なにしてんの、俺
あれから、数日が過ぎおかんが奈美姉ちゃんと旅行に行った。
「ちゃんとしーや。わかったな」
「それ、35の息子にゆう台詞なん?」
「それもそうか、ほな行ってくるわ」
「楽しんで、気をつけや。後、おかん。これ、足りんかもやけど」
10万円渡した。
「こんなくれるん?飛行機もホテルも出してくれたのに、嬉しいわ」
おかんは、めっちゃ喜んで奈美姉ちゃんと出ていった。
次の日、俺は仕事を辞めた。
「35歳にもなって、突然明日からこんなんて、流川君は頭おかしいんと違うか?迷惑かけんと真面目にやってたやろ?最後がおかしいよな?」
「すみませんでした。」
何度も頭を下げて、わかってもらった。
頭おかしいんです。
あの日から、佐々木を殺す事しか考えてませんとは言えなかった。
はぁー。ダル
仕事終わって、駅のコンビニでチーカマと500ミリビール4本買った。
2本は、おとんのや
家の玄関前に、秋帆と心春が立ってた。
「お疲れ、飲もうや」
「今日は、無理や。帰って」
「なんでや?美月のおかんおらへんやろ?」
「なんで、知ってんねん」
「お母さん、旅行行く前に僕等の家にきて言っていったよ。」
「よけいな、世話やくなやクソババア」
そう言いながら、玄関の鍵を開けたら二人がはいってきてしまった。
「今日は、無理やって」
何も聞いてくれずに入ってしまった。
はぁー。ダルいわ
「手洗い、うがいやで」
そう言って、俺は、部屋に鞄を置いた。
明日から、探しに行くから決意表明するためにおとんと飲みたかったのに…。
おかんが、おらん間にサクッと終わらしたかったのに…。
俺は、洗面所で手洗いうがいしてリビングに行った。
二人は、仏壇で、チーカマ供えてる。
俺は、ビール2本供えた。
「餃子、食わへん?」
「買ってきたん?」
「そや。大阪まで行ってたからな。二人で。」
「お土産、有名なやつ。」
そう言って、餃子をテーブルに置く。
俺は、小皿を三枚出した。
「乾杯」して食べ始めた瞬間に秋帆が俺をジッと見ながら言った。
「美月、何企んどるん?」
「はっ?何が」
「お母さん、おらん間にコンビニ行くみたいな感覚で姉ちゃんやったやつ探しに行くんやろ?」
何でわかんねん。
「そんなんせーへんよ。」
俺は、動揺を隠しながらビールを飲んだ。
「それで、お菓子食べるみたいにサクッと殺ってくるの?」
「なんの、話や」
心春の言葉に、俺はチーカマを食べてる。
何でわかんねん。エスパーか
「美月のお母さんが、美月が殺る目しか最近してへんからおらん間、よろしく頼むわってゆってった。」
「その反応見たら、大正解だね」
「親って何でもわかるんやな」
そう言いながら、二人はチーカマ食べてる。
「とめたって無駄やから」
「とめへんよ。」
「えっ?何しにきたん」
「手伝いにきたんだよ。」
「はっ!頭おかしいやろ?」
「おかしいのは、美月が好きやからやな」
「アハハ、間違いないね」
そう言ってビール飲んで笑ってる。
「好きなやつが、苦しんでるなら助けてやりたいやん。それが、どんな間違った事でも…一緒にやってやりたいやん。」
「そうそう」
やっぱり、二人は俺の王子様やわ
「殺ったらどうするん?」
「どっかに捨てにいこ」
「かわりに、自首するよ。」
「なんやそれ。アカンやろ?そこは、三人で捕まろか?やろ」
「ハハハ、その考えなかったわ」
「確かに、なかった。」
二人は、笑いながら餃子をつまんでる。
「明日から動くんか?」
「うん、仕事やめた。今日」
「本気なんやな?」
「うん。」
「だったら、しゃーないわ。俺も明日からついてくわ」
「僕も行くよ。」
「わかった。どうせアカン言うてもくるんやろ?」
「当たり前やん。その選択肢しか美月にはないで」
「そうだよ」
そう言って、心春と秋帆は笑ってくれる。
他人にそんなん考えたらアカンって言われそうな事をええよって言われるだけで、胸の痛みが減った。
俺は、二人と飲んでゆっくり休んだ。
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