第6話 離脱多数



 数時間後。


 予想外の事態が起きて呆然とした。

 すぐに立て直したが、あまりにも予想の外すぎる。


 いや、ある意味予想内なのだが、いささか起きた犯罪の規模が大きすぎたのだ。


 あの依頼主は一体何を敵にまわしたのか。


 どっかの国の暗殺者でも怒らせたのか!?


隊長「負傷者は医療所へはこびこめ。つかいものになるやつは、手当へ!」


 おかげで怪我人が大量にでている。死人が出ていないのは奇跡だった。


 カぺルも怪我をした。


 任務に支障はないが、ひさしぶりの負傷だった。


 そんな事があったから、兵士達の中には、仮病を装って任務から抜けようとしている者が続出しだした。


 翌日には、片手で数えるくらいの人間しか復帰できなかった。


 やってられないと思った。

 無理だとも。


 もう任務の達成は不可能だと、諦めかけていた。


 そもそも純粋に守りたくない。

 勝手にしていろ、まきこむなと怒りが腹の底で煮えたぎっている。


 しかし、ディークは、違った。


依頼主「ひいいっ、助けてくれぇっ!」


 なさけなく泣きわめきながら逃げる男を守って、暗殺者集団とやりあっている。


 あんな人間、守りたいとも思わないだろうに。


 カぺルはその背中を守りながら、小声で命令する。


カぺル「ディーク。もう諦めなさい。撤退しますよ」


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