第2話

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「それで、僕はどんなお願いをされるんだ」

嫌な顔も隠さずに、単刀直入に話を切り出した。こうなったらとっとと満足させてしまおう。

「うーん、ちょっと待って考えるから…」

「待て、っていうのがお願いか?」

せっかく覚悟を決めていたのに邪魔された腹いせも兼ねて、面倒な返しをしてやった。しかし彼女は表情一つ変えずに

「君、モテないでしょ」

悔しいが、正直返す言葉もなかった。少しして、閃いたような顔をした彼女は口を開いた。

「私ね、昔から思ってた事があるんだけど、どうしてみんな願い事が一つに絞ろうとするんだろうって、ほら、みんな億万長者とかイケメンになりたいとかそんなのばっかりじゃない?」

「そうだけど…それが?」

「でも私はそんなもったいないことしないよ」

彼女はそう言うと腰に手を当て、こちらに指を指して大きく息を吸い込んだ。

「君は!今日一日!私の言うことを聞くこと!」

大きな声でそう言うとまたふん、と鼻を鳴らした。

「えぇぇえええ!!」

いくらなんでもむちゃくちゃだという横暴とその手があったかという感心が混ざって素っ頓狂な声が出た。確かに合理的ではあるが実際にそんな事をする人が本当に居たとは。

「ま、まってくれ!一つって話だったろ!そもそも…」

「文句は受け付けません!私が勝ったので!」

必死に反論しようとするがことごとく遮られる、数分、そんなことを繰り返して、遂には僕のほうが折れる事で話はまとまった。

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