第5話

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食事を済ませて店を出る頃には辺りはすっかり静まり返っていた。あれだけ多かった人影も、もう数えられるほどしか残っていない。

「食べた食べたぁ!」

雨が伸びをしながら出てくる。

「満足したか?」

「んー…」

お姫様は、まだ物足りないらしい。

「あと、一つだけ…」

何故か少し遠慮がちに、雨は小さく呟いた。

「はいはい、これだけ振り回されてるんだ、最後まで付き合うよ」

そう言うと雨はこっちを見ずに、僕の服の袖を掴んで歩き出した。

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