何を考えてるんだ\(__ )



お風呂から出ると、スマホが光っていた。

画面を開くと、岩井さんからだった。

「お疲れ様」

『お疲れ様です!』

「今日も何もなかった?」

その言葉に思わずドキッとした。

『べつに何もないですよ!』

焦って返事をする。

「それならよかったな!」

『はい、これから子供を寝かしつけするので』

「うん、わかった。おやすみ」

『おやすみなさい』

と私は早々に岩井さんとの会話を終えた。

なんとなく岩井さんと今は話したい気分では無かった。

そう、細川さんのことを考えてしまうからだ。

細川さんは何を思ってああいうことを言うんだろう?

でもそれに楽しんでいる自分もいる。

今まで旦那以外男を知らない私はそれがとても新鮮で楽しいものだった。


黙ってれば、岩井さんにもバレないだろう・・・

私はそう高をくくっていた。

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