第2話 嘘の世界
「ねえ? ところでどうやってこの国に来たの?」
「どうやってって、ふつーに目が覚めたらここにいたみたいな?」
「訳わかんないんだけど?」
「いやあれだよ。目が覚めたら異世界ではなく、どこか見知らぬ場所にいました―みたいな?」
「……そ、そうね、そんなかんじよね」
あのー、フツーにひかないでもらえます?
なんか悲しくなってくるから。
「ってなるわけないでしょ? 戦争中の国にどうやって入ってきたのよ。スパイ?」
「スパイだったらもっとうまく立ち回ってますー。アカリみたいな人と話すより、もっとおエライさんと話した方がいいでしょ」
「たしかに……私みたいなバカとはなしても……って誰がバカだし⁉」
「忙しいな……」
そう言うとアカリはプク―っと頬を膨らませる
本当にい忙しい
「そもそも国に入ることすら出来ないんじゃない?」
またしても話題を引き戻される
「いや、一応国に入ることはできるんじゃないか? なんか戦争の現地に行ってるレポーターとかいるだろ」
「あーたしかにね」
「で、なんで戦争なんかしているの?」
「ん? この国のためよ。それに、すぐに戦争くらい終わるでしょ」
「いやー、まあー、そうだといいな……君も戦争に参加するの?」
「もちろん。給料も待遇もめちゃめちゃいいし、すぐに終わるからね。帰ってきて友達といえーいってするの」
「志願兵か……へー、俺も見に行って良い?」
「なにそれ? 許可が出ればいいんじゃない?」
「あ、アカリじゃん。やっほー」
「あ、クロじゃん。やっほー」
黒髪黒目の同じく大学生くらいの見た目をしている
本当に若い人は見た目に気を使っていて大変だなーとか思いながらも、俺(25歳としておこう)は話しかける
「えっとー、お二人は友達という認識で合ってる?」
すると、クロは悠真を少しの間見つめ、アカリに小声で話しかける
「ちょっと、アカリ……何この人? 見た目は……良いとはいえないわね、黒髪黒目のパッとしない印象のきっと草食系ね。多分これはアカリがしっかりしてないと夜は大変よ。清潔感は……意外とあるわね。ムカつく。マイナスポイントね。身長は……175くらいかしら。合格ね。筋肉も……意外とあるわね。ムカつく。マイナスポイント。優しくないし、
プロめざしているの? 優しくないっていまのどこから分かったの? にじみ出てた? もしそれがバレていたなら弟子にしてください師匠。
「クロさんは相当頑張っているね。大変だと思うけど、さりげないくらいのネイルをしていて、メイクもしっかりしている。服にもこだわりがあるかな。夏だけど、白色のロングコートを着ていて、その間からみえるさりげないシャツ。少し男を誘っているかのような色っぽさ。からのそれをチェック柄のズボンにインしている。最近のファッションの流行もつかんでいる。清潔感も抜群だな。最近振られたのかな? 振られたがゆえに男性を見極めようとして、逆にそれが仇となっていい男を見つけられない。何かあったら相談にのるよ」
「アカリ、取り消すわ。いい人じゃない。頑張りな」
ただ単にバカだった。
「いや、それはないよ。だってこの人、私になんでもしてあげると言わせた人だからね?」
「まじで? それは……ちょっと……」
「いや、ちがくね? 俺そんな事言わせてなくね?」
「え?」
アカリはまじで何を言っているの? みたいな顔をする。
そうだった……嘘はダメなのね。
これはメンドクセーな。
「はい、そうです。そのとおりです」
とりあえず、従っておこう
「ほらね?」
ほらねじゃないけどな。
「そう……別に私は良いかも……」
キャラ変わった?
「ちょっとクロ! しっかりしてよ。この人の評価はAマイナス。クロの目指しているのはSマイナス以上でしょ?」
いつ評価されてた?
「そうね、そうだった」
共有されてた? テレパシー?
「これはまさか……吊り橋効果ってやつね。戦争に行く前のドキドキを利用して私恋をさせようとしていたわけね。まあ、ホント男って恐ろしいわね!」
壮大だな。君の方が恐ろしいけど。
「そうよ。特にこの人は野獣だから気をつけてね。で、この街の案内終わったってことでいい?」
「これが全て? おかしな人しか見てないけど?」
「そうよね。そうだよね……私はおかしな人……それがわかったのは、私が幼い頃……中学生の時だった」
え? ちょ、回想はいるの?
「入るけど?」
なんで心の中の声分かるんだし……
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