第5話 会社員の頃
電子機器の事務に就職した。
仕事にも慣れ、この後の人生、順風満帆に感じていた。
急ぎのデータ打ち込みが終わり、ホッとしている時に1Fの受付から、内線が入った。
「本田さん、お客様です。」
降りていくと、営業の若手ホープの神谷潤と綺麗な女の人が立っていた。
「あ、この人なんだ。わかった。じゃあね、仕事中邪魔して悪かったわね。」
綺麗な人は、そのまま会社の受付ルームから出ていった。
「神谷さん、今の方は?」
「俺の奥さん。っていうか元奥さんに今なった。」
「えーっと、私受付から呼び出されたのは、今の方ですよね。
なんでもう帰っちゃった?
まだご挨拶もしてないのに。」
「納得したみたいだよ。顔見たかったんだって。」
「?どういうことですか?」
麗奈には、全く理解が出来なかった。
「別れるにしても新しく結婚する麗奈の顔見たかったらしいよ。」
「結婚?」
「そうそう、いつにするか連絡するからさ。」
「えっ!どうしてそんな話になるんですか?」
「照れなくていいよ。大丈夫だから。ここ、ほら、今、会社だから。後でね。」
「えっ、神谷さんとは、出かけたこともないですよね?会社の飲み会とか懇親会のバーベキューで一緒になったくらい。」
「うん。その時に君の気持ちは、十分わかったから。昼休みがなくなっちゃうよ。」と立ち去っていった。
「いつ?どこで?どうして?どういうこと?」
午後、わけがわからないが、
「今は、仕事、仕事!」
気を取り直している麗奈の前に出刃包丁を持った女の人が。
(やばい。逃げなきゃ。)
運動神経の悪くない麗奈は、咄嗟にかわし、逃げる。
神谷の妻の葵は、まわりの人に取りおさえられ、大事には至らなかった。
会議室、部長に呼び出され、
「どういうことだ。」
半泣きで震えている麗奈は、
「もうなにがなんだか。」
「とりあえず自宅で自粛してくれ。処分は、追って連絡する。」
なんでいつも変なことになってしまうのか麗奈自身には全くわからなかった。
今後、会社に出社出来るわけもなく。。。
(でも私は、なにも悪くないから、知らん顔して出勤しようか。いや、やっぱり無理だ。
まわりの目が。たぶん、いくら弁解してもわかってもらえるわけがない。
第一、どんな弁解をする?
弁解しようにも弁解することが見当たらない。)
そんな中、届いた封書には、『解雇』の二文字。
(こんなことなら、結婚相談所にでも登録してパッと結婚してやろう。)と半分やけで登録して、今現在フラッシュボブという状況に置かれているわけで。
(まあ、この先、好きな人が出来るわけもないので、この状況に身を置くのも悪くないかも。)と投げやりになった麗奈だった。
この先どんな未来が待ち受けているかそれはまた別の機会に!
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