2ページ
「黙れ、バカ佐藤」
佐藤に聞こえないように小さな声でつぶやいた。すると、脂の乗った体を揺らし佐藤が近付いてきた。
(ヤバッ、聞こえてた!?)
しかし、用があるのは海人にだった。
「来週の試合、代打での出場を期待しているようだけど、お前じゃ無理。諦めな」
(嫌な奴)
確かに海人の野球の技術は低い。そもそも運動神経が悪く、どのスポーツも上手くない。だからって……。
佐藤は佐藤であまり野球は上手ではない。けれど海人よりは野球ができるため一応レギュラーになっている。海人より体も大きいし送球も悪くない。性格は悪いけど。
「……」
海人は何も言わずに自分の席に座った。
放課後、私は海人に「一緒に帰ろう?」と誘った。まぁ、互いに家が近いので必然的に一緒に帰ることになる。でもその日海人は私の誘いを断った。もしかしたら初めて断られたかもしれない。それくらい海人は私の誘いとか提案を受け入れる。
「よる、ところ、ある……」
そういうとランドセルを背負い急いで走って行った。私は何か怪しいと、海人を後ろからバレないようにこそこそとついて行った。
たどり着いたのは河川敷。橋の下にランドセルを置き、木の棒を力いっぱい振る海人。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます