第6話 結婚生活
麗奈にも平穏な毎日が訪れた。
朝起きて、朝食を作り、一緒に食べ、旦那を送り出し、掃除、洗濯、夕飯の買い出し、楽しい夕食、そんな淡々とした幸せな日々を過ごすはずだった。
「おっはよー、麗奈ちゃん。」
こいつが現れるまでは。。。
こいつとは、結婚式の日に旦那の玲司が連れてきた潤也19才。
「なんか住んでいたアパートが取り壊されるらしくて、行くとこないそうだ。次の住処が決まるまで置いてやることにしたから。いいだろ?」
(いいだろって言われても今日結婚式だったんだけど。そりゃあ、ここは、玲司さん所有の家でそこに越してきたのは私で立場的に行ったら、そいつと同じっちゃ、同じだけど。。。こっちは、新婚も新婚、結婚式当日。)
(いや、待てよ。考え方によっては、第三者がいるってことはある意味好都合?)
何を隠そう、麗奈は、人を好きになるという感情がわからない。そのため、数々の理不尽な場面を乗り越えてきた。
出会って一か月でプロポーズされるままに結婚を決めちゃったから、玲司さんのこと良く知らない。玲司さんとの距離をゆっくり詰めるのにいてくれたほうがよいのかも。)
「そうだね。人として、駄目とかいえないよね。住む所決まるまでどうぞ!」
「わぁー、麗奈ちゃん、優しい。ありがとう。」といきなり抱きつく潤也。
(玲司さんと抱き合うより先に抱き合っちゃったよ。)
そんなこんなで奇妙な3人暮らしが始まったのだった。
「麗奈さん、おはよう!朝食の準備、ありがとう!いただこうか。」
「なんか夫婦なのに他人行儀だな。俺がいるからって意識しなくていいんだけど。って、居候している俺が言うことじゃないけど。」
「いや、いや。これは、作ってくれた人への最低の礼儀だろ。」と美味しそうに食べる玲司。
玲司は、麗奈の作ったものをなんでも美味しそうに食べてくれる。
和食でも洋食でもインド料理でもトルコ料理でも不平を言ったことがない。
(玲司さんは、世間的にみて、理想的な旦那さんなんだろうな。)
月に2、3回は、外食にも連れてってくれる。
美味しそうなケーキをみつけたからと言っては、お土産で買ってきてくれる。
必要な物は買っていいとブラックカードも持たされている。
会社を首になってしまった麗奈には、申し分ない境遇である。
こいつを気にしなければ。
ただ、玲司が出張でいない時の二人きりの食卓は、気まずさ100%ではあるが。。。
しかもあれからすでに半年が過ぎている。
潤也は、出て行く素振りもなく、麗奈の作った食事を食べ、いつも自分用の部屋にいて、夕方になるとDJの仕事のために出かけて行く。
(なんか3人の暮らしにすっかり慣れてしまったなぁ。)と遠い目をする麗奈であった。
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