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それからも毎日毎日練習を続け、試合当日。
「頑張って、海人」
「おー」
海人なりの返事。
ユニフォーム姿で球場に入っていく。その姿を私はしっかり見届けた。
五回裏まで互いに0点。バカ佐藤が意外にも好プレーの連続で守備が固い。しかし六回の表に相手に二点を取られてしまうも、六回裏に一点取り返す。
海人の出番はまだない。
七回は互いに0点。八回に互いに一点ずつ。一点リードされた九回表に一点追加された。
そして九回裏。ランナー一塁、二塁で二アウト。監督は海人に声を掛けた。バカ佐藤の代打だった。
「監督、オレはまだやれますッ! こいつではダメですッ!」
「お前はピッチャーに完全に攻略されている。ここは海人しかいない」
「で、でも……」
「私は勝つつもりで海人を指名した。文句あるか」
「い、いえ……」
「さあ海人、打ってこい!」
「はい」
海人は堂々とした足どりでバッターボックスに立つ。しかし一球二球とピッチャーはストライクゾーンで勝負してきたが、海人はバットを振らなかった。
「海人、あの野郎、見逃しかッ!?」
バカ佐藤がひとりぐちる。
球場が一番の緊張状態に包まれる。一瞬の沈黙。
「海人、打てーーッッ!」
私は叫んだ。海人なら打てる、絶対打てる、そう信じて。
ピッチャーが振りかぶって投げた。
そして海人は――。
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