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 カキーーンッッ!


 ボールは青い空へ高く高く飛んでいく。そしてボールは観客席に入った。逆転さよならホームランに球場が沸く。

 海人がホームベースを踏むと、チームメイトが駆け寄り肩を組みあう。海人も満面の笑みで喜んだ。


 帰り道。

「よく打てたね! ホームラン、すごいよ!」

「みさ、き、の、おかげ」

 私は少し戸惑った。バットは貸してあげたけど、それで練習したのは海人。ホームランを打ったのも海人自身。だから、海人の力で打てたのだ。

「き、こえた、みさ、き、のこえ」

 確かに叫んだ。でもそんなの……。

「ゆうき、でた、だから、うてた」

 私は照れくさくなって「ばーか」と返した。

 優柔不断で人見知りでどもる海人。いつもカッコワルイと思ってた。でもこの日、私は海人を見直した。カッコイイと初めて思った。いつの間にか好きになっていた。

 途中、私は海人の手を握った。ゴツゴツしてた。

(たくさん練習したんだね)

「な、に……?」

 海人は恥ずかしそうに言う。

「ちょっと触ってみただけ」

「……」



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