第3話 真相解明?

翌日、私はクリスを空き教室に呼び出した。婚約者同士なので密室に2人でいても、問題は少ないはず。ゼロではないけれど。


「ごめんね。クリス様…ちょっと聞きたいんだけど。」


「なぁに。キアラがアカデミーで呼び出すなんて初めてだよね。何かあった?」


どう言えば良いだろう。昨晩は寝ずに考えていたのに、本人を目の前にしたら、頭の中が真っ白になって言葉が出て来ない。手も足も震えているのが、わかる。俯いて、視線を合わせないようにした。嘘が下手だから。


サラの名前は、出せない。もし仮にでもサラを悪くは言われたくはない。人から聞いた体が1番良いのも知れない。


「…あのー…ちょっと耳にしたのだけど、クリス様は私との婚約は嫌だったのかしら?嫌ならやはり、婚約解消した方がお互いの為じゃないかしら?」


「えっ?どうして?誰かに言われたの?僕がキアラを好きだって言ったよね?信じられないの?最近忙しかったから余り仲良く出来なかったからかな?」


「…えっと。婚約も私から言ったって聞いたんだけど。」


「何を言っているの?僕がキアラに言ったでしょ?」


クリスは、抱きしめて来た。でも何となく居心地の悪い感じしかない。


「私はクリスには、私に縛られて欲しくはないの。まだ、違う人とやり直す?事は出来るんだから。」


「僕は、キアラが好きだから、離れないよ。」


勇気を出して視線を上げて、クリスの顔を見た。なんだろう。この違和感。

あぁ口元が笑っているけど、目は笑っていないんだ。怖いと思ったので、これは、早々に切り上げるべきだと感じた。


「そっ、そうなのね。取り敢えず、わかったわ。今日はもう帰るから。ごめんねクリス。」


もうこの空間に一緒に居たくはない。と思って、先に教室から出ようとドアノブに手を掛けた。瞬間、クリスに手首を強く掴まれた。かなり力が加わって痛い。でも、痛いと言う言葉を出すのはクリスに屈服したようで嫌だったので、声を堪えた。

これは教え込まれていた侯爵令嬢としての矜持であって、絶対に意地ではない。


「折角2人だけなのに、慌てて帰る事ないじゃない。久しぶりに2人で話でもしようよ。」


耳から流れて来るクリスの声はザラザラと耳から雪崩て来る様で気持ちが悪い。


「ごめんなさい。クリス様。今日はこの後サラとカフェに行く予定で、待っていて貰っているの。聞いた話の確認をしたかっただけだから。言っていないなら、大丈夫よ。ありがとう。」


「それなら、仕方ないね。わかっよ。また今度ゆっくりと。ね。キアラ。」


またね。と言いながら教室から飛び出した。

あれは、誰だろう。

私の知らない人だった。

恐怖心しかない。

いつの間にか涙が出ていた。


呼吸を整える為に、立ち止まった。ハンカチを出そうと動いたら、肩をポンと叩かれた。


「これ、良ければどうぞ。」


と出されたハンカチは、良い香りがした。


振り返れば、かなりのイケメンが立っていた。

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