第2話 また次のループで
俺の目の前を駆け抜けていったその女性は何かに追われているようで、何度も振り返りながら必死に走っていた。初めて「繰り返しの外のイベント」が発生したことに困惑をしつつも、彼女ならこのループについて何か知っているかもしれないと考え、彼女の後を追いかけることにした。
「おーい! 待ってくれ! ちょっと話がしたいんだ!」
俺のその呼びかけに驚いたのか、彼女は急停止してこちらに振り向く。俺は彼女の元へ走りながら彼女に聞きたいことを単刀直入に聞いた。
「あなたはこのループについて何か知っていますか!」
「…え?」
「俺はこのループに…」
「話はまた次の回で! 午前十時にこの場所で!」
彼女は俺の言葉をかき消すようにそう叫んだ。俺が聞き返そうとしたその刹那、突如として現れた大型トラックが彼女を側面から跳ね飛ばした。間髪いれずに俺も目の前が真っ暗になり、視界が失われる前に一瞬見えた歩道に立つ時計は「二十時」を示していた。
五十二回目のループ。目覚めた俺は、昨日、もとい前回出会った彼女の言葉を思い出していた。
---話はまた次の回で! 午前十時にこの場所で!
彼女に会えば確実に何かが変わる。そう思った俺はまたあの交差点に向かうことにした。
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