第52話 楽しい たくらみ
「はぁああああぁぁ」
メルダは情けない声をあげながら、巨大な大問題解決の見通しが立った事で全身の力が抜けて、
テーブルにおデコをつけてへばってしまう。
良かったああああ......
「それでですね、旧設備も『学術的資料』となりえますので、私の
教会建物のどこかに、保管場所が定まればそちらに移設させて頂きます」
「それは、ありがたい。 壊れかけの
廃棄申請しなければ、廃棄出来ないんだよ」
バスクは、苦笑する。
「で? 幾らだ?」
バスクの一言に、ピクんとメルダが反応する。
「何がですか?」
「衛兵隊の騎士と騎馬の......
そうしなければ、ヴォーグ教会としての『メンツと筋』が通らん......なぁ、メルダ」
(
(『かなり』飲み食いもされて居られたしな......)ヒソヒソ
「うううううう」
メルダは、恐る恐る顔をあげ、不安げに猛を見る。
「いえ。それら全て、私の立案での作戦行動の一環です。
ですので『全ての経費を私持ちで』運営して頂きます。
ですので、全て無料です」
それを聞いたメルダは、にっこり笑う。
「ふん。『タダより怖いものはなし』と言うが」
「
「無茶苦茶『
「では、
「
「
「ぬぐっ......まぁ、そうなんだが......『どこまで』やらされるのかが、いちばん怖いんだよ......」
「ドワーフって長命種ですよね。また
「なんで知ってるんだよ! 身体や寿命まで、すり減らしかねない
「あはは、ははは」
(トイレ行きたい......)
再度メルダは、腰砕けになりそうだった。
「では♪ レプリケート!」
猛が発言したら、神殿コア室の迷路と化していた、
すぐに、神殿コアの台座の前に、公園の
台の上には『白いコースター』がひとつ、ポツンと置かれる。
「完了です。お試しで、微弱魔力を流します......
うん、建物施設全て
十世紀は保たれるでしょう」
「十世紀って......なんだよ。
はぁあああ、『永遠』の底なし沼に、どっぷりハマった気分だ......」
「で、バスク動力長」
「お、おう?」
「動力施設の管制精霊を、紹介します」
例の『白いコースター』を、バスクに渡す。
渡されたバスクは目の前に、普通のコースターの様に、恐る恐る置く。
ちろりと、メルダを見る。
メルダの手元にも、さっき返した『白いコースター』がある。
「アレと、コレは、違うのか?」
【【同じですよ】】
「おう!?」
「えっ!?」
バスクとメルダの両者の手元から同時に出た声が、双方から同時に聞こえる。
丸い円盤が、タイヤの様に立ち上がり......中心から光が広がり......幾何学模様の水晶フラーレン・オーブに変化した。
バスクとメルダの目の前から離れない程度に、水晶フラーレン・オーブは、ゆっくりと転がり出す。
「わぁ♪ 可愛い♪キレイ♪」
メルダは、オーブをそっと持ち上げる。
【メルダさん、こんにちは】
「わぁ〜♪」
【バスク動力長。こんにちは】
「お、おう......」
「神殿動力コア、ステータス・オープン」
バスクとメルダの前に、ステータスを表示する『丸い魔法陣』が、浮かぶ。
猛のウィンドウは四角いが、コチラでは丸い魔法陣がポピュラーだから、デザインと表示機能を合わせた。
「これは......神殿動力コアのステータスか!」
「はい。
今は音声で起動させましたが、この管制精霊との同期と同調が
バスク動力長の脳内だけで、思念だけで、動力コアを無言で操作・調整出来ます」
「ほほう」
「当面は『以前の出力』で、運用出来ます」
「『当面』はな」
「もちろん......バスク動力長は、『火遊び』をしたいですか?」
「否。『日々無事が、最上の喜び』だ」
「では。『権限キー』をお渡しします」
ポーン
バスクの脳内に『起動音』が鳴る。
神殿コアの『権限』が、
同時に神殿コアが吸い上げる魔素や、貯留槽に滞留する魔素、
神殿コアから神殿建物や敷地内を伸びる魔力の流れが、刻々と『手に取る様に』分かる。
「すげぇな。教会神殿建物の隅々まで、魔力の流れ具合を『実感』出来るとはな......」
「浮いた時間は『好きな事』が、出来ますよ」
ちらりと、製図台を見る。
「それは、ありがたい」
「それで、その管制精霊と二十四時間肌、身離さず過ごして貰いますが、どう言う形態にしますか?」
「まぁ普通に契約の精霊とは、死ぬまで一緒だわな。で、形態て?」
「例えば......この様な」
猛の胸元に、幾何学模様のペンダントが下がる。
猛の左手の甲に、幾何学模様の紋章が刻まれる。
猛の周囲に、幾何学模様のオーブが、ふよふよと、浮かぶ。
スっと、全て消える。
「そして『何も無し』も、出来ます。
これら以外の、バスク動力長の『好み』の形態や、使い方も『カスタマイズ』出来ますよ......メルダさんも」
「取り敢えずは、左手甲の紋章かな......いくらでも変えられるのか......カスタマイズか......」
「ほぇぇ。私も!?」
「メルダさんへの特典としては、精霊は『財務会計』の補佐が出来ますよ。
ゴーレムを数体出して、『人海戦術』で溜まった書類を、短時間で片付けられますし。
ゴーレムの経験値は、メルダさんの経験値と同期出来ますから、
『財務会計』全てに目を通した様に把握し、管理出来ます。
『財務会計』ステータス」
メルダさんの神殿コア・ステータスの隣に、『財務会計』ステータスの魔法陣が出現する。
「うわぁ、年度
収支予想も、的確ですね!」
ガタン!
「ありがとうございます!」
歓喜に震えたメルダは、椅子を倒しそうになりながら立ち上がり、深くお辞儀する。
「コレで、私からの『要請』も、引き受けやすくなりますね♪」
ピシッ
バスクとメルダは一瞬で固まり、青い顔になる。
(......見事な、
(はい......受け入れないと、明日までに神殿コアは復活しないのですから。
模擬戦しても感じましたが、見事な先読みです)ヒソヒソ
(私たちへの『無理難題』は、なんでしょうね(冷汗)ヒソヒソ
「そして......ニーグさま♪」
「な!なな、なんだ?」ビクビク
龍神なのに、猛の見事な詰め寄りに、ビクついてしまう。
((そらきた!))ヒソヒソ
ワードマンとセルガは、そっとニーグから離れる。
「神殿全ての記録によりますと......現在の動力炉室ですが、
当初の予定では、もっと大きな容量の動力炉を設置したかったのでは?
将来の増設の余裕を持たせるにしては、広い様に思います。
......もっと教会施設や敷地全体に及ぶ『大きな計画』があったのでは?」
ちろりと、ニーグを見る。
「ニーグさまも設計に参加された、
王手を刺された
バスクは、全てを
「ニーグさま。アンタのダンナの方が、数倍も上手だよ。
全部ぶちまけた方が良い......良いようにして下さる......さ」
お前も『この
上には上が、存在するのです。
「ニーグさま?」
案外近くに、猛の顔があった。
「うえぁおい!」変な声が出る。
「いやいや、責めている訳では無いですよ......ただ......」
「たっ、ただ......なんじゃ?」
「ニーグさまの考えた『
「ぐっ......」
「それでですね、先程サーチした『全て』の製図を重ねましたら......」
「「!」」
ニーグと、バスクは、ギクリとする。
「こうなりました」
『
「計算上、単純に魔素は八倍になります。」
バスクを、見る。
ニーグも、見る。
「そろそろ『楽しい、たくらみ』を、教えてください♪」
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