第8話 2010年9月24日

 今日は楽しみにしていた飲み会の日だ。もちろん、飲むことは好きだが何よりみんなと楽しくお喋りできることが凄く楽しい。あと、何時間で飲み会だーなんて何回も時計をチラチラ見ちゃったりしてwちゃんと、仕事しなくちゃ!と自分に言い聞かせてもやっぱりチラチラと時計見ちゃうw楽しみがあるとついついテンション上がっちゃってその日は仕事のミスが多かった気がした。。。


 やっと定時の時間。私はそそくさと片付けをして大沼さんと会社の外に出た。今日は飲み会ということで今朝は旦那に会社まで送ってもらった。店は以前、ランチに行った定食屋さんだ。夜は居酒屋に変わるようだ。細川さんと一度ランチに一緒に行った柏木さんが出てきた。柏木さんは自転車で会社に来ているらしく、自転車を押して出てきた。そのあと、委託先の隣のチームの方が何人か出てきた。あと、違うグループのパートの女性が二人来てくれた。パートの女性二人は大沼さんと同級生のようで親しく話していた。

「はじめまして、森です^^」

と、細身の色白の女性が挨拶してくれた。

「お疲れ様です、毛塚です^^」

もう一人の小麦色の肌をした元気そうな女性が続けて挨拶した。

『はじめまして、よろしくお願いします。西田です』

と私も挨拶を返した。

「西田何ちゃん?」と森さんが聞いてきたので

『智子です』

「じゃートモちゃんだね!トモちゃん、宜しくね^^」

と、いかにも学生の乗りのやりとりがあった。結婚後、特に出産後は”○○ちゃんママ”と呼ばれるのがほとんどだったので急に距離感が近くなったようで私は嬉しくなった。


 店に入って乾杯をした。

『これから宜しくお願いします!』と挨拶をして歓迎会が始まった。

女4人で座っていた私たちは久しぶりのガールズトークで盛り上がった。

 大沼さんの婚約者は委託先の会社の人のようで今は県内の別の支社に一人暮らしをしているようだった。結婚を機に婚約者のところへ引っ越すようだった。そんな話をしている彼女はとても幸せそうで聞いてるこちらも幸せな気持ちになった。

森さんと毛塚さんは未婚のようで話しっぷりで今のところ特定のパートナーもいないようだった。

そんな話をしていると、細川さんが話しに入ってきた。

「こいつら、寂しい奴らなんだよ~あはは!」

酔ってるとはいえ、ちょっと失礼だなと正直思った。

「うるさいなぁ~!」と森さんが怒った口調でふくれ面をした。

毛塚さんは細川さんのことを睨み返していた。

そんなやり取りを作り笑顔で見ている私w

この二人は凄い女の子なんだなぁと思った。自分は既婚者で子供もいるからなのか、二人の方が年上だけど凄く子供っぽく思えた。


 私はトイレに立った。用を済ませ、トイレから出るとそこには細川さんが立っていた。

『あ、お手洗い空きましたよ?』

そう言って席に戻ろうとしたら、

「西田さん、連絡先教えてよ~」

と言ってきた。内心、え?!と思いながらも、これから何か相談とかできるかもしれないと思い連絡先を交換した。そのときは何も深く考えていなかった。


 時計を見るともう21時を回っていた。旦那に迎えの連絡を入れた。この日は子供は実家に預かってもらっている。

「じゃー、今日はこの辺でお開きにしますかー」と細川さん。

「さて、二軒目はどうしますかー??」

え?さすがに私は帰りますよ?

みんなは二軒目行く準備を始めている。

『あの~、すいません、私はもう迎えに来ちゃうので帰ります』と細川さんに言った。すると

「俺も帰るから」と遠くの席から柏木さんの声が聞こえた。

「なんだよ~」と残念そうな細川さん。

「じゃー、今日はここまででー」とみんな解散することになった。


”ついたよ”

旦那からLINEが入ってきた。

『旦那が迎えに来たので先に失礼します』

「うん、気をつけてねー!お疲れ様!」と女性達が手を振ってくれた。

それを見て私は軽く手を振って店を出た。

近くのコンビニで旦那は待っていてくれた。

「楽しかった?」

『うん、楽しかったよ~』

そんな会話をしながら家へ向かって走り出した。

信号が赤になった。

目の前を自転車が走っていくのが見えた。

柏木さんだ。

自転車だからやっぱり自宅は近いんだな・・

そう思っていると、信号は青になって車は走り出した。


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