過去からの呼び声(5/6)
岩山の中腹の張り出した岩棚の下がバールバナの入口だ。ここはちょっとした洞窟になっていてその先はただの突き当りになっている。
バールバナへの扉は物理的に存在しているわけではない。それは一種の空間の穴と言って良いと思う。それを作った魔導士に詳しい話を聞いたはずなのだがよく思い出せない。
この扉が開くのは一日につき二時間だけと決まっている。その瞬間を洞窟の暗闇の中でひたすらに待つ。狼男の暗視能力ならばこの暗闇の中でも十分に見える。
今の私を外から見れば、赤い目だけが闇の中に浮かんでいる化け物に見えることだろう。
やがて洞窟の奥の暗闇が一際と深くなった。星辰の位置が整い、闇の保管庫との門が開いたのだ。
その中から何ものかの視線が私に注がれた。それは言葉を発した。暗闇の中の一番濃い所にいるのでその姿は見えない。
「ダークに似た者よ。懲りずにまた来たのか」
「またとはどういうことだ? 私がここに来るのは数十年ぶりだぞ」
「昨日来たではないか」
その言葉と共に何かが投げつけられた。それは乾いた音を立てて床に転がった。さらに暗視能力をブーストしその細部を見分ける。
木の盾の残骸だ。表面にいくつかの魔石が埋め込んである。
魔道具、守りの盾バンジュラム。いや、その残骸だ。
かってダークがあいつに持たせた魔道具の一つだ。
「昨日はこれを身代わりにして逃げたようだが今回はそうはいかんぞ」
「手順に従っていない」私は指摘した。
「何だと?」姿なきモノは動揺した。
「手順だ。何度も教えただろ」
闇の番人というのは基本は使い魔だ。
元々彼らは人間であった。魔術でその自我を奪い、最低限の知性を残して人間らしさをすべてはぎ取っる。それから魔術儀式で存在自体の位相を変えて使い魔に仕立て上げたものが彼らだ。
闇の番人はようやく自分が受けた訓練を思い出したようだ。
「合言葉を言え」
そうだ。それが正しい手順だ。
私はこほんと一つ咳をしてから歌い出した。
「夜の静寂の中にて 我は願う 闇の王 鴉の主よ
憎き昼の落とす影にて 我は願う 永遠に続く冬を
黄昏の淡き揺らめきにて 我は願う 血と叫びの供物を
黎明の消えゆく断末魔にて 我は願う 汝の破滅を糧として」
もちろん闇の保管庫ごとに合言葉は異なる。これはバールバナのためのものだ。言葉のつながりの中にちょっとした魔術を組み込んであり、透視や読心の魔術でも読み取れないようにしてある。
ごくりとツバを飲む音がした。闇の番人には喉なんか無いのに。
「ご主人さま。いや、しかし、違う。姿形はそのもので、合言葉も合っている。だが精神が違う」
「混乱しなくてよい。別に保管庫を開けとは言わない。だが一つ教えろ」
「何でございましょうか」いきなり闇の番人の口調が丁寧になった。
「昨日来た男についてだ。何をした?」
「その男はダーク様にそっくりでした。姿形だけでなく心の中まで。しかし合言葉を言えませんでした。私が保管庫を開くことを拒否するといきなり襲ってきました。ですので私に与えられていた力で反撃したのです。男はその魔道具を身代わりとして逃げのびたのです」
守りの盾バンジュラムは中級のガラクタ魔道具だ。防御に特化した魔道具で物理魔法問わずにかなりの攻撃を受け止めることができる。それだけなら使える魔道具なのだが、攻撃を受け止めたときに本来所有者が受けるはずであった苦痛をそのまま味わわせるという謎の特性を持っている。つまり槍を受け止めるとその槍に刺されたのと同等の痛みを与えてくれる。
どこの馬鹿だ? こんな魔道具を作るのは。
たぶん頭のイカレた魔導士でしかも相当のサディストに違いない。この盾を持った者は死にたくなければ死ぬような痛みに延々と耐え続けることを要求されるのだ。
それでもこの盾は本来なら死を招く闇の番人の一撃を受け止めてみせた。ガラクタなりに見事に役割を果たしてみせたということか。
偽ダークは全身を満たす激痛に叫びながら逃げ出したらしい。
「ありがとう。ご苦労だった」
聞くべきことを聞き終わったので私は闇の番人に礼を言うと踵を返した。
「ご主人さま。私はどうすれば?」背後から闇の番人が訊ねた。
「そのまま保管庫はずっと封印しておけ。誰にも開けてはならぬ」
「このままずっとですか?」声に悲哀が籠っている。
以前に誰かがここを訪れてから何十年も経過している。次に人が訪れるのはまたもや何十年も先になるだろう。ひょっとしたら何百年かも知れない。その間ずっと、闇の番人は異空間で一人切りで過ごす羽目になる。
「それがお前の役目だ」
私は冷たく答えた。それ以外に答えようがないからだ。彼を解放することはできない。そして闇の保管庫は今後も誰にも触られないままが良い。
許せ。闇の番人よ。
*
来た道を逆に辿り、使った経路を逆に使い、ようやくニューヨークに戻って来た。
リビアの棲む高層ビルが見えてきたとき、異変に気がついた。ビルの最上階から炎が立ち上っている。
狼男の視力で火事の位置を確認する。
燃えているのは恐らく対空ミサイル発射機が設置されていた部屋だ。襲撃に当たって空対地ミサイルでも撃ち込まれたに違いない。屋上のヘリポートの端からヘリのローターの一部が覗いている。となると侵入は空から行われたのか。
エレベータを待つなどと悠長なことはしなかった。小さく呪文を唱え、体と魂の境目にあるこの世でないどこかを開く。緊急時の魔力溜めから全身に弾けんばかりの力が流れ込み逆巻き溢れ出す。
胸の奥に湧き上がってくる周囲の消防隊や見物人を見境なく殺戮したいという欲望を無理に抑え込むと、高層ビルの外壁に鋼鉄と化した指を食いこませそのまま垂直に登攀する。滅多に出さない本気モードだ。普通の人間の眼には黒い影が上に飛んだとしか見えなかっただろう。
八十階分を両腕の力だけで瞬く間に登り切り、リビアが棲むフラットの窓を破る。防弾ガラスだが気にしなかった。フルパワーの狼男の拳を受け止められる防弾ガラスなどこの世に存在しない。それには魔術防御も懸けられていたがどちらにしろ結果は同じ。
バラバラに砕けたガラスと一緒に部屋に飛び込む。
この部屋の中にいた何人かの男たちが反射的に手にしたマシンガンをこちらに向けた頃にはもうその背後に立っていた。
匂いで分かる。悪魔族だ。ならば手加減の必要はない。
二人の首は簡単に折れた。三人目はこの小隊のリーダーだったらしく、防御の呪文がかかっていた。私のおよそ十トンの握力にこの男の首の骨は抵抗して見せた。
もっとエレガントな戦い方もあったが急いでいたので力づくにした。呪文を唱えて私の体に組み込まれた次の魔術を発動させる。
かって魔道具と一緒に貢がれた魔導書の中に記述されていた術式だ。体に直接組み込むと普段よりも強い力が出せるが反動としてあっと言う間に体力を使い果たして枯れ果てて死ぬ。そういう役に立たない自爆型魔術だ。
生命力の塊りである狼男ならばこの欠点も何の問題もない。衰えた体は次の満月になればまた再生する。
私の手の中で悪魔の頭蓋骨がまるで脆いクッキーであるかのように細かく砕ける。
そのまま壁に突進して大穴を開けて廊下に出る。廊下の左右に並ぶ芸術作品がひどい有様になっているのを見て少しだけ心が痛んだ。
その中に以前私が描いたリビアの似顔絵が入っていることに気づいて悲しくなった。それをやった奴はすぐに支払いをすることになるだろう。
廊下を暴風の如くに駆け抜け、ドアをたたき壊して中に飛び込む。
まるで何事もないかのようにリビアがソファに寝そべっていた。その周囲にボディガードたちが何人か立って、必死の形相で銃を撃ちまくっている。彼らを取り囲んでいるのは悪魔たちの部隊だ。悪魔たちの周囲では防御の呪文で弾丸が火花を散らしながら弾かれている。これではリビアの側に分がない。
目の前でボディガードの一人が頭を撃ち抜かれて倒れる。
リビアの周囲にはボディガードたちの体がいくつも転がっている。生きている者は一人もいない。彼らは死ぬまでただひたすらリビアのために戦い続けているということだ。なんという忠誠心。いや、魅了の魔法の結果なのか。
「あら、ダーク」私の姿を見てリビアが言った。
それを聞いて悪魔たちの体がびくりと震え、全員が一斉に私に銃を向けた。
彼らの銃から銃弾が吐き出されたときにはすでに私はフラットの高く作ってある天井まで飛び上がっていた。
銀の弾丸だ。狼男を殺すための装備だ。
殺せるさ。もしもそれが私に当たりさえすれば、の話だが。
悪魔たちの背後に降り立つ瞬間に、伸ばした爪でその体を引き裂く。
ボディアーマー程度では私の獣化した爪は防げない。
普通の防御魔術程度では私の強化魔術は防げない。
存分に暴れた。ダークの好みのやり方で。
腕の一振り毎に悪魔の首が千切れ、蹴りの一つ毎に悪魔の胴体が分断される。飛んでくる銀の銃弾は鋼鉄より硬い爪の先で正確に貫き弾いた。サブマシンガンは射出速度が遅いのに加えて、今の私に取って銃弾は空中に止まったハエだ。
引き裂き、潰し、噛み千切り、貫く。いつしか私は大声で笑っていた。
人狼の抑えがたい本能。殺戮の愉悦。ファーマソン神父になっても消せなかったもの。血と肉への渇望。
たちまちにして一匹を除く全員が血の海に沈んだ。
最後の一匹だけは、両腕を引きちぎるだけに止めておいた。悪魔族はこの程度では死なない。
そこまで来てようやくここに来た目的を思い出した。
「リビア、無事か?」
「かすり傷一つないわ」リビアは嫣然と微笑む。「でもせっかくのペルシャ絨毯は台無し」
足下の血で濡れた絨毯を指さす。悪戯っぽく呟く。
「クリーニングに出したらちゃんと落ちるかしら」
やれやれだ。心配して損をした。吸血鬼の女ボス、夜の女王のリビアを心配することほど無駄なことはない。私よりもずっと年上なんだ。この人、いや、吸血鬼は。
大体血がぐっしょりと染みこんだ絨毯をクリーニングしてくれる洗濯屋が存在するだろうか。こんな代物を渡されたら、大概の人間なら腰を抜かして警察に駆け込む。
生き残った悪魔の頭を掴んで空中に持ち上げる。
「どうしてリビアを襲った」
「馬鹿野郎。ダーク。俺たちはお前を殺しに来たんだ」
「私を? 私がお前たちに何かしたか?」
悪魔は喚き散らした。あらゆる呪いの言葉と呪文をまぜこぜにして。聞いてはいられないので、その口に拳を突っ込んで歯を全部叩き折った。魔術が発動している間は私の体は鋼鉄よりも硬い。
いきなり静かになった。
「何があった?」
「お前が俺たちの巣を襲ったんだろう。いきなり現れたと思ったら兵を貸せと命令してきて、断ったら女子供も含めて皆殺しだ。お前を殺してその首を犠牲者に捧げないと俺たちの怒りは収まらない」
「何のことだ。それはいつの事だ」
「十日前だよ。忘れたのか」
ああ、それでアナンシ司教が私のアリバイを確かめていたのか。
偽ダークはあちらこちらの闇の組織を襲っているのだ。それも結構派手に。
実に迷惑なことだ。
なるほど彼の言っていることは本当だ。悪魔たちが持っている武器は対狼男用の銀の武器だけで対吸血鬼用の武器がない。白木の杭もなければ十字架も聖水も、最近どこかの闇メーカーが開発したブラニウム剤もない。
リビアはニューヨークの吸血鬼のボスというだけではなく吸血鬼五大派閥の一つ『血の盟約』の大長老だ。例え悪魔の部族とは言えそうそう気安く対峙できる相手ではない。
偽ダークを匿っていたのはリビアの行為だからその住処に襲撃を掛けられるまではリビアは飲み込まねばならない。だがリビアそのものには傷一つつけないことで敵対はしない。そう悪魔たちは考えたのだ。
そしてリビアもそれを分かっているからこそ慌ててもいないし怒ってもいない。ボディガードたちが職業上の義務で命を懸けるのを横からただ眺めているだけにとどめ、自ら悪魔たちには手出しをしていないことでそれを示している。
人間とは違って魔族たちはかなり高度な戦略戦術感を持っているのには感心する。
しかし考えてみればこれもやはり私の問題だ。この惨劇はすべて私がダークであった頃の遠い残響なのだ。
私は悪魔の首を掴んで宙に持ち上げた。すでにその肩からの出血は止まっている。ドブの匂いのする嫌な血だ。
「いいか、良く聞け。そして他のヤツラにも伝えろ。偽ダークが動き回っている。そして今の私は対策局のファーマソン神父だ。ダークではない」
「偽ダーク? 誰がそんなことを信じるか」
私はギースの印を結んだ。これが一番手っ取り早い。
「誓おう。今より三十秒、私は真実を話すと」
魔法の帳が被せられるこの感じ。それは悪魔にも感じ取れた。彼らはそもそも魔法種族なのだから当然だ。
じっと悪魔の目を覗き込む。
「さあ質問しろ」
悪魔は躊躇った。それから意を決して訊ねた。
「俺たちを襲ったのは偽ダークか?」
「そうだ」
「十日前の俺たちへの襲撃にはお前は関わってはいない?」
「そうだ」
「だがここにはその偽ダークがいたぞ?」
私はリビアに視線を向けた。リビアは舌を出してみせた。そこだけ赤い唇からピンク色の濡れた舌がちろりと覗く。実に煽情的な光景だ。それを見て私に首を掴まれて宙づりになったままの悪魔の股間が敏感に反応するのが分かった。周囲のすべてを感知する狼男の能力が嫌になる瞬間だ。
両腕を千切られて半死人状態の悪魔ですらリビアの性的な魅力には逆らえない。彼女が本気になったらいったいどんなことができるのだろうとちょっと怖くなった。
少し躊躇ったがようやくリビアは答えた。
「昨日、彼はここに帰って来たの」
「今はどこに?」
「知らない。またぶらりと出て行ったの。その人たち何日か前から辺りをウロウロしていたから、たぶん狙われているのに気がついたのよ」
やれやれ。悪魔という種族はどこか詰めが甘い。そしてリビアは今日の襲撃をあらかじめ予想していた。予想していてなお、この惨劇を楽しもうとしたのだと私には分かった。
彼女の血は私よりも古い。賢くて、敏くて、おまけに残虐。血が流れることが大好き。例えそれが味方の血であっても、血ならばすべてウェルカムなのだ。
ああ、リビアよ。汝の名は死が賛美するところ。まさにダークの好みだ。
だが今の私はファーマソンだ。ダークじゃない。
悪魔は私の目を覗き込んで言った。
「お前はその偽ダークを知っているのか?」
残念。私の頭の中で数えていた三十秒がたった今過ぎだ。ギースの効果範囲は今終わった。これでもう誓約には縛られない。この悪魔がそれに気づくほど賢くなければよいが。
「知らない。昔の私は有名人だったからな。成りすましはいくらでも出てくるさ」
さらりと嘘が出た。これもファーマソン神父になってから覚えた技だ。ダークの時代にはそもそも嘘をつく必要がなかったから。嘘は弱いものが使えるたった一つの手段である。
私は悪魔から手を離した。
「さあ、もう用は済んだだろう。お前はもう帰れ」
ケツを軽く蹴って両腕の無い悪魔を部屋から追い出した。階下は消防隊で一杯だろうが、きっと彼らは最上階に上るための階段が無いことに慌てていることだろう。
悪魔がいなくなって彼らが使っていた襲撃魔術の効果が消え、遅ればせながら働いたスプリンクラーが各部屋の火を消していく。
周囲はひどい有様だ。悪魔の死体だけではなくリビアのボディガードたちの死体も転がっている。
そしてリビアは最初から最後までソファーの上でその姿勢を崩していない。
私はリビアのソファーの横に椅子を持って来て座った。血だまりは慎重に避ける。神父服を血で汚したら、また被服部から苦情のメールがアナンシ司教の下に届いてしまう。
私はと言えば、あれだけ暴れても返り血は一滴も浴びていない。これもファーマソンになってから覚えた技だ。たいしたものだろ?
「しかし、あいつ。偽ダークはいったい何がしたいんだ? 悪魔の巣を襲うなんてマトモじゃない」
「彼の名前は忘れてしまったの?」リビアが非難が籠った口調で言った。
「忘れたんじゃない。最初から覚えなかった」
ダークはあいつを影武者一号の意味を込めて、ダーク・ワンと呼んでいた。
「ひどい」
「まったくだ」とこれは心の底からの感想。ダークは本当に人非ざる人だ。いや、狼男という意味ではなくて。
「本当に彼の動機が判らないの? ダーク」
「私はダークじゃない。ファーマソンだ。間違えるな」
「あら? さっきは血に塗れたかってのダークだったわよ」
「見間違いだよ。もちろん」私は断言した。
「ええそうね。そういうことにしておきましょう。ダーク。彼はね、記憶が混乱しているの。自分を本物のダークだと思いこんでいるのよ。だから昔のダークがやりそうなことをしているだけ。悪魔を配下にして、天界との闘いの準備を進める」
私はショックを受けた。バー・ザー・ランの呪術はあいつを昏睡させただけではなく精神にもダメージを与えていたのか。
あいつがそこまで影武者の役に入れ込んでいなければ、バー・ザー・ランの偵察部隊の目を誤魔化すことはできなかっただろう。
奴はシェイプシフター。擬態生物だ。一般にはドッペルゲンガーと呼ばれる存在で、対象の姿形に留まらずあらゆる動作や思考までをコピーすることができる。だがそれでも人狼の能力まではコピーできない。それだけが救いだ。
厄介なのは影武者の役を完璧にするためにあいつに与えた中級魔道具の数々を、ヤツがまだ持っているということだ。使い方によってはそれだけで街の一つや二つは優に消すことができる。
止めなくては。ここにも私の過去の罪が横たわっているのだから。
私は立ち上がった。神父服の裾の皺をはたいて伸ばす。
「さて、リビアはこれからどうする?」
「しばらくは別荘で過ごすわ。このフラットの防備が甘いことも分かったし」
「そうだな。それがいい」
リビアの派閥には何人も大金持ちのスポンサーがついている。この破壊されたフラットもすぐに直されるだろう。
「あなたはどうするの?」
「心当たりがあってね」
リビアに一つウインクすると私は破壊されたフラットを出た。エレベーターは止まっているので、今度も垂直の壁を伝って降りた。
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