第8話 ホテルにて

「あぁあ、見つかっちゃった。」と玲司。

(あれ、何この雰囲気。玲司さんの引きつった顔。何?玲司さん、潤也くんの肩に手置いてる?あれ、これ、宿泊用エレベーター。ん?)

「麗奈、これには訳が。」

(えっ、玲司さん、何言ってるの?訳があるの?)

キョトンとしている麗奈の元に

「麗奈お待たせ。手続き済んだよ。あれ?誰?ていうか、麗奈、2人のラブラブ邪魔しちゃ悪いよ。レストラン行きのエレベーターは、あっちだよ。」

「あっ、君が幼馴染の麻美ちゃん?ごめん。今、修羅場!」

「修羅場?大丈夫、私、ジェンダー肯定主義だから。」

「麻美ちゃん、ちょっと黙ってくれないかな?これは、麗奈ちゃんと旦那の玲司の話だから。」

「なんか失礼な言い方。えっ、旦那?」

「麻美、レストラン行こ?」

麗奈は、麻美の手を引っ張り、無理矢理その場を離れる。

「ちょっと待って、麗奈。旦那って?えっ、どういうこと?」

玲司は、追いかけてきてもくれない。

「どういうことって、こっちが聞きたい。」


レストランでやっと落ち着き、

「ていうことは、背の高いイケメンが麗奈の旦那の玲司さんで、茶髪の可愛いイケメンが同居している居候ってこと?」

「そういうこと。」

「で、麗奈のいない時に2人でホテルにしけこんでる現場だったってことか。」

「いいかた。」

「でこれから麗奈は、どうするの?」

「どうするもこうするも。。。わからない。」

でもこうなってみていろいろ腑に落ちた。

知り合って手も繋がないうちに結婚したこと、その日のうちに家に潤也を連れてきたこと、結婚報告だけでいまだに潤也の家族には会っていないこと。

(そういうことだったのか。)

不思議なことに落ち着いている自分に麗奈は驚く。

「とりあえず、家に戻って話させなきゃ。」

「わかった。なんか大変なことになっちゃったね。くれぐれもはやまらないでね。」

「わかった。ありがとう、麻美。」

真っ直ぐ前を見て帰っていく麗奈を見て、

(私のほうがあわあわしてるじゃん)と思う麻美だった。

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