ライオン

ライオンは造られた。

シンボルとして。


ある動物園で、人気者のライオンが死んだ。

老衰によって日に日に弱っていたが、とうとう死んでしまった。


この動物園はいつも閑古鳥が鳴いているという状態で、ライオンの人気のおかげで辛うじて経営することができていた。

ライオンがいなくなれば、すぐに動物園は潰れてしまうだろう。

しかし、新しいライオンを手に入れる手段はない。


そこで、動物園はライオンの人形を造ることにした。

見た目だけでなく、仕草も、精巧に真似ることができる機械人形。


人形を檻の中に入れて展示するようにしても、客の反応は変わることがなかった。

あまりにも精巧すぎて、それが入れ替わっていることなど誰も気づかなかった。



やがて、動物園のスタッフ達も、ライオンが機械人形であることを忘れていった。

もう誰もその正体を知らない機械人形は今日も、かつて生きていたライオンの行動を再生し続ける。

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