第11話 玲司の実家
「麗奈、頼むな。俺が行くわけには行かないから。距離をおいていたが、玲司は、父親のことを心から尊敬しているんだ。」
「わかってる。私が支えられればと思ってる。」
玲司と麗奈は、玲司の実家に向かった。
「ていうか、どこまでが家?」
「向こうの山まで。」
「凄い、本当にいるんだね。こんな家の人。」
「借金まみれのね。」
「そうかぁー、そこね。でも玄関、どこ?」
玲司の父は、部屋のベットにいた。
「玲司、よく帰ってこれたものだな。」
「何言ってるの、あなた。玲司は、心配してきてくれたのよ。」
「父さん、妻の麗奈です。」
「麗奈さんとやら、来て早々なんなんだが、帰ってくれないか。」
「父さん、何言ってんだよ。」
「おまえの身勝手で、従業員の家族までもが大変なことになっているのがわからないのか。」
そこへバタバタと大きな足音をたててくる人が。お金を借りているところの娘、千里だ。
「はぁ、はぁ、おばちゃん、玲ちゃん、戻ってるんだって。」
(玲ちゃんなんて呼んでるんだ。)と振り向いた麗奈の目に飛び込んできたのは目をみはるような美人。
(お金持ちで美人なんて物語の主人公みたいな人いるんだ。)
(すごい家に美人。まるで別世界。私、死んだりしてないよね?)麗奈は、頬を本気でつねった。
千里は、玲司の腕に腕をからませ、
「玲ちゃん。結婚した人って、この人?なんか普通。」
(はい、はい、すみませんねぇ。私は、いたって普通ですよ。あんたが超越しちゃってるんだよ。)
「玲ちゃん、私がおじさん倒れてるの見つけたんだよ。見つけなければ今頃どうなっていたことか。病院から薬取りに来てほしいって。玲ちゃん、車だしてくれるよね。」
「えっ、あっ、でも麗奈。」
「私は大丈夫。玲司さん、行ってあげて。」
玲司は、すこし躊躇したが、
「悪い。すぐ戻るから。」と出ていった。
「麗奈さん、さっきは悪かったな。」と玲司の父。「しかし、わかってくれるだろ。玲司の行ないがこの村のみんなの救いになるんだ。」
麗奈は、玲司が戻るのを待たずにタクシーを頼んだ。
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