第4話 2010年9月9日

 相変わらず、仕事の内容はつかめない。でも、同じチームのおじ様達はみんな優しい人で職場の環境はよかった。隣のおじさんは自分の仕事が終わると自席でいびきをかきながら寝ている。随分緩い会社だなぁという印象だった。

 隣のチームの比較的若い男性が声をかけてきた。頭は寂しい感じだったけど年齢は私より5つぐらい上の人だった。名前は細川さん。

「よかったら、一緒にランチにいきませんか?」

私は社食があったので大沼さんといつも社食へ行っていた。大沼さんに伺うと

「じゃー私たちも一緒に行こうか?近くに美味しい定食屋さんがあるんだよ」

と言われたのでじゃぁということで細川さん、細川さんの先輩の柏木さんと大沼さんと私でその定食屋さんに行くことにした。

 中に入るとすごく元気な女将さんとマスターが元気に出迎えてくれた。すごく感じのいい店だった。料理を待っている間、細川さんはいろいろと話をしてくれた。すごく面白い方でムードメーカーなのがすぐわかった。一方、先輩の柏木さんは私と目を合わせようともしない。店に置いてある漫画を読みながら細川さんの話をただうなずいて聞いているだけだった。間もなくして食事が運ばれてきた。しばらくこういう環境にいなかった私にはとても新鮮で凄く楽しい一時だった。そうなったのは細川さんの存在が大きかったと思う。


 定時になり、帰路についた。家に帰り、夕飯の準備をせわしなくしているとスマホが震えた。誰からなのかは見なくてもわかった。そう、岩井さんだ。

「おつかれさま」

短い文章が画面に出ていた。

『お疲れ様です!』

と元気に返事をした。

その後、スマホがいつもと違う動きをした。岩井さんから電話だ。私は緊張しながら電話にでた。

『どうしたんですか?』

まさか電話がくるなんて思ってなかった私は緊張しながら電話に出た。

家に帰り夕飯の準備をしているとスマホが鳴り出した。着信は岩井さんからだ。私は浮かれながら電話に出た。子供は一人遊びをしている。その姿に少し罪悪感があった。いや、普通に話してるだけだし・・・と自分に言い聞かせた。

「今度、どこか一緒に行こうか?」

と、岩井さんに言われた。私は思わず、え?と思いながら浮かれている自分がいた。

『はい!!』

と一つ返事をした。とても嬉しかった。

「プラネタリウム見に行こうか?」

『はい!ぜひ!!』

やったー!デートだ!!そのときの私は既婚者ということをすっかり忘れていたと思う。ちなみに岩井さんはバツイチで独身だ。どうして、私を誘ってくれたんだろう?疑問はずっと残っていた。

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