第39話 神様と脱衣

「「「「「ただいまー!」」」」かえりました」


 ダンジョンの第六階層を攻略した私たちは、意気揚々と帰宅した。第六階層の階層ボスも倒したし、完全クリアだ。次からは第七階層に挑戦するつもりだ。


「おかえり。先に風呂入ってきな」


「「「「「はーい」」」」」


 という訳で、まずはお風呂だ。汚れた格好でうろつくと、部屋の中を汚してしまうからね。それに、早く装備を脱いで楽な服に着替えたいというのもある。どうせ装備を脱ぐのだから、お風呂に入ってしまうのが合理的だ。さっぱりしたいしね。


 皆で脱衣所に入って装備を外していく。5人で入っても、まだ余裕があるほど大きな脱衣所だ。あるいは、このために広い脱衣所と浴室が造られたのかもしれない。館を建てたのはアリスらしいし、アリスは元冒険者だ。冒険者が汚れた格好で帰って来ることなど、当然知っているだろう。


「ネトネトの魔法すごかったねー。ボスを一撃とかヤバイじゃん」


「そうですね。あの魔法の火力は、正直驚きました」


「火の玉が飛んでいって、ドカーンて爆発して、魔法ってすごいのね」


 第六階層の階層ボスは、大きなウサギだった。大型犬くらいのサイズはあったな。しかも、只のウサギじゃない。額に鋭い角の生えたウサギだった。


 それをディアネットが魔法で一撃で仕留めた。火の魔法だったな。オーバーキル気味の派手な魔法だった。ボスを倒したら帰る予定だったから、魔力の出し惜しみはしなかったのだろう。


 それにしても……。


 女の子が装備を外し、服を一枚一枚脱いでいく様子というのは、心が躍るな。ついつい皆の方を見てしまう。


 ディアネットの真っ黒なドレスが床に落ちる。現れたのは黒の下着を身に着けたディアネットだ。上は下着を着けていないらしい。その大きな胸が惜しげもく晒されている。下はレースのあしらわれた黒の下着だ。同じく黒のガーターベルトをしている。その新雪の様な白い肌と黒の下着のコントラストが美しい。


 リリムが、裸に二―ソックスというマニアックな格好をしていた。なぜだかグッとくる格好だ。私の性癖なのだろうか?


 ミレイユはもう裸になっていた。彼女は武装しているわけではないから、脱ぐのが早かったのだろう。相変わらず凹凸の無い体をしている。だが、不思議とそこには危ない魅力を感じた。


 一番服を脱ぐのに時間が掛かっているのはエレオノールだ。彼女は【赤の女王】の守りの要、聖騎士である。この中で一番重装甲だ。ようやく鎧を外し終り、これから服を脱ぐというところだ。


「そういえば…」


 私はエレオノールの姿を見て唐突に思い出した。


「なんでしょう?」


 エレオノールが服を脱ぐ手を止めてこちらを向いた。相変わらず礼儀正しい娘だな。育ちの良さを感じる。


「エルはあの宝具を着けているのか?」


「あの宝具?」


「ほら、あの黒い紐みたいな宝具だ」


 正確には黒いビキニアーマーだ。いや、あれはもうマイクロビキニアーマーと言っても良いだろう。


「……着けてますよ」


 エレオノールが小さな声で答える。本当に着けているのだろうか?


「着けてるところ見たいなー」


「えっ!?」


 エレオノールが大げさに驚いてみせる。普段清楚な服装をしているエレオノールが、あんな痴女の様な格好をしている姿。ぜひとも見てみたい。


「あーしも見たい!」


「下に着ているのか?脱いで見せてくれ」


「そーだそーだ」


「「ぬーげ!ぬーげ!ぬーげ!」」


 リリムと一緒に、エレオノールに手拍子しながら脱げコールを送る。エレオノールの顔がだんだん赤く染まっていく。


 私はエレオノールを見ながら、リリムの姿をチラチラと見てしまう。だってリリムが裸ニーソックスで手拍子しているのだ。リリムが手拍子するたびに、彼女の胸がぷるんぷるん揺れる。


「もー、あなたたち何をやってるのよ」


 ミレイユが呆れたように私たちを見ていた。エレオノールがちょっとホッとしたような表情をみせる。


「そう言うが、ミレイユも気にならないか?エレオノールがあの宝具を身に着けているのだぞ?」


「それは……ちょっと気になるかも…」


「ミレイユ!?」


 エレオノールが悲鳴のような声を上げた。まるで後ろから撃たれたかのような驚きようだ。


「さぁエレオノール。大人しく脱ぐのだ」


「「ぬーげ!ぬーげ!ぬーげ!」」


 追い詰められたエレオノールは、救いを求めるようにディアネットへと顔を向けた。


「気になる…」


 しかし、ディアネットもエレオノールのマイクロビキニアーマー姿が気になるようだ。


「そんなっ!?神は居ないのですか……」


 ここに居るよ?



 ◇



 その後、エレオノールはとても恥ずかしそうにゆっくりゆっくりと服を脱いだ。何度も途中で手が止まり、その真っ赤な顔の目元には、小さく涙まで浮かんでいる始末だ。


 エレオノールはマイクロビキニアーマーを服の下に着ていた。それはもういろいろとはみ出たり食い込んだりしてすごくエッチな格好だった。本人曰く、裸よりも恥ずかしい格好らしい。眼福眼福。

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