第9話

9


目が覚めた頃には、もう昼頃だった。今日の空は快晴だ、今日は何をしよう、思えば昨日は大変な一日だった。そんな事を考えながら起き上がる。コンクリートの上で寝たせいで体が痛い。

「…………………」

ぼーっとビルの下を眺める。忙しなく走っている人やベンチに腰かけている人、携帯を見て歩いているせいで電柱にぶつかる人など、少し眺めただけで色んな人達が生きているのが今日も見えた。

「飛び降りるか」

そう呟いて柵を跨いで乗り越えようとすると、昨日の雨で出来た水溜まりに、自分の顔が写った。

「そんな顔には、見えないな」

泥だらけで、擦り傷だらけの顔を見て、少し笑いが込み上げる。柵を乗り越える代わりに腰掛けてこれからの事を考える。まだイメージできないけどきっと上手くいく気がした。苦しい事も辛いこともあるだろうけれど、きっとまた雨が流してくれる。そんな気がした。

「そうだよね、雨」

「…………………」

返事は返ってくることはなかった。でも、今はそれでいい。



好きな雨の音がまた一つ増えた。そのくらいが僕達にはちょうどいい。

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雨音テレパス @DEKAKAGAMI

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