第9話 とりあえず戻る

帰ると、潤也がいた。

「おかえり〜」

「おかえりじゃない。潤也、仕組んだでしょ。わざと優待券渡したよね。」

「だって、麗奈、全然気づいてくれないから。結構サイン送ってたんだけど。だから。」

「私が気づいたところでどうするつもり。

追い出そうと思ってる?私、潤也にとっては邪魔ものだもんね。」

「最初は、時期がきたら、出てってもらおうと思ったよ。」

「それが今なわけ?」

辺りを見回す麗奈。

「玲司さんは?」

「玲司は、急に海外出張が入ったみたいで出かけたよ。そういえば、幼馴染に言っとけよ、俺、ジェンダーじゃないぜ。」

「ていうか説明してほしいんだけど。どうして、2人がそういうことなら私と結婚したのは、何故?2人が結婚すればいいじゃない。今は、世間的にも認められてるんだから。」

「それがさ、玲司、地元じゃちょっと知られた名家でさ、でも経営してる会社が傾いて金借りて、その借りたとこの娘が玲司のこと気に入っていて、玲司と結婚したいって言い出したんだ。

玲司の家的には万々歳で、話進めようとしたんだが、そいつも1人娘だから結婚したら、地元に戻らなきゃいけなくなる。

そうなったら、俺とのことは、続けられなくなる。

別れたくないじゃん。

玲司、女苦手だし。

ならば、こっちで適当な相手と籍入れちゃえばいいんじゃんって、俺が提案した。

そうすれば戻らなくて済むし、玲司の親も諦めるだろうって。

日本は、一夫一妻制だからね。

そこで、見合いパーティーに行き、麗奈を見つけたってわけ。納得した?」

「納得なんて出来るわけない。」

「うーん、だよね。でも、麗奈、人のこと好きになったことないって、2回目に会った時玲司に言ったんだろ。」

「言ったけど。」

「じゃあ、いいじゃん。誰も好きにならないんだろ。それとも玲司のこと好きになった?」

「わからない。玲司さん、いい人だし、ここ居心地いいし。ほかに行くとこないし。」

「だったら、このままでいいじゃん。何か問題でも?」

「なら、そのまま嘘つき通せば良かったでしょ。なんでばれるように小細工したの?」

「それは。俺が麗奈気に入ったから。」

「はっ、て、ちかっ、近いって。」

「俺さ、両方行ける口だから。麗奈、性欲ってどうしてるの?」

「そりゃ、一応ある。人間だから。」

「ふ〜ん。」と言いながら、麗奈にキスをする潤也。

そのまま、押し倒された。

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