第38話 三種の神器
『......大まかな勢力は、以上です』
メルダはザックリと、主要勢力の説明を終える。
自室の椅子に、少しへたり込む。
「わかりました......では、メルダさん」
『は、はい』
「詳しい情報を、ありがとうございます。
助かりました。
この、こんがらがった事態収集の為に、これからもアドバイスを
たちまち龍神と守護天使と神官長は、驚きに目を丸くする。
「?…… なにか?」
『いやあの『
メルダは、戸惑いの笑顔を浮かべる。
「えと。こちらでは、そこまで
「そうじゃの。『
「へぇ~」
「ほう。タケヨシ殿の世では、平等が?」
ワードマンは、興味深く問うて来る。
「はい。
私の感覚としては、最適な
「うーむ。タケヨシの
こちらでは『
「なるほど。
「はい。多くはありませんが、『ずいぶんと
セルガは、楽しそうに微笑む。
「宜しくお願い致します」
「喜んで」
セルガは、
「あ、メルダさん」
『は、はい!』
すっかり油断していたメルダは、慌てて背筋を伸ばす。
「メルダさんも、お疲れ様でした。
『!』
表情が、輝く。しかし、すぐに引き締める。
『いえ!お手数をおかけできません!』
「まぁまぁ。あー、では、『勇者からの要請』と言う事で、『食べなさい』」
『!......う』
「どうですか?」
『は......い。では......『ぴつあ』を、御願い致します』
「かしこまり。テーブルの上は片付けましたね」
(転送)
(アイサ)
『!』
メルダさんの目前に、焼き立てクリスピー・ピザを出す。
30cm位のLサイズで、四種の味のクワトロにする。
メルダさんの自室に、香ばしい焼き立ての香りが広がる。
『な......なんて良い香り......』
ピッチャーには、レモネードを入れる。
メープルシロップ
タバスコ
も、『注意書き』と一緒に出す。
「
『ありがとうございます♪』
早速、トマトとチーズのマルガリータを持ち上げる。
『きゃ〜! これが『チーズ』なのですね!
サクリ
『んん〜♥ んんんー♪んーーーーー!』
(体調の変調に留意してくれ)
ちょっと
(アイサ)
さて、まだ確認しなくては。
「では、さらに質問させて
…… ヤーディン大国の現王は、どんな
猛は、改めて四人に問う。
「おう! いきなり
龍神ニーグは、
「はい?」
えと、セムカ王の人となりを問うて、なんで
「...... うん? ヤーディン大国を
龍神は、何を今更当たり前の事を聞く? と言う表情をする。
「...... えと?
「...... だから猛は『
巨大魔人と
だからって、
第一、他人の
「あの......」
なんとか止めないと。
「...... ニーグ様、御待ち下さい。話を先走り過ぎますと、タケシ殿が混乱します。
まぁ確かに実力は、
しかし現王も、易々とは王位を渡しません。...... つまり『戦乱』の世に逆戻りな可能性が」
「フンッ! タイ公爵すら放置しておる
龍神ニーグは、どう言うわけか
(...... これまでの俺の発言に、何か
(...... いエ、人間としての
(聞くか)
「......え~と? ニーグ様。ワタシは何か貴女の『
「理由はセルガと同じじゃ。人族同士の血統だか順列だか知らぬが、くだらぬ『取り決め』を優先している間に、庶民はないがしろにされるのじゃ。
そんな役立たずな為政者なんぞ要らぬ!」
ニーグ様は、
...... だから庶民の為に激怒りしてるんだよね。
つまり......
「...... ニーグ様は、人族がお好きでいてくださるのですね」
龍神ニーグへの『
ボンッ
ニーグ様の顔は、一瞬で
「わ、悪いかっ!」
「いえいえ」
「めっそうもない」
『とんでもない』
「ありがとうございます」
いちおう人族にカテゴライズされる四人は、軽くニヤニヤしながら頭を下げ、紅い顔の龍神ニーグを生暖かく
「で、でっ、ヤーディン大国王の人物像かの?」
龍神ニーグは、照れる自分を誤魔化すように問うて来る。
「ええ。どんな御方でしょう?」
「はん。人族ながら、
「…… それに?」
「…… まぁ、
「…… 確かに、
と、ワードマンさんは、ニーグ様を横目で見る。
「おい。ワードマン」
「どうされましたか?」
「…… ぬぅ、何でもないは!」
ニーグ様は、そっぽを向く。
「「???」」
猛とセルガは、二人のやり取りの意味が、わからない。
『......』
メルダは、無言で含み笑いをしている。
「で、王の事を聞いて、どうする?」
「
公爵の件は置いといて、魔王討伐の件はヤーディン大国の
「…… ふむぅ、確かにそうじゃのぅ」
しかし、龍神ニーグの浮かない顔は晴れない。
ふと
(王て、『強いオス』の象徴だよね~)
(...... 龍神様が過去ニ、王と『深き関係』が有ったカモ? と?)
(そうだ。『別れても好きな
「では、王の件は私自身が動きましょう。幸い先程『ツテ』が出来ましたし」
「ツテですか? いつの間に?」
「はい。タキタル隊長です」
ほかの三人は、ポカンと口を開ける。
「...... あの、勇者様にさえも『
『そうだったんですか......』
あぁ、『奴隷首輪』を切った時は、メルダさんは居なかったよね。
「...... 何故タキタルと?」
「...... セルガさんとディグリーさんやメルダさんの他に、タキタル隊長も腹くくって『この世界の現実』に立ち向かって居られるお方です。
一度、腹を割って話したい人物です」
にっこり微笑む。
龍神ニーグは、ふっ、と苦笑する。
「...... タケシ。
我は
御主も中々に『
「...... もしかして、タキタル隊長とは顔見知りで?」
「うむ。タキ
「「『タキ
「おうよ。ヤツがタキ坊と呼ばれるのを嫌がるでな。周りに人が居る時は、タキタルと呼んでやるが」
いやいや、さっき、しっかりタキ坊でしたよ!
(セルガさん。タキタル隊長の御年は?)
ヒソヒソ
(はい。今年で三十八歳とお聞きしておりますは)
ヒソヒソ
(...... そりゃぁ、イヤがりますねぇ)
ヒソヒソ
コトン
【こ、コレは、オーサカの『クラーケン焼き』か!】
はフッ ハふっ はふっ
まだ喰ってるのか。
......そうだ。
(ワードマンさん、セルガさん)
ヒソヒソ
(?なんでしょう?)
(はい?)
ヒソヒソ
(『あの』素体は、タイ・クォーン教会に『
ヒソヒソ
コレで『有望な人材』を、『
(おお♪
(ありがとうございます♪)
ヒソヒソ
(それで、デスね。素体の『使用開始と終了の権限』を、タイ・クォーン教会の『神官長』と『第一守護天使』に委ねます。御二方が、『
ヒソヒソ
(......!)ニヤリ
ワードマンさんは俺の
(えーと?わたくしとワードマン様が、同時に?)
ヒソヒソ
(セルガ)
ヒソヒソ
(はい)
(かの『素体』は、タイ・クォーンでしか『使えない』のだ。しかも
ヒソヒソ
(!......使用停止も、
ヒソヒソ
【
ヒソヒソ
おう!急に天照大御神様が、密談に入って来たよ。
【貴方に『
ヒソヒソ
(え!『
ヒソヒソ
【ええ。特に『
ヒソヒソ
(有り難き)
(ありがとうございます)
ヒソヒソ
ワードマンさんとセルガさんは、
【良いのよ。
そもそもだけど、我の様に『依代なんぞ必要無い』
(......あ、はは)
(......ははは)
ヒソヒソ
ヴォーグ神を『信仰』する立場の二人は、
ヴォーグ神が『
【まぁ、あなた達が
ヒソヒソ
天照大御神は、少し
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