庭の柘榴 ― 御茶と烟草と茹玉子 ―
御茶と
麻の
「もう
今にも、
再び
時計を
「御待たせをしてをりますね。どうぞ、御茶でも御上り下さい。何も御座いませんが、どうぞ、御茶でも……」
さう
「
「
自分は手づから
さうして、上着の內側の
「ほら、こゝに
見遣ると、
「
「來てくだすつたの? もう、お逢ひできないと思つてゐましたのに……」
「もう逢はれないなんて――、
「えゝ、ほんたうに―― ありがたう……」
「さあ、
「えゝ」
「それでは、私はこれで……
「
婦人が去つて行くと、
「どれ、今日は、僕が君に御茶を
「あら、あなたが? ずいぶん珍しい事をなさるのね。嬉しいわ―― ふゝゝゝ……」
「大分血色が好いやうに見えるね。
「えゝ、まあ…… でも、やつぱりね――、おみおつけなんて、お味噌が食べ慣れたものとは違ふんでせう、どうしても。だから――ね……」
「ふむ、さういふものかね――」
「さうですよ。さういふものなの」
「さうなのかい?」
「えゝ、さうよ…… あ、――さう〳〵、葉書は
「葉書? あ――、あゝ、
「えゝ、何だかどうしても食べたくなつてしまつて―― あんな事書いてしまつて、ごめんなさいね」
「
「あら――、どうして?」
「
「さう? ――さうね。えゝ――、きつと、さうね」
「又――、涼しくなつたら、持つて來るよ。だから……」
「涼しくなつたらつて、いつ? ――また來てくださるの?」
「あゝ、
「さうかしら…… でも…… さうね――きつと……」
見る〳〵
「――あなた、
寂しさうな顏で
「――でも、また今度ね……」
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