聖母月
電車を降りて
坂の手前で立止り、
三時を少し
右の崖を見上げると、上から四分の一程の所に、
自分は再び足を前に進めた。
崖に
ふと氣附くと背後から
振返ると尋常科の高學年の生徒であらう子供達が
「こんにちは」
「こんにちは」
子供達の後姿を見送つてゐると、左に曲がつて行く坂の上から、あの人の姿が現れた。
「こんにちは」
「こんにちは」
子供達はあの人とも挨拶を交して行く。相互に知合ひと見えて、あの人は
いつも通り涼し
あの人が深〻と頭を下げる。
自分も同樣に低頭した。
「こんにちは」
「こんにちは」
「
「えゝ、坂の上に、
「さうすると、あの子らも皆、
「えゝ」
「でも、
「信仰に、
「
「
「――さうですか。
「家族には
「そこまでの
「覺悟なんてありませんわ。お
「さうでしたか」
「さうですの」
「慥か、今日から
「さう――。御覧なさい。欅の若葉が、あんなにも鮮やかに――」
「あゝ、さうでせう。あなたは、最早、御戾りにはならぬのでせうな?」
「戾る? 戾るも何も全てはあるが
「おや、
「えゝ、近頃は隨分上手に――」
「又啼きました……」
「
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