おにいちゃんは、ペンネーム迷探偵?
おにいちゃんの前でだけなら、ちょっと、あざとい女の子になってもよいよね?
私は、おにいちゃんに近づいて、少しかがむ。
そして、上目遣いでおにいちゃんを見つめる。
私の上目遣いは、完璧なはず。
スマホで「上目遣い 効果的 やり方」で検索して、上目遣いのやり方は研究した。
G○ogleは、さすがだ。本当に優れていると思う。Go○gleで検索すれば、大抵のことは、教えてくれる。
そして、G○○gleの検索結果は、具体的なものが多い。もしかしたら、スマホの検索結果は、かのデルフォイの神託より優秀かもしれない。
ただし、スマホで「義兄 結婚 方法」で検索したときには、たいした結果が出てこなくて、がっかりしたけど。
まあ、とにかく、上目遣いだとか、可愛らしい仕草のやり方とかは、スマホで検索してみて、いっぱい練習した。
上目遣いだったら、スマホで何度も何度も自撮りしてみて、確認した。
超がつくほど絶対に、超絶的に、私の上目遣いは可愛いはず。もしも、「上目遣いのイデア(究極的な姿・根源的な原型)」なんてものがあるとしたら、私の上目遣いは、それにとても近いものと思っている。
なぜ、人は、上目遣いを可愛いと思ってしまうのだろう。なぜ、人は、可愛らしいと思ったとき、幸せな気持ちになるのだろう。おにいちゃんは、上目遣いしている私を見て、どう感じるのだろう。
上目遣いな私を見て、おにいちゃんが好意的な気持ちになってくれたらいいな。
おにいちゃんは、私に上目遣いで見つめられて、頬が少し赤くなっている。
そんなおにいちゃんを見て、私は心と身体が少し温かくなる。たぶん、今、私の頬も、少しだけ赤くなっているのだと思う。
上目遣いで、おにいちゃんを見つめたまま、私は、おにいちゃんに聞いた。
「でもね、おにいちゃん。
おにいちゃんは、さっき、『たぶん、ラノベの新人賞に応募する人って、半分くらいが本名で投稿していると思う』って言ってたけど、それは、違うんじゃないかな。
ほとんどの人がペンネームで投稿していると思うよ。
少なくとも、今回の雷撃大賞の受賞者は、『佐藤葉一』のおにいちゃん以下、みんなペンネームだと思う。」
すると、おにいちゃんは答えた。
「いやいや、ハナ。それは素人の考えだよ。
確かに、今回の雷撃大賞の受賞者は、僕以外、ペンネームの人たちばかりのように見え。いや、厳密に言えば、確かに、僕以外の人たちは、ペンネームなんだろう。
だけども、ペンネームではあるけれど、ほとんど本名だよねっていう人もいる。」
「それって、どういうこと?」
「例えば、ほら、今回の大賞の人を見てごらん。」
雷撃大賞・大賞(正賞+副賞300万円)
タイトル : 『冬休み限定カノジョ』
作者 : キヨシ・クリスタル
「見たよ。作者は、キヨシ・クリスタルさん。まあ、海外には、クリスタルさんっていう名前の人もいるし、もしかしたら、本名なのかもだけど。」
「いや、たぶん、厳密には、ペンネームなのだと思う。けれども、本名が簡単に推測できるようになっている。えっと、紙とペンを取ってくるね。」
そして、おにいちゃんは、紙に書いて説明してくれた。
「このキヨシ・クリスタルというのを、漢字に変換してみよう。」
キヨシ・クリスタル
清 ・ 水晶
「そして、区切る箇所を変えてみる。」
清 ・ 水晶
清水 ・ 晶
「ほら、キヨシ・クリスタルさんが、清水(しみず)晶(しょう)さんになった。」
なるほど、読み方は、清水(しみず)晶(あきら)さんかもだけど、そうだったら、なんとなく、モノマネとか上手そうな名前だよね。
「僕は、まだ、キヨシ・クリスタルさんには会ったことがないから、きちんと確かめたわけじゃないけど、きっと、キヨシ・クリスタルさんの本名って、清水晶さんなんだと思う。」
まだ、少し頬を赤くしたままで、自信満々に説明してくれる、おにいちゃん。
そして、私も、このときは、確かに、キヨシ・クリスタルさんって、清水晶さんが本名なのかもって納得したのだけど。
このおにいちゃんの推理は、間違いだって、私が知ることになるのは、まだ先のことなのでした。
『人気声優とおつきあいする方法 』 《 つまり、私が人気声優になればいいんだよね? おにいちゃん 》 伊勢介朱史 @ISEKAIAKESI
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