俺の王子様-3lover-

おかんと出かける

結局、昨日一日考えても答えは出なかった。

「美月、行こうか？」

リビングに行くとめちゃくちゃお洒落したおかんが待っていた。

「どこにや？」

「あの街に行くんよ。お母ちゃん、もう心さんと佳織さんと約束してもうたんよ。ほら、同窓会、一時やろ？用意しいよ」

「いかん、言うたやろ」

「嘘や。」おかんは、俺にスーツを渡しながら言う。

「なんで、嘘つくねん。」

「みっくん、五年前に酔っぱらってお母ちゃんに言った。中学生の頃のいじめてた奴等にあって俺一発殴ってやりたいって、ほんで人生かえたいって。それとな、おかん。俺、ヒーローに会いたいねんって言うたんや」

ヒーロー

俺は、昨日の夢を思い出した。一発殴るのは別としても俺は、ヒーローに会いたかった。

「おかん、俺ヒーローに会いに行くわ」

そう言って洗面所で顔を洗って、歯磨きをして戻ってきた。

おかんに渡されたスーツをきた。

「あんた、全部ポケットにいれんのか？」

「鞄いらんやろ」

俺は、全部ポケットにいれた。同窓会のハガキも。

駅まで来て、電車を待ってるとおかんが俺に、

「みっくん、しんどなったらすぐ電話するんよ。」って言った。

「なんでや？」

「お母ちゃん知ってたで、二十歳なる前から、みっくんが中学の時なにされてたか」

そう言ってやってきた電車に、おかんと乗り込んだ。

「助けへんかったんやないよ。助けられへんかったんや。みっくんが、助けてって言うまで助けたアカンってお父ちゃんにずっと言われてたから」

おかんは、泣き出してしもた。

「やめや、電車で」

俺は、おかんに言うた。

「南さんの娘さんの千穂さんがな、南さんに、みっくんがされてる事話したって聞いてな。学年のみんな知ってるって、みっくんが悪いわけやないのに、軽蔑されて怪訝な目を向けられるのはいつもみっくんだけやったって」

おかんの言葉で、思い出した。

俺、人の目が吐き気がするほど怖いん忘れてたわ。

いつもなんで、ビクビクしてんのかわからんかったわ。

「みっくんは、汚くなんてないんやで。お母ちゃんは、みっくんを汚いなんて思った事ないで」

そう言って、おかんは俺の手を握った。

「南さんが、お母ちゃんに言うてくれたからお母ちゃん黙っておくって決めたんや。みっくんが、話したくなったら全部受け止めるって決めたんや」

おかんは、優しい顔で笑う。

「だから、今日の同窓会で。みっくんが、嫌な気持ちになったらすぐ電話するんよ。ならへんかったら、お母ちゃんお泊まりまでするつもりやねん。」

「おかん、こっちにきたん。俺の為か？」

だって、おかんは友達多かったやん。

「奈美のためや」

おかんは、俺の頬をつねる。

「痛いな、アホ」

「今日、みっくんがヒーローに会えたらお母ちゃんにもいつか会わせてよ。みっくんが、お母ちゃんに助け求めへんかったんわ。助けてくれる人が、おったんやろ？お母ちゃんも、お礼言いたいわ」

そう言って、おかんはニコニコしてる。

「わかった。会えたらな。会わしたるよ」

俺の言葉に、おかんは嬉しそうにしてる。

「お母ちゃん久々に二人に会うけど、老けてないやろか？」

「老けてんのおかんだけやないやろ」

「なに、言うてんの。都会の人は、お洒落やで」

「お洒落やん。おかんはずっと」

「一応まだ働いてるからな」

そう言って笑ってる。

子供みたいにはしゃいでる所みたら、おかんはやっぱり心さんと佳織さんが大好きなんがわかる。

奈美姉ちゃんが、小学校あがってすぐに出来たママ友やな。

「みっくんとこっちゃん時は、ママ友できんかったな。」

おかんは、残念そうな顔してる。

「そりゃ、ずっと二人でおったからな。」

「いじめてる相手の親とママ友なったったらよかったな」おかんは、ニコって笑った。

おかんが、一番俺と姉ちゃんのヒーローやったんやで！

内緒やけどな。

電車は、あの街についた。