スイス時計はなぜ壊される

『スイス時計はなぜ壊される』


「ちょ、ちょっと待って。同窓生で、しかも名探偵の水町生英だからって、そんな理屈で私が犯人にされてはたまらない」

 その瞬間、全ての目がこちらに向けられる、体育館一杯の五百人近い観客だけでなく、しかも舞台上にいる三年二組の出演者とスタッフ全員はあっけに取られて。それも当然だろう、犯人役が突然、台本にない台詞を喋るのだから……。


 話は二ヶ月前に遡る。学校の文化祭でうちのクラスは演劇に決まった。応募十二組中四組の抽選に当たったのだ。特に三年生は高校生活最後の打ち上げ花火といった想いで六組全てが応募してくる中、見事勝ち取った委員長が称賛の嵐に包まれた事は言うまでもない。

 で、演目だが、松江勝連(男子はみんなマッコイと呼んでる)、長身長髪で関西で云うところの〈シュッとしてる〉、ルイス・キャロルとエラリー・クイーンの熱烈なファンが、推理劇をやりたいと主張し、主に女子の熱い支持(視線か)を得て決定した。

 という訳で作・演出・主演マッコイ、他の役割も決まり、こちらは人前に出る柄でもないので演出助手に回る事になった。

 出来上がった台本を読んで、みんなは面白いと誉めるのだが、どうも納得できないところがある。そこでマッコイに問い質してみたが聞く耳を持たない。〈誰も気付かないのか…〉と思いながらも、盛り上がっている雰囲気を壊すのもどうかと思い、それ以上なにも言わなかった。ただ、探偵水町の設定を、ワトソン役の人物と合わせて一人にして容疑者達の同窓生にしよう、その方が盛り上がる、という提案だけは通った。

 準備は順調に進み、一週間前あちこちに貼り出したポスターに〈驚嘆すべき論理の美技〉とか〈現代ミステリーの里程標〉といった謳い文句が躍っている。

 ところが上演三日前、森下龍生が怪我で出られなくなった。下の名前の読みが役名と同じだから選ばれたのに、左足中指亀裂骨折とは。と云っても朝練に来る途中、自転車ごと側溝に落ちたせいだから、どこ見てたんだ野球部主将。

 そこで、台詞が入っているとか名前に遊びが出来るし犯人に意外性があるという理由で急遽、代役を務める事になってしまった。

 そして当日。本番直前、マッコイが「あぁ、なんか緊張してきたら…」と云いつつあの場所へ。それを聞くとこっちも心配になって化粧を直しに隣の部屋へ……。

 そして幕は上がり、芝居は進み、いよいよ大詰め、マッコイ演ずる名探偵水町生英の推理が始まった…


「まず状況を整理しましょう。

 昨日、被害者村輿啓が事務所で撲殺されました。凶器は部屋にあったガラスの灰皿である事から、突発的な犯行の可能性が高い。

 また、珍しい腕時計のガラス片を掃除した痕跡と、机の角にぶつけた跡もありました。しかし、ガラス片も村輿の腕時計も見つからなかった。

 その時計は高校時代のエリートクラスメイト六人が揃いで買った物で、翌日、つまり今日ここに全員腕時計をして集まる予定でした。それはここにいる野下洋、鷹山不二雄、三住一機、神阪栄三、蔵木樹、そして村輿啓。

 現在無職の野下は時計を質入れしている。今日仕事で不参加の予定だった鷹山は、イニシャル入りの時計を野下に貸した。先程見せてもらったところ、三住、神阪、蔵木の時計は何処にも何も彫っていない。神阪は日頃、経営している店の人に時計を見せていて、何も彫っていない事が知られている。村輿の仕事振りや預金通帳の入金記録から、殺害動機は村輿による、誰かへのゆすりだと思われまる。そうですよね」

 水町に尋ねられた刑事はうなずいた。

「以上の事実から犯人を特定する事ができます。皆さん、判りますか」

と云いつつ、彼は満場の観客を見渡した。

「では推理していきましょう」

 水町は、右手の人差し指を掲げた。

「第一。ガラス片が被害者の時計の物なら、犯人が掃除する必要はない。そのまま立ち去ればいいからだ。よって、壊れたのは犯人の時計のガラスだ。また強盗犯でもない。自分の時計のガラス片を掃除する必要がないからだ。ガラス片を掃除し時計を持ち去ったのは、自分が疑われない様に、何も彫られていない村輿の時計を、自分の物として同窓会に出るつもりだからだ」

 一同、緊張の面持ちで耳を傾けている。水町は中指も伸ばし、

「第二。野下が借りた鷹山の時計は、F・Tのイニシャルが入っているので、村輿の物ではない。だから野下と鷹山は犯人ではない」

 秘書として仕えた政治家の汚職で無職となった野下と、総合商社課長で二人目の娘が出来てマンションを購入したばかりの鷹山は、顔を見合わせホッとして、少し微笑みながらうなずき合う。薬指が立った。

「第三。三住一機が犯人なら、イニシャルは村輿啓と同じK.M だから、三住が自分の時計にイニシャルを彫っていてもいなくても、時計を取り換えれば疑われずに済んだはずだ。だから三住は犯人ではない」

 大手シンクタンク研究員だが両親が共に寝たきりで苦労している三住は、軽く眼を閉じ安堵のため息をつく。そして小指が加わり、

「第四。神阪の時計には、元々何も彫っていないので、これも取り換えれば良いはずだ。だから神阪は犯人ではない」

 早くに父を亡くし努力と研鑽でデザイナーとして成功した神阪は、天を仰いで大きく息を吐く。最後に親指も拡げ、

「第五。よって、犯人は蔵木樹、君だ」

 その瞬間、こちらに向かって腕を伸ばし、人差し指を鋭く突き付ける。研究者としては順調だが、離婚間近で慰謝料を請求されそうな蔵木としてはどんな表情をすればいいのか…。

「そして壊れた樹の時計に、『イニシャルが刻まれていたことは論理的に確定しているんです。ローマ字で名前を彫ってはいないし、漢字や片仮名も使っていない。何故か?イニシャルがなかったり、それ以外のものが彫られていたなら、犯人は時計を現場に遺したはずだからです。持ち去る意味がないから━━そうでしょう?』」


 怪我がなければ森下龍生がするはずだった自白を、ワタクシ演ずる蔵木樹がここで行えば、一件落着拍手喝采満場一致で栄誉栄華、となるハズだ。しかし……


「ちょ、ちょっと待ってください……」


「おい、何言い出すんだ樹っ。素直に認めて白状しろよ」

「まぁ落ち着いて。さっきまで、理性的に話してたのに、言葉が粗っぽくなってる」

「それはお前が台ほ…、フーンッ」

「予想外の事が起きてるしね。しかし、どんでん返しはミステリーによくある事だ。もっとも、やり過ぎて屋上屋を架すのは良くないけど」

 水町、というよりマッコイはあっけに取られ、他の出演者は、どうするんだと、互いに顔を見合わせる。そして…


「では、反論します」今度は五本指から減らしていこうか。

「第五の推理、私の時計にイニシャルが刻まれている。

 確かに、私の時計にイニシャルが刻まれていなければ交換は可能かもしれません。

 しかしイニシャルでなく、ローマ字や漢字片仮名を刻んでいても、交換は不可能なので持ち去る必要があります。だから、『イニシャルが刻まれていたことは論理的に確定して』いません。イニシャルもですが、ローマ字や漢字片仮名、記号が刻まれていた可能性もあります。ただし、何かを刻んでいる事を誰も知らなければ、持ち去って自分の物と装えばいいんですが、誰かが知っている場合は、時計に刻印するか口を塞ぐ必要があります。

 第四の推理、神阪が犯人なら、互いに何も彫っていない時計なので、取り換えられるはずなのに持ち去った。だから犯人ではない。

 しかし、容疑が同窓生に向かう事を予想した神阪が、そう思わせるために持ち去った可能性もあります。

 第三の推理、三住が犯人なら、イニシャルが村輿と同じだから、イニシャルが彫ってあろうと無かろうと時計を取り換えられた。だから犯人ではない。

 しかし例えば、〈三〉という字を彫っていたら、取り換える事は出来ないので、持ち去る必要があります。

 また、三住だけがイニシャルを彫っていて、三住や村輿の身近な者がその有無を知っていたら、交換がバレる可能性があります。村輿の時計は何も彫ってないからです。だから、三住が時計を持ち去った可能性もあります。

 第二の推理、鷹山のイニシャル入り時計を借りた野下と、貸した鷹山は、持ち去る意味がないので犯人ではない。

 しかし、ガラスが壊れたのが村輿の時計だとしたら、持ち去る事で、何も彫っていない時計の持ち主に容疑を向け、自分を容疑から外す事が出来ます。

 第一の推理、犯人がガラス片を掃除した事から、壊れたのは犯人の時計だ。

 しかし計画殺人だとしたら、村輿の時計を壊して持ち去る事で、野下、鷹山、三住、神阪は、自身を容疑者から外す事が出来ます」

 台詞を喋りながら四人を見回し一旦止める。

 ここまで一気に喋るので、さすがに疲れる。少し間を置こう。そういえば、この原作、探偵助手兼作家の高校時代の失恋の痛手を描いてたな。


「要は、計画殺人にしろ突発的殺人にしろ、村輿の日頃の言動から五人に容疑が向く事が、犯人には判っていたかもしれない。とすれば何らかの工作を謀ってもおかしくない。そしてわざと時計を持ち去る事で、持ち去る意味がない野下と鷹山、交換可能な三住と神坂は、容疑を外す事ができる。という事は、四人の容疑が残る以上、私が犯人とは確定しない。よって私の時計には何も彫っていない可能性もある。

 また容疑者は五人に戻ってしまいました。しかしそんな事は問題ではない。問題は、名探偵水町生英ともあろう者が、なぜこんな推理をしたか、という事です。特に第三と第五の推理は、犯人の工作があってもなくても、明らかに間違っています。

 そして第五の推理通りなら、ガラスの壊れた私のイニシャル入りの腕時計が存在する事になります。それが見つかれば決定的な証拠になるでしょう。

 ただし見つかるのは、今なら私の周囲ではなく、水町の周囲かもしれません。そして時計から採取されるDNAは、私の物ではなく、村輿の物です。またはどちらのDNAもなく、漂白剤などで洗浄した痕跡かもしれません。警察には昨日から今日の、水町の行動した周囲を捜索する事をお勧めします。

 動機?それは水町自身が言っていた様に強請か脅迫でしょう」

 今度は全ての視線が水町に集中する。しかし水町、というかマッコイの眼は、怒りに燃えているのか、それとも狼狽えているのか…。

「だが、彼は殺人など犯していないかもしれないし、私を嵌めようともしていないかもしれません。ただ私に対する想いから、無意識のうちに誤った推理をしたのかも…。

 それとも、ただ単に、今日は調子が悪いだけなのか。それともいつもこんなものなのか」

 舞台上の人物達が、裏方が、そして観客が、この説明に納得しているか、見回してみる。そして…

「さて、真実は何処にあるのでしょう。私にも分かりません。ただ、長く喋り過ぎた様です。

 さあ、この同窓会も推理劇も、そろそろ幕を引きましょう」

 そして密かに裏方へ指示して緞帳を…。


 モンダイは、人前に出る事さえイヤなのに目立つ事はもっとイヤだということだ。だから水町の推理を聞きながらまだ迷っている、この通りやってしまうかどうか。

 いっそ終わった瞬間マッコイに、「いやー、上手くいったね」と話し掛けて黙らせ、クラスには「みんなを驚かせようというマッコイの作戦通り」と言うか。

 マッコイは、まぁ悪い奴ではないんだけど、ミステリー評論家になりたいと言っているので、薬にはなるかもしれない。

 蛇足だが、水町の最後の台詞の中に『』が付いているのは、ある小説の引用だからだ。と言うより、この台本の元ネタだ。それが何かはお楽しみ。

 敢えて言ってしまうがこの瑠色州雅楽の中短編、筋立てと展開は良いのだが詰めが甘いのだ。『長すぎる廊下』や『論理的死亡遊戯』でも、クイーンのある作品や英国ドラマ『シャーロック』との類似性は置いといて、別の手段もあるのにそれを消していない。並みの作家ならこんな事言わないんだけど、本格ミステリーの日米の巨匠、鮎川哲也とクイーンのファンを公言してて、しかもそこに並び得る力があると思うからこそ、と。

 しかも彼は鮎川の『黒い白鳥』の解説で、SRの会というミステリーファンクラブが『黒い白鳥』のミスを指摘し、鮎川も修正した事を書いている。鮎川も会も彼も立派だと思う。だから、なのだ。

 この人に必要なのは、クイーンの様な相棒ではないか。クイーンは二人の従兄弟の合作で、激しい口論をしてまでも優れた作品を書いたのだから。よく論争してる作家兼評論家の葛西純と組めば良いのだ。いや、いっそ、この新型コロナ騒動で暇になった叔父を雇ってもらおうか。

 冗談はさておき、この作品では設定を、隣のビルからの目撃者がいて、犯行の突発性と犯人の立ち位置を証言させれば、第一の、壊れたガラス片は犯人の物で、犯人が今している時計は被害者の物、という推理は確定する。第二の推理、つまり時計を質に入れた野下と、替わりに貸した鷹山も犯人ではない。

 そして、三住の時計には以前からイニシャルがあり、調べた時もあったとしておけば、第三の推理はこうなる。三住が犯人なら、今している時計は村輿の物だ。つまり三住も村輿もイニシャルを入れていて、どちらかそれを知っている者がいても、見分けが付かないくらい似ている事になる。しかしそれならば村越の時計を持ち去るのでなく、取り換えたはずだ。その方が警察の眼は時計に向かず、DNA鑑定されない可能性がある。よって三住は犯人ではない。

 第四の推理も元のままで良い。神坂は時計に何も彫ってないので交換できる。被害者の時計を持ち去れば容疑が同窓生に向き、彼らの時計のDNA鑑定を求められる。取り換えた方がメリットは大きい。

 そして第五の推理で、犯人は残った蔵木で、時計にはイニシャルや名前など特定する物が人知れず彫られている、だから被害者の時計と取り換えられずに持ち去った、とすれば問題なかったのだ。

 こんな揚げ足取りみたいな事、ホントはしたくない。でもクラスだけじゃなくネットでもこの小説、ほぼ絶賛だから一言云いたくて。あぁ、気分はロッテンマイヤー、だ。


 みんなには考えて欲しい。目の前の出来事は本当なのか。本当としても裏があるのではないか、と。もっとも陰謀論は全く信じてないのでアシカラズ。

 そして、権威を恐れるな。ミステリーは、楽しみながら真実を視る眼を養う、最高の娯楽なのだから。

 最後に言っとくけど、私、女だから。蔵木樹って元は男の設定だけど、森下君がダメになって、いつきと読めば女でもいけるし、容疑者達の下の名前が一機不二雄栄三洋樹、ひいふうみいよういつ、で遊びになる。あくまで記念で作った揃いの時計だし、男物の時計をする女はいる。むしろ犯人に意外性がある、という事で私がやるハメになったので。開演前に、マッコイの行った男子トイレの隣部屋に入ったのもそういう事だから。水町が私だけ下の名前で呼ぶのもそう。「私に対する想い」ってのもBLじゃないので念のため。もっとも私はエリートでもなんでもないけど。


 あぁ、しまった。今回の芝居、幕は引くじゃなく、降ろすだった!



*(瑠色州雅楽は仮名で、ガラスの国の雅な音楽、ぐらいの意味だが、ルイス・キャロルのもじりだ、キャロル=聖歌なので。

 姪がなにやら書いていたが、論理の当否に関わらず、この原作は心に引っ掛かるものがある。

 七人の同窓生の内、一人は高校時代の失恋を引きずった探偵助手の作家、一人は友人を恐喝した被害者、一人は恐喝され殺した犯人、一人は汚職で失職した政治家の元秘書で現在無職、残りの成功者三人の内、二人は努力を隠したり苦労を背負いながら昔のエリート臭そのまま、最後の一人は忙しさで不参加。

 『三十代半ばに差し掛かった男それぞれの陰影を』抱え、『友だちのことなんて、かまっていられない』、つまり大人に成りきれない男達の、〈青春の終わり〉が描かれているからだ。

 探偵の推理に論理的な穴があるのに、犯人を含め誰もまともな反論をしないのは、それに気づいてしまったから、と読めないこともない。同窓会はもう二度と、開かれないだろう。それとも、またいつか…

 彼女にはまだそこが、解らないらしい。 )*



 アァ、やっぱりダメだ。ウソはつけない。

 こんなこと、したくないと言ったけど、したいという気持ちもある。自分は、みんなが面白いと誉める有名な小説のミスを発見した、言いたい、言ってスゴいって誉められたい、ついでに言えばあの好きな作家に認められたい、なんなら鼻を明かしたい。そういう気持ちがある。私はそんな立派な人間じゃないのだ。

 ミステリーとしては、幕を降ろしたところで終わるのがいいんだろうけど、やっぱりウソはつきたくない。人間を、自分を描きたいのだ。いや、人間も、か。

 ミステリーの面白さと、小説の面白さは、やはり違うのだろう。知的快感と情的感動、脳と心の違いか。

 正直、今書いていることが、この小説にとって良いのか悪いのか判らない。ただ、書かずにはいられないのだ。感情に突き動かされて書いている。それまでの知性(だとは思うのだが)でコントロールしていた書き方とは全く違う。たぶん文体も変わっているだろう。後で読み返したらどう思うだろう。ウーン、面白いような違和感のような…。

 しかし自分が信頼できない書き手になるとは思わなかった。自分にウソついてたワケじゃないんだけどな。でも感情は抑えてたな。無意識に。これもウソか。イヤ、無意識だからウソじゃないか。でも信頼できない書き手なら既にロス・マク論小説でやってるか。

 あ、言っとくけどこれ以上ミステリーとしてはどんでん返しないから。ご心配なく。

 でも読んだ人が私の理屈に穴を見つけてまたひっくり返すのは自由だから。

 知的に考えてると抑えられて溜まってた感情が吹き出すなぁ。感情の放出が終わるとまた知性が復活する。これの繰り返しなんだろうな、人間て。

 AIは知性、と言うか論理ばかりだから間違いは少ない。計算速度も上だから時間も短い。けど人間は感性によって一瞬で真実を発見する事もある。将棋の藤井さんなんかそれが特に優れてるんだろう。だからAIを超える手を指せる。

 アー、なんか感情が治まってきた。落ち着いた。

 そうか、叔父さんの言ってる事もなるほどな。読み返してみよう。

 でもその前に、ネタばらしをしておこう。

 瑠色州雅楽は有栖川有栖だ。原作は『スイス時計の謎』。登場人物の名前は少しずつ変えてある。葛西純は笠井潔だ。

 森下龍生は同級生の名前を少し。でもマッコイこと松江勝連はある評論家のもじりだ。この人が編集した『名探偵傑作短編集火村英生編』の解説で、原作を「曲芸としか表現できない論理の美技に驚嘆」「現代日本ミステリーの里程標」と書いてるので。

 でも有栖川さんはホントに好きなので信じてください。江神シリーズは全部読んでます。でも火村英生シリーズのある作品は別の手段が…。

 他に伝えるべき事はあるか。文化祭なんだから、当然あった、よくあると言えば有りがちの、誰かと誰かがくっついたとか告白してフラレたとか、知らない一面を見せて認識を新たにしたとか、その他もろもろはあった。それはそれで面白いんだけど、まあ、いいか。そんなのは他のよくある青春小説で読んでください。私は私にしか書けない物を書くだけだ。それがツマンナイと言われりゃ、またその時考えよう。実は叔父さんの知り合いに読んでもらったら、面白いけど主人公の身長や体型、髪型や服装、顔立ちなんか知りたいと言われたけど、私にとってはどうでもいい事だ。私自身気にしないし興味ない。小説読むときも気にしないし、テンポやリズムが悪くてジャマに感じる時もある。

 ミステリは面白すぎるのだ、という米澤穂信の言葉はなかなか考えさせられる。ミステリは面白い、知的には。でも小説としてはどうだろう。感性に訴える物がない。津村記久子の『ポトスライムの舟』なんか読んでそう思う。つまらない事をウダウダ言うこの面白さがミステリにはないのだ。津村さんは怒るかもしんないけど。

 今書いてる事だってそうだ。つまんないウダウダだ。面白いかな、どうだろう。

 ちっとは意味のある事も書くか。ロシアのウクライナ侵攻。なんだ、結局、米中露どこかの大国の下になれって事か。三極冷戦になっただけか。次は四極五極か。そのために核兵器と原発を世界中にばらまくか。なんだそれ、人間の知性ってそんなもんか。バカか。この世から男なんかいなくなれば良いのに、と時々思ってしまう。女が子どもを産む機械なら、種付け用の機械以下の道具なんだから人工授精で十分、とか。

2022年3月11日



*私もそう思う(笑)。

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