第82話 神様の朝

 朝。

 ルーの体に入り込み、体が覚醒した瞬間に、体の前後をむにゅっと柔らかい温かいものに挟まれる感覚を覚える。目を開くと、すぐ近くにミレイユの顔があった。キスでもしそうなほどの至近距離だ。ミレイユは目を閉じて穏やかな顔をしている。まだ寝ているようだな。


 私はミレイユと抱き合うようにしてベッドの上に横になっていた。ミレイユの体は、とても細いというのに柔らかくて抱き心地がとても良い。私はミレイユを優しく抱きしめる。ミレイユのすべすべの肌と心地よい体温は、私の体をまた眠りの世界へいざなってしまいそうなほど気持ちが良かった。


 そんなミレイユの顔の向こうに、リリムの顔が見える。リリムも目を閉じて規則正しい寝息を立てていた。リリムもミレイユを抱き枕に寝ているようだ。ミレイユは、私とリリムに挟まれて眠っている。


 背中や後頭部にも柔らかくて温かいものを感じる。ディアネットだ。後頭部に感じる柔らかい弾力は、ディアネットの胸だろう。ディアネットは、私の腰に手を回して、私を抱きしめている。私はディアネットとミレイユに挟まれて眠っていたようだ。


 なぜこんなにくっついて眠っているかと言えば、ベッドが狭いからだ。ベッドは1人用にしては大きいサイズだし、私とミレイユは小柄だが、さすがに4人で1つのベッドに寝るのは、難しかった。4人がギュッとくっついてギリギリと言うよりも無理やり収まっている感じだ。


 ちなみに全員裸である。昨日は、この4人で『夜会』を開いたのだ。美少女3人をいっぺんに抱けるなんて、ハーレムって本当に素晴らしいね!お酒も用意されていて、まさに酒池肉林といった感じだった。楽園はここにあったんだ!


 最初は、お酒を飲んで女子会のような雰囲気からスタートした。お酒も入ってしばらくすると、軽いボディタッチから始まり、唇が触れ合うだけのライトキス、舌を絡めるディープキス、お酒の口移しなんかもしたりした。


 お酒も入って雰囲気に流されたのだろう、ミレイユもリリムもディアネットもいつもより開放的だった。


 ミレイユは、甘えたがりのネコだ。普段の世話焼きな印象とは打って変わって、甘えてくる。その姿はすごくかわいらしい。「ちゅーして」と上目遣いにお願いされた時、そのあまりのかわいさに、キスでは止まれなかった。とても甘え上手な女の子である。


 リリムは、意外にも俗に言うバリネコだ。リードされる側である。本人はリードしようとするのだが、結局相手にリードされてしまう生粋のネコだ。ネコであるはずのミレイユにもリードされてしまっていた。普段の気遣い上手な姉御肌な一面は鳴りを潜め、欲望に忠実なドMな一面を垣間見せていた。ディアネットやミレイユにまでお尻を叩かれて悦んでいたほどだ。たぶん、この3人の中で一番リリムが性癖を拗らせている。


 ディアネットも意外な姿を見せていた。普段の受け身で大人しい彼女はどこへ行ったのか、積極的にミレイユやリリムとも絡んでいた。彼女は、俗に言うリバなのだろう。リードする側にも、される側にもなれる人だ。私とする時は基本ネコなので、ネコ寄りのリバと言うべきかもしれない。そういう意味では、ミレイユもネコ寄りのリバと言えるのかな。リリム相手にはリードしていたし。


 皆、普段とはまた違った一面を持っていた。人間って複雑で面白いね。


 昨日の皆の艶姿を思い返していると、背中からギュッと抱きしめられた。


「ディア、起きたのか?」


 私は小声で尋ねる。


「うん…」


 ディアネットが目を覚ましたらしい。私はクルリと体を回転させてディアネットと向き合う。すると……。


「はむっ」


 目の前に広がったのはディアネットの胸だ。朝日に照らされて、その豊かな双丘が輝いている。私の顔の下半分が、ディアネットの胸に埋もれてしまった。そのまま埋もれていたい欲求をなんとか抑えて、ディアネットの胸から抜け出す。


「おはよう、ディア」

「おはよう…」


 ディアネットの眠たげな半分だけ開いた瞳が完全に閉じる。寝ちゃったのかな?


「んっ…」


 ディアネットの顔が近づいてきて、私のおでこにキスをした。おはようのちゅーかな?


 これはお返しが必要だろう。私はディアネットの白い双丘へと口と付ける。


「ちゅーーーっ」

「んっ」


 ディアネットの双丘の片方に口を付け、勢いよく吸う。これでもかというくらい吸う。


「ちゅぱっ」


 口を離すと、ディアネットの白い双丘に赤い痕がついていた。キスマークだ。なんだかディアネットが自分だけのものになったようで少し気分が良い。


「キスマーク…」

「嫌だったか?」


 ディアネットがゆるゆると首を振る。


「嬉しい…」


 そんなこと言われると、もっとキスマークを付けたくなってしまうじゃないか。ディアネットは自分のものだと主張したい気持ちが高ぶっていく。そして、私は今度はディアネットの反対側の胸へと唇を近づける。


「ちゅーーーーっ!」

「んっ!」


 その後も、ミレイユとリリムが起きるまでずっとディアネットといちゃいちゃしていた。

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