探偵
探偵は造られた。
さあ、望まれない探偵の登場だ。
この街では、事件が起こるとすぐに探偵が現れる。
小さな事件であっても、少しでも不可解な点があれば、探偵がすぐに現れる。
探偵は人間ではない。
それは、人の子どもほどの背丈しかない、丸みを帯びた白いボディのロボットだ。
探偵はこの街の全ての情報にアクセスできる。
街のデータベース、監視カメラ、収音装置、個人のパソコン、預金口座、その他諸々。
明らかに度を越した行為だが、探偵は得た情報を事件解決のためにのみ使用するようプログラミングされているため、このような情報入手が容認されているのだ。
そして、あらゆる情報を高度な人工知能が演算し、事件の真相を導く。
探偵の推理が外れたことは、今のところ一度もない。
探偵の存在に嫌悪感を抱く住民は多い。
誰だって隠したいことの一つや二つはあるが、もし探偵がそれを解き明かそうとすれば、秘密が開示されることは確定している。
だから皆、自身の隠し事が、事件としてクローズアップされないように気を付ける。
それでもこの街で、探偵がいなくなることはない。
探偵の推理に頼るうち、もうこの街には、分からないことを解き明かそうとする人間はいない。
推理する作業は、全て探偵へと委託された。
この街には探偵が必要だ。
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