22年目の真実

おかんが、持ってきたのはこっちゃんが小学校の頃に使ってた。お道具箱やった。


「じゃあ、開けよか」


そう言って、おかんはお道具箱を開けた。


「はい、これ奈美のやな」


おかんは、奈美姉ちゃんに花の飾りのついたゴムを渡す。


「これ、なに?」


「こっちゃんが、お小遣いで買った誕生日プレゼントやで!それから、みっくんにはこれな」


そう言って渡されたのは、ハンカチだった。


「これ、なに?」


「ハンカチ、みっくんに誕生日プレゼント」


「なんで、ハンカチ?」


「さあ、それは書いてなかった。」


そう言って、おかんは手紙を持ってる。


「お母ちゃんが、読んでもいい?」


俺と奈美姉ちゃんは、頷いた。


「大好きな家族へ。

この手紙を読んでると言うことは、私は今みんなと一緒にいません。

あれから、考えたのですがどうしてもこの選択しか選ぶ事が出来ませんでした。

みっくんのあの時の気持ちがわかりました。

もし、みっくんが、この先私がした事を知ってしまったとしても絶対に自分を責めないでね。それでも、みっくんを守りたかった事をわかってほしい。


お母ちゃん、みっくんが何をされてきたかをちゃんとわかってるよね。どうか、黙っていて。いつか、みっくんが話したくなった時は受け止めてあげて。


お父ちゃん、今まで名前の事をずっと責めてごめんね。でも、私みんなにこっちゃんって呼ばれんの大好きやったよ。


奈美姉ちゃん、ショートケーキ作る約束を守れなくてごめんね。ずっと奈美姉ちゃんの妹で居たかったよ。


どうか、皆が仲良く暮らしていける事を祈ってます。


皆が大好きなのに、こんな選択をしてごめんなさい。


でも、それ以上に私は私を許せません。」


読み終わるとおかんは、手紙を俺達の前に置いてお道具箱の中のメモを見えるようにだした。


「誰かになんかされてたんかな?」


そう言ってだしてきたメモは、くんって文字以外は、真っ黒く塗りつぶされてる。


「みっくん、知ってた?」


俺は、首を横にふる。


おかんが出してきた他のメモには、気持ち悪い、汚ない、とれない、消えたいって書いてある。


「こっちゃんが、これをいつ書いたかお母ちゃんもお父ちゃんも知らんかった。あの頃は、みんな部屋があって、お母ちゃんも入らんかったから」


おかんは、涙を流しながらお道具箱の中身を出してる。


「これな、みっくんが作ったお守り券やって覚えてる?」


「覚えてるよ。助けて欲しかったら、破って俺に渡すねん」


「そうか。これは、奈美が作ったミサンガやって」


「懐かしい。初めてこっちゃんに作ったやつ」


「こっちゃんのメモに、何を誰にもらったか書いてた。」


そう言っておかんは、泣きながら笑う。


「こっちゃんメモ用紙に何か書くん好きやったな」


奈美姉ちゃんが、おかんがだしたメモを見ながらってる。


「今日は、みっくんと喧嘩した。謝っても許してくれへんと思う。でも、私はみっくんを許してる。これ、亡くなる前の日のメモ」


おかんが、見せてきたメモに泣いた。


「これは、奈美にやな。亡くなる日に書いたメモ。奈美姉ちゃんと映画に行く約束してたのに守れんくてごめんね。奈美姉ちゃんみたいに綺麗で強い人になりたい。」


奈美姉ちゃんも泣いてる。


「みっくん、奈美、お父ちゃんを死なせたんもお母ちゃんや。このお道具箱見つけて、毎日毎日お父ちゃんと喧嘩した。助けてあげれんかった、親やのに失格やって自分を責めてお父ちゃんを責めた。だから、お父ちゃんストレスでいなくなったんや」


おかんは、そう言って泣いてる。


「おかんのせいやないよ。おとんは、寿命やったんや。」


「お母ちゃん、お父ちゃんは、こっちゃんが寂しい思いせんようにいったんよ。こっちゃんをひとりぼっちにさせたくなかったんよ」


そう言って奈美姉ちゃんが、おかんの隣に座っておかんを抱き締めていた。


22年ぶりに知った真実は、あまりに痛くて苦しくて悲しかった。



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