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「らい、しゅう、しあいある、きて」

 海人が私を誘った。

「塾があるかも、行けたらね」

「うん……」

 しばらくキャッチボールをしていると日が暮れてきた。私は海人と別れ、ひとりで家に向かう。途中でそっと振り返ると海人はまたひとりで一生懸命に素振りをしていた。

「海人なら大丈夫だよ」

 私が保証する。


 自宅に帰ると母が出迎えてくれた。

「ただいまー。今日の晩ご飯何ー?」

「美咲の好きなハンバーグ。そう言えば海人君もハンバーグが好きだったわね」

 今日の出来事を母に話す。海人が木の棒で素振りをしていたこと、一緒にキャッチボールをしたこと、来週野球の試合があること。

「そう、頑張っているのね海人君。来週応援しに行ったらどう?」

「塾があるでしょ」

「美咲、大切なものを見落とさないで。今は塾よりも海人君の応援。一生に一度の大切な思い出になるかもしれないわよ」

「んー、そうだね」

 私はハンバーグを頬張りながら答える。美味しい。

「お兄ちゃんの古いバットあったでしょ? 借りてくよ」

「あら、海人君に? 優しいのね、もちろんいいわよ」

 次の日、バットを海人の隠れ練習場に手紙に一言添えて置いた。

『応援してるよ、海人

美咲より』



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