夕焼け

夕焼けは造られた。

ただ一人のために。


ある少女が夕焼けが見たいと言った。

しかし、その惑星には太陽が無かった。

その惑星は、恒星からあまりにも離れていたのだった。


少女の祖父はその惑星の王で、少女のそのささやかで無邪気な願いを叶えるために、大それた方法を取った。

王の権限で人々を動かし、人工太陽を造ったのだ。


惑星の周りを周回する、金属で出来た星。

その星は核燃料によって燃え続け、地上からはそれが太陽に見えた。

ただ一人のために造られた、人工の太陽。

だが、その正体がどうであっても、夕焼けは美しかった。


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