第2話 自由をこよなく愛する者たち
国際冒険者組合】通称――ギルド。
その発端はエルトリア達が戦った戦争より遥か昔のこと、第一次魔神戦争と呼ばれた争いがあった時代。
悪魔達、"魔神公国"が得意とする少数精鋭によるゲリラ戦法に人族の連合国軍は頭を悩まされていた。人族国家が主とする戦力はあくまで、騎士団並びに"軍"としての側面が強く少数精鋭で襲って来る悪魔達に対して、いちいち軍を動かすには費用も時間も人でも足りないといった状況ではあるのだが、それでも何もしない訳には行かず、人族は後手に回らざる負えなかった。
そんな中、このままではジリ貧だと悟った各国の首脳陣は悩みに悩み抜いた結果、白羽の矢が立ったのが契約金さえ支払えば、法に触れること以外ならばどんな依頼でも請け負う戦闘集団つまるところ"傭兵"を戦場投入することを可決したのである。
ギルドの基礎とも言える組織がこの頃より誕生し、各地の戦場に随時投入されて行った傭兵達は国々の正規軍に蔑視されながらも著しい成果を叩き出し、悪魔達を北方の奥深くの大地へと押し返すことに成功。
後の"剣の覇王"とも呼ばれる傭兵から騎士達までも英雄と言わしめんとする偉人を輩出する程に傭兵の影響力は徐々に大きくなり始めていた。
それから戦後間もない頃、戦争で溢れかえった傭兵達が行き場を失い、己の命を食い留めるべく野盗化する事件が多発してしまった。
それに頭を抱えた各国の王達がひねり出した答えが、彼らをひとまとめにして管理しようという案だ。
戦争が終結してから間もない時期は騎士団では魔物の対応が間に合わなく、大規模な都市から遠い街ほど被害の影響が大きくなり、それに被害に頭を悩まされていた王達は溢れ返った傭兵達の野盗化を防ぐのと同時に彼らを利用するべく、戦時中から存在していた傭兵組織を合併し、簡易的な仕組みを作った。
仕組みとしては国家が脅威とした魔物を傭兵達に討伐対象という形で依頼を発行し、傭兵に狩られた対象の魔物を買い取るという単純な内容だったが、それが成功し、その仕組みを発展させることによってできたのが【国際冒険者組合】通称――"ギルド"なのだ。
そうして次第に傭兵と呼ばれる稼業は冒険者という名に
そして
――――しかし、それはついぞ叶わなかった。
実際それを行おうとした国の王が手痛い反撃をもらい実現出来なかったのだ。
それどころか要求を飲まない武闘派の冒険者達に騎士団を動員してまでの強行作戦を実行してしまい、『売られた喧嘩は買う』という傭兵時代からの流儀に抵触し、あまつさえは冒険者達がこよなく愛し己の命より尊ぶ『自由』その剥奪とも言える行いは冒険者達の逆鱗に触れてしまった。
その事実を聞き付け、激怒した冒険者達は遠い地域からも自由の為ならばと次々と集まり、国家が有する騎士団と冒険者連合軍との天下分け目の国盗り合戦までに発展した。
戦いは熾烈を極め、強行に出た国に対し冒険者達も果敢に立ち向かう。
しかし、冒険者に反旗を翻されたとしても彼ら騎士団とて一国を守護する戦士である。
戦争は泥沼の様相となり決着は決まらず、戦争の終幕は国としての機能を喪失してしまった王家がなし崩し的に敗北し、冒険者側が勝利することになり今の【エレボス迷宮国】となった。
そしてなぜ彼らがここまで動き、国と相対したのか疑問に残るだろう。歴史上人族が一番追いやられた大戦争を駆け抜けた強者達と言えど、有象無象の元傭兵集団が、なぜここまで抗えたのか?それは彼らの性質に寄るところが大きく関係している。
元々彼らは旅をこよなく愛する放浪の民なのであり、彼ら傭兵達はその遥か昔から『自由』を是とし、それが侵されるならば骨の一片に成り果てでも抗う鉄の掟が存在し、各国の王達が手を出す頃には一国と渡り合えるまでに、ギルドという傭兵達の組織は成長しきっていたのだ。
それに加え
そうして冒険者最強の"Sランク"という存在は誕生し、一国の守護を担う騎士団長クラスの猛者にも抗えたのだ。
彼らSランク冒険者ともなれば、それは一騎当千、万夫不当の英傑達であり、戦争末期の傭兵時代に他の者より先陣を切り開き、その勇名を国々に轟かせた名だたる猛者たちである。
そんな彼らを有する
しかし、国々としては国家転覆を成し遂げてしまった冒険者達をそのまま見逃すことも出来ない。かと言って
そのため龍王国が静観してる内に事を動かしてしまおうと、
冒険者の仕事と言っても様々である。
今回は代表的な三つを紹介しよう。
各種鉱物や希少植物の【採取】
騎士団では対応できない危険な魔物の【討伐】
未開拓域、例えば
大まかにはこの三つに分けられる。
冒険者はそれぞれ自分にあった仕事を選び、一つの分野に秀でた専門の者もいる。しかし、
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