第3章〜123分間の奇跡〜④
『白草四葉の恋愛指南(仮)〜告白を成功に導くためのアドバイス〜』
①自分が相手に『好意を抱いている』ということを匂わせておくべし
→急に告白された女子は、『ぬいぐるみから、ペニスが生えたようなショック』を受ける
→効果的な好意の伝え方は、本編(動画など)で伝授する。
②恋人や好意を抱いている存在の有無、もしくは恋愛に関心があるかを調査しておくべし
→相手の恋人の有無や好みのタイプ、恋愛観を知っておくこと(彼を知り己を知れば百戦して殆うからず)
→する側とされる側の双方の間に恋愛観の隔たりがある場合の告白は、成功し難い
※なお、小学生の竜司は、女子の告白を無下に断る模様
③告白は、二人の関係性の確認作業であって、一発逆転や急速接近を狙うモノではない
→告白前の準備段階と告白するタイミングが重要(具体的なアドバイスは本編で)
→一度、告白を断られても、チャンスはある
・フッてから異性として見るようになった
・相手が好みの容姿に変化した
・告白のあとでも、変わらない優しさに惹かれた
・他のヒトと付き合い始めたのを知って、気になるようになった ...etc
ノートPCの画面を確認した四葉は、声を弾ませて、壮馬の仕事ぶりを称賛する。
「スゴい!! 良くまとまってる! ありがとう、黄瀬クン!」
「白草さんの話しを聞かせてもらいながら、自分なりに付け加えた部分もあるから……問題ないかな?」
優秀な書記の問い掛けに、「うん!」と、大きくうなずき、
「特に、小学生の黒田クンが、告白を受け入れないということを再認識できる点が秀逸ね!」
満足したように、悦に入った表情を浮かべている。
自分たちの仕事に、手応えを感じている二人に対して、竜司は、
「いや、それは、今回の件とナンの関係もないだろ……」
と、小声で冷静なツッコミを入れつつ、
「ところで、『
などと、疑問を口にした。その一言にため息をついた壮馬は、親友に対して語る。
「それは、『
「あぁ、曹操が内容をまとめてたって言うアレか!?」
「そうそう! ーーーーーーって、これはダジャレじゃないからね! この部分は、自分で付け足した言葉だけど、上手く要約できているんじゃないか、と自分でも思ってるんだ!」
自身の記述した内容に自負を滲ませた記録係に、アドバイザーが反応する。
「これって、有名な言葉だよね! 確かに、恋愛にも当てはめやすいフレーズかも……ただ、相手のこと以上に、自分自身のことを理解するほうが難しかったりするんだけどね、実際は……」
四葉は、そう言って苦笑した。そして、
「壮馬がまとめてくれた内容に、問題はないってことでイイのか?」
と言う竜司の問いに、「そうね! これで、問題ないと思う」と応じた彼女は、
「それと、さっき、ぬいぐるみにたとえて語ったことについてだけど……フランスの女優カトリーヌ・ドヌーヴが代表しているように、女性の側からも、『不器用な口説き文句を性犯罪と同一視すべきではない』って意見も出ているから、あまり気にしすぎないようにね」
と、フォローを入れた。
その一言に、男子二名の表情が和む。二人の顔色を確認した四葉は続けて、
「ここまで、一気に話しをさせてもらったんだけど……《竜馬ちゃんねる》のお二人から、他に質問はないですか?」
あらたまった口調で、質疑応答の時間に入ることを告げる。
彼女の問い掛けには、またも、壮馬が真っ先に反応した。
「ここまで、白草さんの講義を聞かせてもらったけど……この話しって、何年か前から話題になっている『恋愛工学』とは違うモノなの?」
「う〜ん……『恋愛工学』かぁ〜」
と、四葉はつぶやきながら、思案するように答える。
「わたしが、自分のフォロワーさんたちに披露しようと考えているモノとは、ちょっと違うかな? ところで、黄瀬クンは、『恋愛工学』について、どこまで知ってるの?」
「いや、そういう言葉を聞いたことがあるってだけで……『恋愛を理論化しているモノなのかな』って、認識しているから、白草さんの話してくれたことと、なにか関係あるかもって思ったんだよね」
壮馬の答えに、四葉は「そっかそっか……」と、うなずきながら、持論を展開する。
「たしかに、わたしも恋愛に関するアレコレをある程度、理論化したものを提供しようと思っているんだけど……たとえば、最初に黒田クンにダメ出しをした部分なんかは、『恋愛工学』でも、悪手とされる《好きな異性のことばかり考えて下手に出たり、思いを綴った気持ち悪い長文のLANEなどを送って嫌われてしまう》いわゆる『非モテコミット』と指摘できるかもね。でも、同じように、『恋愛工学』で否定的に評価される『フレンドシップ戦略』は、わたしが、これから黒田クンに伝授していこうと考えているモノに近いから……」
彼女の発言に、突如、名前を出された竜司は、「んっ!?」と、かすかに反応を示した。
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